文部科学省によると、全国で不登校の小中学生は増え続け、23年度は全体の3.7%に当たる34万人超となり最多を更新した。通学を無理強いしない親が増えたことも背景にあるという。今、不登校の親は不登校を前提に「外出させるべきか」「一緒に食事すべきか」などと生活面の悩みが大半という。
子どもたちも、6年間学校に通わず中3になって自ら通い出したり、アルバイトでお金をためて専門学校に通ったりと、進路は千差万別だ。
学校で起きるいじめ、その対応も千差万別。
2022年度に埼玉県さいたま市立小学校で、当時小学4年の男子児童がいじめが原因で一時不登校となり「重大事態」と認定された。現在6年生の男児が、自身のいじめられた体験を卒業文集に書いたところ、学校側から「個人(加害児童)の特定につながる可能性がある」として、修正を求められていたことが分かった。男児の保護者は「応じるつもりはない」としている。
男児の作文は、「笑顔」というタイトルの作文の中で4年生の時にクラスメートから暴言や暴力を受けて学校に行けなくなった体験を記した上で、心配して、支えてくれた人たちへの感謝を胸に、「いつか恩返しできるように努力していきます」「『笑う門には福来る』のことわざを信じて、僕は笑顔を大切に生きていきます」と締めくくっている。
男児の保護者は埼玉新聞の取材に「担任の名前も加害児童の名前も書いていないので、特定されると言われることは理解できない」とし、「今のところ、修正の要求に応じるつもりはない」と述べた。学校側は「個別の案件につき、コメントは差し控える」としている。
一連の問題で市教育委員会は23年10月、いじめ防止対策推進法の定める「重大事態」と認定。いじめの経緯や事実関係、学校側の対応が適切だったかを調査する第三者委員会を設置して、これまでに被害児童本人や保護者から聞き取りを行うなど複数回実施している。
出典 埼玉新聞(12/27)