内藤誼人『自分を「やる気」にさせる!最強の心理テクニック』ぱる出版
現代社会では、集中力を阻害する最も大きなものは、「スマホ」だ。ある意味で、我々の多くは「携帯電話依存症」になっている。集中して勉強したり、文章を書くときは、スマホの画面が見えないところに置いておくべきだ。
一方、テニス選手は「ゲーティング」と呼ばれる集中力を高めるというテクニックを使う。観客の応援、ヤジなどの雑音を無視するためにラケットに話しかけるなどして、集中力をつける。
このテクニックは、「ゲートを閉じる」という意味だ。
他のことに気がとられて集中できないというときには、何か一点に焦点を当てて、それをしばらく見つめていると集中力も高まっていく。仕事を開始するときには、自分のペン先を1分ほど黙って凝視していれば、スムーズにやる気を高めることができる。
窓から見える高層ビルのひとつをじっと凝視するとか、手に持っているペン先をじっと凝視するとか、とにかく対象は何でもいいので、一点を凝視していると、他のことが気にならなくなって、集中力を高めることができるのである。ペン先は「とがっている」ので、「丸いもの」や「曲線でできているもの」に比べて、「とがっている」ものを見つめたほうが、集中しやすい。
何時間も仕事をしたり、勉強をしていると、だれだって集中力もなくなるし、やる気も出なくなる。しかし、そんなときに、とがったものをじっと見つめるようにすると、疲れを忘れて、さらに気力を奮い起こすことができる。他のことに気を取られることなく、目の前の仕事だけに集中することが可能になっていくのだ。
他のいろいろなことが気になってやる気がないときには、集中力を高めることができれば、自然にやる気も高まるものである。よく知られているように、集中力が高くなると、他のことがまったく気にならなくなる。たとえどんなに周囲に雑音があろうが、そんなものは耳に入ってこなくなるし、自分が見ているもの以外の対象も、視界に入ってこなくなる。
なお、ゲーティングのテクニックは、やればやるほど効果的だ。初めてゲーティングを試してみるときには、なかなか集中できなかったとしても、諦めずに、つづけてほしい。しばらくつづけていると、少しずつゲーティングがうまくなり、慣れてくれば、ある対象を見つめるだけで、一瞬で集中した状態(トランス状態)に入ることができるようになる。
宗教によっては、ロウソクの火を見つめることを求める宗教もある。ロウソクの火もペン先と同じく、先端がとがっているので、トランス状態に入りやすい対象なのかもしれない。
集中力がなくなってきたと感じたら、窓から外でも眺めて、とがったものを探そう。それを1、2分ほど見つめていると、集中力も回復する。