ロシアの科学者アレクセイ・ヤブロコフ博士(旧ソ連で1986年に起きたチェルノブイリ原発事故について、人や環境に及ぼす影響を研究)が、福島第1原発事故の状況に強い懸念を示していた。
「福島第1原発の放射性降下物は、今のところ私の知る限り約200万キュリーでチェルノブイリ事故の計約5千万キュリーよりは格段に少ない。また、チェルノブイリは爆発とともに何日も核燃料が燃え続けたが、福島ではそういう事態はなく状況は明らかに違う。
しかし、福島第1はチェルノブイリより人口密集地に位置し、200キロの距離に人口3千万人の巨大首都圏がある。さらに、福島第1の3号機はプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料を使ったプルサーマル発電だ。もしここからプルトニウムが大量に放出される事態となれば、極めて甚大な被害が生じる。除去は不可能で、人が住めない土地が生まれる。
セシウムやプルトニウムなどは年に1−3センチずつ土壌に入り込み、食物の根がそれを吸い上げ、大気に再び放出する。例えば、チェルノブイリの影響を受けたスウェーデンのヘラジカから昨年、検出された放射性物質の量は20年前と同じレベルだった。そういう事実を知るべきだ。 それを大変懸念している。
チェルノブイリ事故の最終的な死者の推定について、国際原子力機関(IAEA)は「最大9千人」としているが、ばかげている。私の調査では100万人近くになり、放射能の影響は7世代に及ぶ。」
2011/03/27付 西日本新聞朝刊記事より、抜粋。