●放射能廃棄物の基準値
昨年6月23日、国が廃棄物の埋め立て基準値(放射線量)を1kgあたり8000ベクレル以下と定めた。国の基準を超える焼却灰を含む焼却灰で、各市の保管場所はひっ迫してる。柏市では3か所ある清掃工場の1カ所を停止して保管場所とし、流山では一時基準値を超えた為、県外(秋田)の最終処分場との契約が破棄されて持ち込めくなっている。原因は原発事故で降った放射性セシウムが草木高濃度に付着、ゴミ処理場から出た焼却灰基準値を超える数値になったとしている。各自治体は草木の焼却を中止し、仮置き場で保管している。柏市は焼却灰のほとんどを市内の最終処分場に埋め立ててきたが、最高で1kgあたり7万800ベクレルという焼却灰が出たことから地元住民の反発が高まり、7月以降は他県の民間処理施設に運んで処理している。我孫子市の焼却灰は8000ベクレル以下なので県外(茨城)の最終処分場へ搬出が出来ているが、除染土の一時保管場所となっているクリーンセンターもいずれ保管場所として限界を生じる。
●我孫子市の対応
そこで、夏休み最後の8月31日、4市1組合(我孫子市・松戸市・柏市・流山市・印西地区環境整備組合)で県知事及び東電に一時保管場所の確保を要望した。ところが、県が10月31日に示したのが手賀沼流域下水道終末処理場(我孫子布佐の県有地、印西との市境)だ。以降、印西市と我孫子市は県と数回にわたる協議を重ね、議論は平行線のままとなっている。
この間10月27日「我孫子の子どもたちを放射能汚染から守る会」の要望書が市長に届けられた。子供をもつ親たちは、市の考え、対応に敏感だ。夏休みを前後して転出届けを出した家族も多く、最近の調査で転出者が700人を超えた。環境の良い子育てしやすい街としての人口増加にストップがかかっては市財政計画も影響が出そうだ。
●市議選後の初議会
12月議会で市から、焼却、除染計画など説明された。我孫子市議会は全会一致にて、県提案の焼却灰の受け入れに「断固拒否」の決議をした。年明け1月半ばに市の決意は副市長によってNHKニュースでも報道された。ここまでは、議会も執行部も一枚岩だった。
●終末処理施設の焼却灰が既に1000トン超
2月1日、臨時議会の際に、「放射能対策審査特別委員会」の設置について議案が提出され、こちらも全会一致で可決し、ただちに特別委員会が設置された。
その間、「放射性物質を含む焼却灰の最終処分の一時保管場所等の緊急要望の経過」という文書が議員に配られ、ゆさぶりがかけられている。実は終末処理場は県有地、既にわが市の下水ばかりでなく手賀沼流域の下水を処理して、その焼却灰が8000ベクレルの基準値を超え、1000トンも累積していたのだ。場所は限りなく印西に近い我孫子との市境に位置する。長太郎団地(新木野)や古戸、障害福祉施設みずきが近い。
●放射能汚染焼却灰が更に増加
議員らが断固受け入れないとの決意を示した時には、すでに放射能汚染の焼却灰が溜まっていた。県は終末処理の焼却灰を国の指示通り対処して、安全基準値内に一時保管していくと説明する。その上で「他市の置き場のなくなった焼却灰の一時保管場所」としたいとの話にすり換えてきた。
放射能問題は解決までに長期間となることが予想されるので、県(担当課・資源循環企画室)に話を聞いたところ、「国の特措法に従って、保守点検を万全にしていく。各自治体が自区内処理すべきで、手賀沼終末処理場だけで解決するものでもない。」などと説明するが、国(環境省廃棄物対策課)は「他に処分場を作る余裕はなく、各自治体の最終処分場で処分してもらう方針です。1月までに汚染ゴミの処理について法律を整備する予定です」とフライデ―記事には書かれている。言いかえれば、長期化する問題に対処も出来ず、自治体に任せている、他に処分場をつくる余裕はないとだけ言っているのだ。
●どういう解決策があるのか
我孫子市議会は条件付きで県の説明会を受け入れるが、”容認したのではない”という。つまり、市クリーンセンターは既に老朽化焼却炉が延命も限界にきていて再建問題(50億円以上かかる)が突き付けられていたので、それと合わせ技で臨むと言う条件なのか。
県担当課は、説明会日程(10,11日)を電話で議会に打診、印西市議会は28日応じると受入れ返答、我孫子市議会は29日に受け入れの返答をしたという。その説明会には、市の職員や柏、松戸、流山などの、関係自治体の議員もオブザーバーで参加?なんだか焼却灰保管場所の認知と更なる保管へのアリバイづくりのようだと勘繰りたくなる。初めから県の主導の説明会(手賀沼終末処理場を保管場所とする県の提案を前提に)という格好で、外堀が埋められた事になってほしくない。
●県議会の動き
昨年12月1日に行われた県議会で、民主党代表による質問では、放射性物質に汚染されたゴミ焼却灰の一時保管場所について、坂本森男副知事が「ある程度面積のある県有地だとか、保管期間、具体的な保管方法などを検討している。」と答弁し、県有地で検討していることを明らかにしていた。また、県が管理する手賀沼終末処理場には搬出できなくなった焼却灰が11月現在で約600トン累積し、処分方法の見通しが立たない状況だと明らかにしていた。これは、柏市議らは知っていたが、選挙直後の我孫子市議らには伝わっていなかったのだろうか?
本日の県議会では、印西市の県議(自民党)から質疑がされて、「現状保管の週末処理場の汚泥、水処理の両施設の放射能測定値は0.14以下」との答弁を引き出すと、県議は山下俊一・長崎大学教授の「100ミリシーベルトは大丈夫」を強調しながら、現況の安全重視を確認した。「周辺住民への健康被害がないよう、安全性の理解を得る住民への説明会の開催」をする予定だとの県の説明を受け、県議は過敏になる住民には良く理解してもらうようなどと言うので、反対のはずの印西の様子が変化してみえた。
坂本副知事は総務省、厚労省で大臣官房審議官など歴任し、2009年より副知事を務めており、2月6日には関係市・副市長らと非公開の会議をもった。県放射能対策委員長となって答弁にも立ち、率先して説明してまわり理解を取り付けるよう動いている。
2012年03月06日
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