健康の基本は、何といっても呼吸です、と由美かおるさんは言う。毎日行っているのはコア(丹田)呼吸と、バレエの師に教わった『足芯呼吸』をベースに、筋肉をほぐすためのストレッチを組み合わせたオリジナルの呼吸法。それは足裏から息を吸うようなイメージで息を吸い上げ、全身にめぐらせた後、足裏に向けて息を吐くというもの。多くの酸素を体内に取り入れ、排出する。
体内に取り入れた酸素がもたらすメリットは、数え上げればきりがない。細胞の活性化、血行促進、基礎代謝の向上や免疫力アップ、疲労回復、脳の活性化……。由美さんの姿を見れば、その効果は明らかだ。また体だけでなく、メンタル面でも大きなメリットを感じているという。
「深い呼吸は自律神経のバランスを整えてくれるので、心がゆったりほぐれてリラックスできるんです。寝る前に行えば朝までぐっすり快眠できますし、目覚めもすっきり。気持ちが落ち込んだり、イライラしたりしたときも効果は抜群。すっと心が落ち着き、自然と気持ちが明るい方向へ向くようになりました」
「70歳からは、毎日1〜2時間ほど歩いていますが、腰やひざが痛むこともありません。呼吸をするときも、歩くときも姿勢はとても大切。正しい姿勢をとるには、足を肩幅に開いて立ち、お尻に軽く力を入れて、ひざをゆるめます。すると自然に骨盤が前に出て、背骨がゆるやかなカーブを描いた状態に。この姿勢で呼吸や歩行を行うとすごくラクなんです。」
「肌をほめていただけるのは、呼吸によって栄養が行き届いているからなのでしょう。今まで白髪染めをせず黒髪を維持できているのも、呼吸を意識した生活を送る効果なのかなと思っています。酸素が必要なのは内臓だけでなく、肌や髪も一緒。私は肌のお手入れには無頓着で、スキンケアはシンプルに化粧水と美容液、乳液だけ。それも決して高いものではありません。」
ところで、一般的にはちょっとぽっちゃりした小太りの人がいちばん長生きしていることがはっきり表れています。
2006年にアメリカで行われた「国民健康栄養調査」でも、BMIが25〜29.9の人が最も長生きであり、18.5未満の死亡率はその2.5倍も高かったのです。つまり、ただ由美かおるさんを目指すのではなく、男女ともにBMIが高い人のほうが、6〜7年ほど長生きすることが判明しています。スタイルが良いのと痩せていることとごっちゃにしてはいけません。
つづき