日経平均株価は8月5日、取引開始直後からほぼ全面安の展開になり、終値は先週末に比べ4451円28銭安の3万1458円42銭と、3万2000円台を割り込んで、1987年10月の「ブラックマンデー」をも上回わって、日経平均株価、歴史的過去最大の下げ幅となった。その向こうに米国株式市場急落があった。生成AIブームなどで好況を謳歌した米国株式市場の変調が8月に入り一気に顕在化している。
2日に公表された7月の米雇用統計で非農業部門の就業者数が市場予想を下回り、ほかにも製造業の景況感を示す指数の悪化など、米国経済の軟着陸への懸念が強まったことが株価急落の引き金になった。
震源地となったニューヨーク市場ではダウ平均株価(30種)は、前週末の2日、前日の大幅下落に続いて610ドル安と今年最大の下げ幅となり、終値は4万ドル台を割り込んだ。下落幅は2日間で1100ドルの大幅値下がりだ。市場では株価下落は、長く続いた株高の調整との見方も少なくない。だが懸念されるのは、これまで株式市場で十分に認識されてこなかった米国大統領選でのトランプ勝利でのインフレ懸念、法曹界出身のハリス勝利であったら経財界への政策遅滞などの不安材料、そして中国の「政治リスク」が大きい。もしも、これらが顕在化すれば事態は、世界全体に影響が深刻化するということだ。その流れを受けた上、日本銀行の追加利上げを機に円高が進行したことが、今回の背景だ。
巷では、早くも新NISAへの影響を心配する声が聞こえる。
参照 倉都康行:RPテック(株)取締役のダイヤモンド・オンラインへの寄稿