原発事故発生後、放射能の事が気になり、折に触れてブログに書くうちにのアクセス件数が増えました。最近、特に若いお母さんたちの子供への健康懸念はそのことに集中しています。無理もありません。そこで、藤村靖之氏(非電化の推進者、原発問題に取り組んで40年)に電話インタビューし、情報収集し纏めてみました。多少ともお役にたてばと思います。
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福島原発3号機は昨年9月からプルサーマル運転を開始しています。身近で信頼できる放射能測定値が発表されていないので、それが心配を助長しているようです。そして、放射能の影響について、正しい知識・情報も得られないので不安が募るのです。
少し長くなり、ややっこしいですが、こんな事のようです。一般の原発は、ウラン235のみを燃料とします。ウラン235を燃焼(核分裂のこと)させると、プルトニウム239やヨウ素131(甲状腺がん)やセシウム137、コバルト60などの放射性物質が生成され、使用済核燃料に残ります。ウラン235も数%が消費されるだけで、90数%は使用済核燃料に残ります。使用済核燃料の内からウラン235とプルトニウム239を回収(この作業は青森県の六ヶ所村にある核燃料再処理工場で行っている)、天然ウラン〜精製したウラン235と混ぜて作った核燃料をMOX燃料と言います。
MOX燃料において、全体に占めるプルトニウムの割合をプルトニウム含有率と呼びます。福島原発3号機のプルトニウム含有率が何%なのか不明ですが、常識的には10%程度です。つまり、10%がプルトニウム239、90%がウラン235ということになります。このMOX燃料を使って原発を運転するやり方をプルサーマル運転と呼びます。福島原発3号機は、九州電力玄海原発(佐賀県)、四国電力伊方原発(愛媛県)に続いて国内で3番目のプルサーマル運転をしている原発です。
残念ながら、3号機メルトダウン(炉心溶融)が相当な事後報告だったことです。この状況判断が遅れで、被害が広がった可能性はありますが、その後の懸命な復旧作業によって安全弁の開放により圧力は下がり、海水注入により温度も抑えられ、絶対に再臨界を起こさせないように努力が続けられているので、現時点でむやみな不安を持つ必要はないと判断されます。
放射線被害については、放射線を吸収する量に比例するということです。どれくらいの量を吸収すると危険かと言うと日本は、年間に1ミリシーベルトと決められています(自然界からの吸収量2.4ミリシーベルトは含まず)。因みに国際放射線防護委員会(ICRP)の基準は、年間に1.875ミリシーベルトです。外部被爆より内部被曝の影響が怖いと恐れられています。
因みに、1マイクロシーベルト/時というのは、1時間に1マイクロシーベルトの量の放射線が人体に吸収される値です。1日は24時間ですから、この放射線を1日浴び続けると24マイクロシーベルトの量の放射線を浴びる計算になります。1年間は8760時間ですから、つまりこのような状況で放射線を1年間浴び続けると、8760マイクロシーベルト(=8.7ミリシーベルト)の量の放射線を浴びることになります。
その時点で、20マイクロシーベルト/時も浴びる地域にいたのであったら、第1原発の周囲20〜30キロ圏のように室内にいて、窓を閉め、換気をせず、洗濯物は室内干しです。1日1時間くらい室外に出ても1ヶ月で0.6ミリシーベルト、つまり問題無い範囲ではあります。それでも、外出後には服や頭に付着した微粒子を払ってから室内に入るようにしたほうが、微粒子が室内に蓄積するのを最小限にできます。もしも、50マイクロシーベルト/時を常時超える所なのに政府の強制待避を指示する所から外れているのだと測定され続けているならば、その時は退避を考えた方がよさそうですが、現時点での我孫子はその範疇とはありえません。
むろん、原発事故によって様々な放射性物質が国内はおろか海外まで飛散されてきています。【放出量×放射能の強さ】で影響力が決定されます。そこで、放射物質の放出状況(どういう放出のされ方で、どれくらい放出されたか)と、距離、風向き等の正確なデータに基づいて、きちんと分析してから、適切に行動すべきです。東葛エリアが意外やホットスポットではとも取り上げられるものの、それは一刻を争って退避というレベルではないと考えられます。
そして気になる体への影響ですが、強力な影響が出るのがヨウ素131ですが、40日後には3万分の1に、80日後には10億分の1になり激減され、長期的には問題にならなくなります。短期的にはセシウム137の影響を考えるべきでしょう。コバルト60は放射能は強いが、量が少ないので影響は少ないと考えられます。
振り返って、原発の3号機の付近で400ミリシーベルト/時の値が検出された際に、テレビで「この濃度だと数分で被爆症状が生じる・・・」というような報道があり、すわ一大事と思った方も多かったはずですが、我孫子は原発から200キロ近く離れています。どうあっても測定値が20マイクロシーベルト/時を超えているとは考えられません。つまり、原発3号機の付近の値の2万分の1の値以下です。事故直後に、実際に移住された方もいて、それはストレス、不安回避にはいい事だったかもしれませんが、現時点ではどうしても皆が住み替えなければならないほどの放射能不安ではないと言えます。
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今することは、風評に惑わされず、信頼できる人と話してみる、勉強会などに行って問題を共有する、仲間を見つけることです。そこで、行政(公、お上)の判断を仰ぎたくなるのだと思います。その為にも、自分の街の判断が信頼できるように、行政・議会(政治)に関わっていくことが地域主権の核になるのだと考えます。
そう言う地域の安心(判断)が地域に蓄積されていれば、大人たちが子どもの未来を守ってやれるでしょう。何も知らない子どもたちには政治的な決定権もありません。大人よりも健康や環境の影響は長く大きいと言えます。今、日本の社会がどなっていくかは、今の大人がどう対処するかに掛っています。Videonew による報道2011/3/16は英語通訳と画像も(YouTube) ↓
http://www.youtube.com/watch?v=8zEHLlOwWVk&feature=fvwrel
どの範囲で退避を進めるかについての対処、考え方についても映像の最後の方で触れられています。兎に角も、正確な情報を得て、判断し、行動することが望まれます。子どもたちの未来に対して、国際社会に対する責任も含め、日本人の言動が凝視されています。
なお、藤村先生との勉強会にご興味ある方、開催にご協力いただける方は、是非、ご連絡ください。
TEL/FAX 04-7184-9828