40年間で日本の世帯構造は大きく変わり、おひとりさまが増えています。
「令和4年版 男女共同参画白書」によると、夫婦と子供からなる世帯が40年前、1980年にはトップでしたが、今日、代わってトップに躍り出たのがおひとりさま世帯です。数さえ増えればこわくない。その次が夫婦と子ども世帯ですが、これも老夫婦と初老の息子や娘からなる世帯です。3位の夫婦世帯ももはや若夫婦ではなく、老夫婦です。
これからの高齢者はいやも応もなく、家族をつくらない、つくれない人、家族をつくった後も、それから抜け出す人や、失う人、家族がいたとしても依存しない、依存できない、依存したくないお年寄りが増えていきます。人生100年時代、90歳を超えて生きる死ぬに死ねない老後が待っている。その確率は女性の2人に1人以上、男性の4人に1人以上です。
『おひとりさまの老後』(上野千鶴子著)に書いてありましたが、「おひとりさまが一番いい」ということがデータで出てきました。大阪の医師が高齢者500人を対象にした調査で、同居者がいる高齢者より独居の高齢者の生活満足度が高いことを示しました。そして、同居者が1人増えるたびに生活満足度はどう変わるかといえば、同居者が1人増えて2人世帯になると満足度が最低になる。2人世帯は夫婦世帯か親1人子1人で、異文化が激突するので緩衝地帯がないからでしょう。
この医師は次にお悩み調査をして、同居者がいるほうがお悩みが多いことがわかりました。おひとりさまのお悩みポイントが最も低かったのです。満足度からお悩みを引き算しても、おひとりさまが最高ということがデータからわかりました。
この医師は次いで、寂しさと不安の調査もしました。おひとりさまになりたての方がいらっしゃるかと思います。そういう方はおひとりさまビギナー。 おひとりさまビギナーは「寂しさは感じるが不安はない」。ベテランは「寂しくも不安もない」ということがわかりました。
このドクターの発見によると、「一番寂しいのは気持ちの通じない家族と同居している高齢者」です。ドクターは処方箋も出していて、不安はそれが何かわかると解決法があります、さみしさには必殺処方箋があります。時間がたてば必ず慣れる。慣れる時間の長さに個人差はありますが、女性のほうが男性よりも一般に短いことがわかっています。
このドクターは、「満足のいく老後の暮らしを追いかけたら独居に行き着いたのです」とおっしゃっています。
今どきは、インターネットやSNSを活用し、自宅からでも家族や友人と交流を続けましょう。1人暮らしの人にとって、自宅で、費用もそうかからず人とコミュニケーションが図れるのは良い気分転換や生きがいにつながるでしょう。
宅配弁当などのサービスを利用し、日々の用事のついでに定期的に安否確認をしてもらうことは、効率がよく、安心感も得られます。さらに企業が提供するさまざまな見守りサービス、見守り家電等をうまく活用して、離れて暮らす親戚・縁者との間に安否確認できる導線を作っておきましょう。サービスにより費用はさまざまですが、月1000〜3000円程度から利用できるようです。
インターネットやSNSを活用し、自宅からでも家族や友人と交流を続けましょう。1人暮らしの人にとって、自宅で、費用もそうかからず人とコミュニケーションが図れるのは良い気分転換や生きがいにつながるでしょう。
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