ズボン、マフラー、手袋、メガネ、化粧は、日本語では、それぞれ、はく、巻く、つける、かける、するなどの動詞が用いられます。
英語ではすべて「wear」で表しますが、英語では、「着ている状態」は「wear」ですが、「着る動作」は「put on」で表します。
同じ「着る」でも、状態と動作ははっきりと区別され、幼い子でも間違えることはありません。
そのため、風呂上がりの子に、服を着てちょうだいと言うときは、
「Put on your clothes!」
となり、
「Wear your clothes!」
とは言えません。
実際、日本の国立大学の学生さんに、ズボン、マフラー、手袋、メガネ、化粧などについて「wearを使えるか」という質問し、○か×かで答えてもらいました。すると、日本語で「着る」と表現する範囲は○とし、日本語では別の表現を用いるところは×をつける傾向が顕著にありました。
本当は「wear」と「着る」では表す範囲が異なっているのにもかかわらず、実はそれに気がついていないのです。
ただし、日本語の「着る」が「wear」よりも意味の範囲が狭い、とも言い切れません。というのも、日本語では「着る」と表現するのに、英語では「wear」が使えないシチュエーションもあるからです。英語では「動作」と「状態」ははっきり区別されるということです。
米国に7年目のオオタニさんは、このあたりを次第に慣れて使い分けられるようになるのでしょう、英語はできるかどうかではなく、慣れるかどうかも大きいです。