アメリカの大統領選の様子を見ていると、よりエネルギーを発している人が結果的に候補者に選ばれています。レーガンにしても、クリントンにしても、そのようなエネルギーの好循環を作っていました。そして、各州を制していきながら、より多くの支持者を集め、さらにエナジー・レベルが上がっていきます。特に、決戦の天王山であるTV討論会の印象で雌雄を決するのは、内容そのものよりもいかに力強い印象を視聴者に持たせるかであると言われ、話し方、表情、身振り手振りなども重要な要素です。その場にふさわしい格好(ファッション)までもチェックされて、その時の気分を伝え、回りの気持にも大きく左右されると考えて、計算し尽くされています。みるからにコストもかかっており、対抗馬によってそのやり方も変えているので、勝てる相手であるとなると会場のサイズも縮小です。
ちょっと残念なことは、まだ米国でもヒラリーのように経歴も申し分なく、弁もたつ優秀な女性でもなかなか大統領候補の座を射止めることができないでいます。男女とも意外に米社会が保守的なのであって、その時代の要請にまでなっていないのでしょう。不思議なことですが、候補者のエネルギー・レベルが高ければ、それが必ずしも正義ではなく、時に悪であっても人を惹きつけるということです。日本などは、清廉潔白とは言いがたい政治家に多くの支持が集まったのがその例で、さすがに今の時代は許されません。
また、やり手のエグゼクティブたちも同様です。常に元気にあふれていて、何事にも前向きで、話し方にもパワーがあり、目力(めぢから)があるような人、その人と接していると周りの人も元気になるような気がするエネルギーの高い人がいます。必ずしも外に向ってエネルギーを放出している人に限らず、内側にエネルギーをたたえている場合も同じです。そのような人は周りの人も一緒にいたいし、応援したいし、一緒に仕事したいと思うのは当然です。そのような人にはよりラッキーが来やすいわけです。
もちろん皆が、いろいろな人とエネルギッシュに話して回るのが、常に好きというわけではありません。ただ、リーダーやトップとなるには、そのような人が求められるので、そのようにエネルギッシュに動き回るように見せているのです。つまり、そのように振る舞うことでそういう気持ちの人が集まり、士気が高まり自分もその気になりやすいムードができるし、周りに同じ思いが集まることで弾みがつくということを熟知しているのです。元気にエネルギーにあふれたコミュニケーションの仕方、立ち居振る舞いをすることによって、周りの人もそのエネルギーを感じ、その反応からさらに自身がエネルギーを増幅する、という循環を作ることがしやすくなるのです。エナジー・レベルの高い人と付き合い、自分の立ち居振る舞いをエネルギッシュに見えるようにすることで、変わっていくのです。
参考
『ラッキーをつかみ取る技術』小杉俊哉 光文社新書
2008年09月17日
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバック