イギリス、フランス、オランダ、ベルギー、リヒテンシュタイン、ルクセンブルク、イタリア、ポルトガル、スウェーデン、フィンランド、ノルウェー、スペイン、デンマークなどが貴族制を存続しています。
このうち19世紀の市民革命の影響から貴族から権威が剥奪、財産を没収され、現在ほとんどの貴族が名目上であり会社勤めをしていたり自宅の敷地や絵画などを売却したり賃貸したりして商売をしている貴族は少なくありません。
<共和制の下での貴族>
なおこのうち共和制の国家はフランス、イタリア、ポルトガル、フィンランドがあり、なお早期に王政が廃止されたフランスでは王政は廃止されても貴族制度は廃止されませんでした。ただし平民階級によって貴族の財産が没収されたり、革命時に貴族階級が殺害されたりしていたことはあります。
後に革命のほとぼりがさめた100年以上後の20世紀には「共和制存続を主張する貴族家」が存在し、この家には特権を与えるべき、断絶しても婿養子をして家系を存続させていますが、奴隷、小作をもつような税制上の特権が続かない以上は体面を維持することが出来ず、名目上のいじだけになっている場合が多い。
フランス大統領にも貴族出身も多く第五共和制(1958年に作られたフランス共和制の政体)では第二次大戦後、五名中三名が貴族出身者となっています。
初代大統領…シャルル・ド・ゴール(ド・ゴール家は下級貴族)
第三代大統領…ヴァレリー・ジスカール=デスタン
(母親は下級貴族のデスタン家の出身。父親は官吏ジスカール家出身。二つの姓を併合)
第五代大統領ニコラ・サルコジ(父親はハンガリーの下級貴族サルコジ家出身)
<王政の下での貴族>
逆に王政と貴族性の存在する国ももちろんあります。イギリスの場合は芸術面や軍事面などイギリスやイギリス連邦の名を上げ貢献した者(非貴族出身)は一代に限り、騎士の称号を与え、それをもらった者「サー(男性)」と「ディム(女性)」の敬称で呼ばれることになります。
またイギリスでは現在も二院制の一つとして貴族院が存在します。これは何らかの形で叙勲された称号を持つ者(一代貴族、世襲貴族、聖職者など)のみが議員として召集される国会です。しかし選挙で選ばれる庶民院に政治の実権が移り、見かけだけの存在となっています。しかしながらそれでも才能に満ちた一代貴族らが議員として集結するので「世界で最高の演説が聞ける場所」と呼ばれることもありました。現在は700人ほどが定員となっています。
<君主が貴族の称号を持っているケース>
基本的に君主が爵位の称号を持っているだけです。
リヒテンシュタイン侯国…君主がかつて存在した神聖ローマ帝国から「侯爵」の称号を得て建国。
ルクセンブルク大公国…君主がかつて存在した神聖ローマ帝国から「大公」の称号を得て建国。