ナポレオン・ヒル『私たちは成功者に何を学ぶべきか』きこ書房
《楽しいことや嬉しいことを、毎日数分間、想像する。悪いことや嫌なことを心配するのではなく、明日、来週、来月、来年に起こり得る楽しいことや嬉しいことを、毎日数分でいいから時間を割いて想像してみてください》
積極思考は心の習慣である。その習慣を身につければ、成功を収める確率を高めることができる。その反対に、悲観論になっていると、自分を失敗に追い込むこともできる。
積極思考は、好感の持てる性格の最も重要な要素の一つである。しかし、好感の持てる性格を形成するのはそれだけではなく、ユーモアのセンス、希望に満ちた心、恐怖心を克服する力、満足、柔軟性、情熱、決断力なども重要な要素である。
将来、自分にふりかかるかもしれない悪いことや嫌なことを心配するのではなく、明日、来週、来月、来年に起こり得る楽しいことや嬉しいことを、毎日数分でいいから時間を割いて想像し、それらを列挙してみるとよい。
楽しいことや嬉しいことを考えると、それを現実化する計画を練ることになる。そうすることによって、積極思考を習慣化していくのだ。
悲観的な心の姿勢を持ちながら、偉大な指導者になったり、成功を収めたりした人は一人もいない。
南北戦争のさなかの陰鬱な日々に、両軍の指導者であったエイブラハム・リンカーンとロバート・リーは、未来が明るいことを信じ、人々に希望を持たせた。フランクリン・ルーズベルトの天性の積極思考は、大恐慌にあえぐ国民にとって新しい希望の灯火となった。
性質が似た者同士は互いに引きつけ合う。成功が成功を引きつけるように、積極的思考家は積極的思考家と交わる傾向がある。
その反対に、消極的思考家は悲観的な心の姿勢がマイナス要素をどんどん引き寄せ て、何かを言ったりしたりしなくても、心配や問題を次々と生み出してしまうのだ。積極思考は、健全かつ平静で満ち足りた心を意味する。
したがって、積極的思考家それ自体が一種の成功者であるといえる。
ただし、何もせずに未来が自ずと開けていくというような、非現実的な信念を持つことは積極思考ではない。
それは愚か者だけが抱く幻想である。
積極思考とは、先を見とおして、健全な判断に基づいて、とるべき行動を決定することによって物事を切り開く、確固たる信念のことである。
あなたが目指すべきは真の積極的思考家である。
堂々と未来と向き合い、未来を分析し、明晰な判断力でさまざまな要素を天秤にかけなさい。
そして、自分が望んだとおりに事が運ぶように行動を起こすのだ。
自分の言葉は、自分が一番聞いている。
だからこそ、常に、積極的な言葉を多く使う習慣を身につけることが大切なのだ。