2024年の住民基本台帳人口移動報告の年報が1月31日に発表された。
注)社会増減数=(転入者数−転出者数)+(国外からの転入者数−国外への転出者数)+移動前の住所地不詳−職権消除等
外国人を含む集計を開始した2014年以降、過去最多となっている。
市区町村間移動者数は、前年に比べ3万7914人(6.7%)の増加となり、男女別にみると、男性は2万5301人(7.8%)の増加、女性は1万2613人(5.2%)の増加となっている。
各都道府県の転出超過(社会減)人口をランキング形式で表示することで、今の時代の人々に選ばれにくいエリアの傾向を俯瞰することができる。前年に比べ転入者数が最も増加しているのは東京都で、7321人(1.6%)の増加、次いで大阪府、千葉県などとなっており、7都府県で増加となっている。転出者数は10道府県で増加、最も増加しているのは埼玉県
対前年増減率では、石川県が最も増加
一方、前年に比べ転入者数が最も減少しているのは茨城県で、3103人(5.3%)の減少、次いで神奈川県、宮城県などとなっており、40道府県で減少となっている。
そして、都道府県の「今の世代からの人気度」は、そのエリアへの転入数から転出数を引いた「転入超過数」でみることができる。
住民票上でみて、入ってくる人口よりも、出ていく人口が多い「転出超過=社会減」エリアは、簡単に言うならば、今の時代の人々(正確に言うとほぼ20代人口)に人気がないエリアといえる。
2024年の本稿では国内移動について、「移動者」と定義される日本人と外国人の移動を合計した数値を扱っている。
47都道府県で社会増となったのは7エリア、社会減となったのは40エリアで、2023年とエリア数配分は変わらない。
社会減エリアは女性に選ばれにくい状況に変わりはない。
ところで、片道の転入出数で見れば男性の方が多いのであるが、男性に関しては他のエリアからIターン、Uターン移動してきたりする数が多い。女性は男性より出ていかないが、IターンUターンしてくる数が少ないために、結果として女性を多く地元から失うのである。
社会減の男女アンバランス度合いでみると、栃木県が女性だけを1000人以上も減らすという県として際立っている。
また、群馬県も男性の32倍という驚愕の男女アンバランスな女性減である。女性減が男性減の3倍を超えているのは熊本県、宮崎県で、2倍を超えているのは北海道、大分県となっている。このことから、北関東>九州>北海道の順で、女性減に強い危機意識を持つべきである。
一方、社会減数で男女数がほぼ同じとなるエリアも増加傾向となっている。大学新卒を中心とした就職減が社会減の主たる要因であるため、令和時代のジェンダーレス価値観(多様性)教育を受けた若者が、男女関係なく地元を就職で選ばなくなってくる傾向も、今後拡大していく傾向が見える。
都道府県別にみると、社会増加となっているのは、東京都(14万548人)、大阪府(4万9767人)、神奈川県(4万1916人)など20都道府県で、前年に比べ社会増加数が最も拡大しているのは東京都(2万4350人)となっている。
一方、社会減少となっているのは、福島県(5139人)、青森県(4537人)、新潟県(4008人)など27県で、前年に比べ社会減少数が最も拡大しているのは石川県(2114人)となっている。
出典
ニッセイ基礎研究所
総務省統計局 https://www.stat.go.jp/data/idou/2024np/jissu/pdf/gaiyou.pdf