専門的な知見に「ナッジ」というものがあります。この「ナッジ」とは行動経済学の用語で、本人に選ぶ余地を残しながら、あるべき方向に行動してもらいやすくすることを言います。例えば、公共のトイレで「きれいに使ってくれてありがとう」と貼ってありますが、あれは、きれいにトイレを使ってもらうためのナッジとして有名です。
ナッジを健康づくりに活用した例として、ある自治体の妊婦健診の仕組みなどは参考になるのではないかと思います。妊婦健診は、強制はできないことですが、妊婦検診に行きやすい仕掛けをしたところ、14回の健診すべてを受ける妊婦が増え、健康状態が把握できるようになり、体重指導がしやすくなったという例があります。その結果として、低体重児が生まれるリスクが減ったという事につながっています。
分かっているけど行動にできない、こういった人が実際に行動できるようなデザインを行政や医療機関が、どう作っていけるかということが非常に大事になってきています。そのためにナッジを理解している行動経済学の専門家の知見をどう取り入れていくかというのは、今後の課題になっています。
FNNプライムオンライン1/5