総務省がこのほど発表した2024年10月1日時点の人口推計で、奈良県は転入が転出を上回る「社会増加」に転じたことが明らかになった。県によると、社会増加は1997年以来27年ぶり。定住する外国人の増加が背景にあるとみられている。
公表された推計では、出生・死亡に伴う「自然増減」を含む県全体の人口は減少しており、減少率は0・80%(前年0・79%)だった。
ただ、転入と転出の差し引きである「社会増減」は231人の増加。県政策推進課によると、日本人は1908人の転出超過だった一方、外国人が2139人の転入増加になったためという。
山下真知事は18日の定例会見で、「労働力が県内でも非常に不足し、外国人を雇用する動きが企業で進んでいる傾向が反映されていると認識している」とし、「日本人が転入超過に転じたわけではないので、移住促進に向けた取り組みを強化していかないといけない」と話した。
また、このまま人口減少が続けば県内の雇用、消費、税収に悪影響を及ぼすとして、若者に対する県内企業のPRや観光振興の重要性を強調。子育て施策については、負担軽減の支援策を拡充するとともに、「個人の価値観に関わることなので踏み込みすぎるのも問題だが、子育ては大変だというイメージが先行しているので、子育ての喜びややりがいをアピールすることも必要かと思っている」と話した。
今回の推計で社会増加だったのは24都道府県。奈良県のほか、福井、宮崎の計3県が減少から増加に転じた。