日本が過去の植民地支配に対する謝罪や補償について「時には前向きで時には退行的な姿を見せてきた」とする。こうした受け止め方の裏には日韓外交の「内政化」、すなわち相手国への姿勢が支持固めに利用されたり、攻撃材料に使われたりする問題があるだろう。韓国では反日的政策で勢いづいた政権があり、日本では韓国に強い姿勢で臨み保守層を惹きつけた政権があった。
提言では「歴史問題によって日韓協力を先送りすることは国益の損失」とし、歴史認識をめぐる問題を別個に管理すべきとの立場を明らかにしている。「過去が日韓関係の未来を壊すべきではない」という姿勢に応えるには、日本は“歴史修正的”と誤解される言動は避けるべきだ。
その文脈では戦後80年という節目でもある今年、石破総理が示す歴史観が注目される。石破総理は自著で「歴史を検証し学んでみると、我々が繰り返し過ちを犯してきたかがわかる」としている。ある自民党幹部は「総理は戦後80年談話を出したいだろう。しかし安倍総理の70年談話の線を越えると党内の保守派は猛反発し、党内は揉める。だが自分のカラーからトーンダウンしたものを出しても意味がない、難しいところだ」と語った。
この週末、日韓国交正常化60周年を記念し「東京タワー」と「ソウルタワー」が同時にライトアップされた。節目の年に合わせ尹大統領が大阪万博のタイミングで来日する、という観測も以前はあったが、もはや望むべくもない。とはいえ、今年を盛り上げる必要性は両国ともに感じている。
すでに幅広い世代が互いのドラマ、映画などを楽しむようになっている。提言の中には「文化コンテンツの共同開発」が含まれる。TBSをはじめ地方局を含むテレビ局がドラマなどの共同制作にすでに取り組んでいる。プロ野球やサッカー、バスケットボールリーグなどの「統合運営の検討」というアイデアも盛り込まれた。「どんな政権が成立しても」関係を後戻りさせないための創造的取り組みは、これからも一層求められる。
出典 TBS Newsデジタル(2/17)