AERA66月27日号掲載され、市内売れ切れです。
このデータの出所は、6月6日に経済産業省・原子力安全・保安院が公表した、「東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故に係る1号機、2号機及び3号機の炉心の状態に関する評価について 」によるものです。
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東京電力株式会社福島第一原子力発電所の事故に係る1号機、2号機及び3号機の炉心の状態に関する評価について
http://www.meti.go.jp/press/2011/06/20110606008/20110606008-1.pdf
別添(PDF・・59P)
http://www.meti.go.jp/press/2011/06/20110606008/20110606008-2.pdf
このデータから、AERAが、福島第一原発から飛散した主な放射性核同位体(核種)は主なもので31種で、それぞれどういう物質で、人体へどんな影響があるのか、危険度が高いものはどれか、ということを一覧表にまとめています。
まず、危険だということも大事だけれど、実際にこれまで、どれだけの量が放出されているかの推定量(現在も拡散)がどれほどの量かを、この記事が報告しています。
ヨウ素、セシウム、ストロンチウムなどは、ニュースなどでも耳にするので出ていることはほとんどの人が知っているだろうけど、プルトニウムのことだって、NHKニュースでちょっと言っただけ。
一覧表の一部を抜粋、放出量はベクレルです。
危険度1位はキュリウム242。
放出量は1000億ベクレル。
主な放射線の種類はα線。
人体での蓄積場所は、骨で生物学的半減期は50年。
肝臓では20年。
特徴として、半減期は162.8日とそれほど長くはないが、α壊変して放射性プルトニウム238になるため危険。骨がん、肝臓がん、白血病の要因に。
キュリウム242がプルトニウムに変化する!
危険度2位はプルトニウム。
放出量は、
プルトニウム238が190億ベクレル。
プルトニウム240が32億ベクレル。
プルトニウム239が32億ベクレル。
プルトニウム241が1.2兆ベクレル。
主な放射線の種類はα線。
人体での蓄積場所は、骨で生物学的半減期は50年。
肝臓では20年。
生殖腺では不明。
α線はβ線に比べて、同じ吸収線量でも人体に20倍の影響を与えるとされている。さらにプルトニウムは、同じくα線を出すウランと比べても1グラム当たりの放射能が数万〜数十万倍あり、「放射性毒性」が極めて強い。
経口摂取の場合、不溶解性のため消化管からの吸収は非常に少なく、ほとんどが排泄される。しかし、吸入摂取された場合には、長時間肺にとどまり、その微粒子がリンパ節や血管に移行し、最終的には骨や肝臓などに数十年間沈着するため、肺がんや骨がん、肝臓がん、白血病などの要因となる。
プルトニウム239の半減期は2万4065年。
写真掲載もあり、被爆から66年たったプルトニウム由来と見られるα線の写真です。身体のどこにでも血液にのって移行するということ。
危険度3位はヨウ素。
放出量は、
ヨウ素132が470兆ベクレル。
ヨウ素135が630兆ベクレル。
ヨウ素133が680兆ベクレル。
ヨウ素131が16京ベクレル。
主な放射線の種類はヨウ素131がβ線。
それ以外はβ線とγ線。
人体での蓄積場所は甲状腺で生物学的半減期は80日。
その他全身は12日。
揮発性が高く拡散しやすい。また甲状腺への影響が高い。このため放射性物質の放出量は、この同位体で、半減期が最長のヨウ素131の放出量であらわす場合が多い。
安定同位体は昆布などに多く含まれ、甲状腺ホルモンの成分として人体にとって重要なミネラルだが、放射性同位体を体内に取り込むと、甲状腺に蓄積してβ線やγ線を出し甲状腺がんや甲状腺結節の原因となる。
危険度4位はテルル。
放出量は、
テルル129mが3300兆ベクレル。
テルル127mが1100兆ベクレル。
テルル131mが97兆ベクレル。
テルル132mが760兆ベクレル。
主な放射線の種類はβ線。
人体での蓄積場所は骨で生物学的半減期は13.7年。
その他全身で20日。
体内に取り込まれた放射性テルルの半分は直接排出されるものの、25%は骨に移行し大半は生涯そこに残留し、骨がん、白血病などの要因になる。残りの25%は人体のその他のすべての器官や組織に分布するが約20日で半減する。
テルルの放射性同位体の多くは、β壊変してヨウ素の放射性同位体となるので、甲状腺に集まり甲状腺がんなどの要因にもなる。
危険度5位イットリウム91
放出量は3.4兆ベクレル。
主な放射線の種類はβ線とγ線。
人体での蓄積場所は骨、肝臓、全身で半減期は不明。
主に骨と肝臓に蓄積し、それ以外では全身の器官や組織に均等に分布する。ウサギの動物実験では、排泄されなかったものは長期間残留した。
危険度6位はストロンチウム。
放出量は、
ストロンチウム89が2000兆ベクレル。
ストロンチウム90が140兆ベクレル。
主な放射線の種類はβ線。
人体での蓄積場所は骨で生物学的半減期は50年。
化学的性質がカルシウムに似ているため、体内に取り込まれると骨に沈着し、骨がんや白血病の要因になる。ストロンチウム90はβ壊変してイットリウム90になり、すい臓に蓄積され、すい臓がんの要因になる。
危険度7位のモリブデン99
放出量は8800万ベクレル。
主な放射線の種類はβ線。
人体での蓄積場所は肝臓・腎臓・骨・筋肉で生物学的半減期は1〜50日。
肝臓と腎臓に沈着し、がんの要因に。半減期66時間でβ壊変し半減期約6時間のテクネチウム99mになる。
危険度8位のバリウム140
放出量は3200兆ベクレル。
化学的性質がカルシウムと似ているため、骨に沈着するが、ストロンチウムに比べて吸収の割合は小さい。骨がん、白血病の要因に。β壊変して放射性ランタン140になる。
危険度9位のパラセオジム143
放出量は4.1兆ベクレル。
骨がん、肝臓がん、腎臓がん、白血病などの要因に。大半は肝臓に沈着する。
危険度10位はアンチモン。
アンチモン127の放出量は6400兆ベクレル。
アンチモン129の放出量は160兆ベクレル。
体内に取り込むと2割は排泄され、2割は骨、1割は肝臓、残りは全身の器官・組織に沈着し、骨がん、肝臓がん、白血病などの要因に。
放出量は1.6兆ベクレル。
主に骨と肝臓に沈着し、骨がんや肝臓がん、白血病などの要因に。半減期は11日と短いが、β壊変して半減期2.6234年の放射性プロメチウム147になる。
危険度12位はセシウム。
放出量は、
セシウム134が1.8京ベクレル。
セシウム137が1.5京ベクレル。
主な放射線の種類は、セシウム134がβ線とγ線。
セシウム137がβ線。
人体での蓄積場所は筋肉、全身で2〜110日。
揮発性が高く拡散されやすい。体内に取り込むと、胃腸で急速にほぼ100%吸収される。化学的性質がカリウムに似ているため全身の筋肉や生殖器に蓄積し、がんや遺伝子の突然変異を起こす要因となる。筋肉量が少ない女性は、乳腺や子宮にも蓄積されやすく乳がんや子宮がんのリスクとなる。
危険度13位はネプツニウム239、
放出量は76兆ベクレル。
体内での動きはプルトニウムと似て、骨がんや肝臓がん、生殖腺がん、白血病などの要因に。半減期は短いがβ壊変して半減期2万4000年のプルトニウム239になる。
危険度14位はセリウム。
放出量は、
セリウム141が18兆ベクレル。
セリウム144が11兆ベクレル。
大半が肝臓と骨に沈着し、肝臓がん、骨がん、白血病などの要因となる。セリウム144はβ壊変し、プラセオジウム144→ネオジム144へ。
危険度15位のジルコニウム95
放出量は17兆ベクレル。
ジルコニウムの放射性同位体は主に骨に沈着し、骨がん、白血病などの要因となる。
危険度16位のキセノン133
放出量は1100京ベクレル。
希ガス(不活性ガス)。吸入しても95%以上は肺から換気されるため再循環の可能性はないと言われている。
危険度17位はルテニウム。
放出量は、ルテニウム103が75億ベクレル。
ルテニウム106が21億ベクレル。
ラットの実験では最初腎臓が最も濃度が高くなるが、その後は全身に均等に分布する。犬の実験では、吸入した場合、約2000日の生物学的半減期で強固に肺に残留することが確認された。