ペットボトルのふた。これには、劣化を防ぐため「紫外線吸収剤」などの薬剤が練り込まれている。こうした添加剤の中には、「環境ホルモン」と呼ばれる毒性物質が含まれていることも。 これらを取り込んでしまうと、乳がんや子宮内膜症などといった、生殖やホルモンバランスに関わる健康被害の原因となる。この薬剤が使われているのは主にペットボトルのふた部分だが、もし、暑い場所にボトルを寝かせて置きっ放しにしておくなどすると、液体と接触したふたの部分から薬剤が少しずつ溶けて飲み物に混ざる可能性も。
それと「マイクロプラスチック」と呼ばれる化学物質のキケンについても。「500mlのペットボトル1本に、平均50個程度のマイクロプラスチックが含まれていることがわかっています。これらは自然界にない異物なので、生物が消化できない。体内に蓄積されていけば、炎症性の腸疾患などの病気のリスクにもつながります」環境問題の話題でよく聞く言葉だが、これはさまざまな要因で小さく砕け、5mm以下にまでなった“プラスチック片”の総称だ。中には、顕微鏡でしか見ることができないような微細なものもある。
(高田教授、以下同)
マイクロプラスチックがペットボトル飲料の中に混入する経路はいくつかある。
最も多いのが、工場でペットボトル本体を製造した際にできる微細なプラスチック粒子が、飲み物を充填する過程を通じて飲料中に混ざってしまうケース。ほかにも、ボトルのふたを開け閉めして起きる摩擦や、一度カラになったボトルを洗って繰り返し使うなどの習慣、また野外などで紫外線にさらされたダメージでもペットボトルが劣化する。そこから非常に細かなプラスチックのカケラが発生し、知らぬ間に飲み物に混入することもあるのだ。
「そもそも、ペットボトルに入った飲み物自体、買わないほうがいいと思います。私は職業柄、ペットボトルの問題について知る機会が多いのでそう思うのかもしれませんが……」
「口をつけたペットボトルはその日じゅうに飲み切りましょう。もし次の日も飲みたいのであれば、冷蔵庫保存は必須。うっかり常温で置きっ放しにしたものは、どんなにもったいなくても処分するのが安全です」(Aさん)
しかし冷蔵庫に入れたからといって油断していいわけではない。菌の活動が緩やかになるだけで、増殖が止まることはないからだ。日本では、清涼飲料水製造業を行うにはまず各都道府県の許可を取ることが必須。前提として怪しげなメーカーが参入できないため、国内生産のものならその時点で相応の規定をクリアした飲料であるといって問題ない。大手以外の業者からノーブランド品として販売されているペットボトル飲料もあるが、これらも同基準の品質が認められたものだ。
注意点があるとすれば、海外メーカーのラベルレス飲料を買う場合。特にミネラルウォーターなどは、水本来の酵素やミネラルの質を損ねないために、殺菌処理が制限されているなどの海外特有の基準もある。事前に商品を調べてレビューなども確認し、品質が確かなものか見極めるとよいだろう。
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