ロシアのフィギュアスケーター、カミラ・ワリエワ選手(17)。2022年、北京での冬季五輪で、ドーピング問題が大きな騒動となりましたが、30日、事態が動きました。
当時15歳だったワリエワ選手は、ROC=ロシアオリンピック委員会の一員として、団体戦に出場。チームは金メダルを獲得しました。しかし、ドーピング問題が発覚。予定されていたメダルセレモニーは、急きょ、中止となりました。
実は、オリンピック前の大会での検査で、禁止薬物が検出されていたことがわかったのです。当時の弁護士は「彼女の祖父が使用していた心臓病の薬を誤って摂取した」と主張。RUSADA=ロシア反ドーピング機関は、ドーピング違反を認める一方で、「当時15歳であったワリエワは、16歳未満の要保護者にあたるため、本人による過失はない」と判断。検体が検出された時期に行われたロシア選手権のみが失格となりました。
これを不服としたWADA=世界アンチドーピング機構とISU=国際スケート連盟は、CAS=スポーツ仲裁裁判所に提訴していました。
そして、30日、スポーツ仲裁裁判所は「ワリエワ側が、意図せずに薬を摂取したということを立証できなかった。保護対象選手を成人アスリートと異なる扱いをする根拠はない」とし、2021年12月25日〜2025年12月25日まで4年間の資格停止処分と、期間中すべての成績を失格とすると発表しました。
この結果を受け、フィギュアスケート界の重鎮、タチアナ・タラソワ氏(76)は、ロシアメディアを通じ「ロシアに対する憎しみは少女に移ったた。私は言葉を失った。正真正銘のクソ野郎だ」とコメント。また、ペスコフ大統領報道官は「政治的な決定だ。同意できない。異議申し立ての手段があるなら、当然そうする」と主張しました。
国際スケート連盟は30日午後6時ごろ、北京オリンピック団体戦の順位について、アメリカが金メダル、日本が銀メダルに繰り上がると発表。ROCについては、ワリエワ選手の結果のみを失格処分とし、銅メダルとなりました。
先月のロシア選手権では3位に入っていたワリエワ選手。今回の裁定に不服がある場合、30日以内にスイス連邦最高裁判所に上訴する権利が与えられており、上訴することになれば、メダル確定や授与には、さらなる時間がかかる見込みです。
出典 テレビ朝日(1/30)