イギリスが供託金の発祥の国だと言う事で、いくつかの国でも行われていますが、いずれも日本の供託金に比べ小額、些少です。米国、ドイツ、イタリアなどに至っては選挙の供託金制度がないそうで、フランスでは供託金約2万円が批判の対象となり1995年に廃止されています。
他国の実情は分かりませんが、日本では当選者はチラシ代、ポスター代、選挙カー・公選はがき代を公費負担として申請できることになっています。しかし、一定の得票がされない候補者は自費負担です。ちなみに、市議は公選はがき2千枚、参議員比例区の公選はがきは15万枚まで公費負担され、これだけでも彼女は印刷代に50万円位かかったのでしょう。大政党であれば、ポスター代、リーフレット代も党の関係印刷所でコスト軽減、政党からの援助も絶大で運動ができるけれど彼女は自前で頑張っている。しかも都内だから事務所代も相当な額のはず、政策を伝えきって是非とも当選して活躍してほしいと願ってしまう。
海外では、このところ女性に割り当てる議席数=クオーター制を採用する国もあるから女性が政界に入り易くなっている。日本の選挙には男女の別はまったくないし、供託金が世界一高額というのは経済的に弱者である女性には足かせです。しかも参院選の運動期間は17日間(市議選7日)で、何と以前は25日間だったとか。暑いさなかの男女混合トライアスロンの様相です。
このように調べてみると、世界比較して日本の女性議員が少ない理由を理解できます。ところが、保守的と言われる韓国、カトリック国のフランス、スペインでも選挙制度改革して、女性議員数が増えました。なのに政権交代後の日本では、議論すらも出てこないのが残念です。これまで、専業主婦が多かったので実生活では男女の経済格差(家の名義、通帳の名義などはほぼ夫です)に気付かず、しかも日本の女性は相対的に政治に関心が薄いのではないかと思えます。中国、韓国の女性ほどにも声を上げることがないので、遅々として変革が進まないのかと思えます。
もっとも、最近の日本の状況を見まわしてみると、若い男性は女性の生活費まで負担できると思っていません。先々、子育て・ローンなどに係る費用も女性の経済力があって出来るかの状態です。それでも専業主婦になりたい女性が多いとのアンケート結果が出て、海外の女性たちからは日本女性の依存体質に驚きの目がむけられていますが・・・。 しかも国民生活に直結する国会の議席に、女性が1割程度というG-8の国は、本当の先進国とは言い難いでしょう。男女差、人によっても様々な違い、向き不向きはあるでしょうが、海外の女性が達成出来ている事を日本は変革出来てないのか思われるのは残念です。
‘07年の世界女性会議で驚いたのは、パワーポイント(PC)を操り、英語で堂々と報告をしていたアフリカの女性たちなどもPhd(博士)でした。彼女たち若い女性学者は当然ながら意識が高く、自律しているし、学問をするだけでなく自分たちで国を変えていこうとの行動力も感じられました。政治の「裏」に女ありなどと言わたが、生活に政治の影響が大きいと分かる人が政治の「表」に出てきている。どこの国も教育によって人材が育ち、国の発展が成されていきます。戦後から65年、日本では女性の能力活用においてどうだったでしょうか。男女役割分担で「男は仕事、女は家庭」できたものの、男性の過労死、自殺率が高いのをみても社会にツケを残した気がしてなりません。
さて、インターネット選挙解禁の法律は新政権下でも見送られ、選挙中の候補者ブログやHPの更新はできないままです。米軍基地普天間移設などでは沖縄の地方自治を紛糾させ、例の「温室効果ガス25%削減」を盛り込んだ地球温暖化対策基本法案、郵政改革関連法案、国家公務員法改正案など参院に送られていた法案は、参院選日程が優先され廃案になりました。今のところ、民主党マニフェストでは子ども手当を実現、そして次は消費税を含む税制改革でしょうか。いよいよ来週には投票日です。女性の大臣が半数を超えたスペインや、女性の議員が地方議会の半数になったフランスでは投票率が70%です。国民みんなの“選択”によって、日本を“洗濯”する国民主権の政治にするよう、是非とも投票率が高くなることを願っています。