毎月8日が歯の日となっています。 また「歯」だけではなく、歯ブラシを交換する目安「歯ブラシ交換デー」としての役割もある日です。 8を「は」と読む語呂合わせから8日に制定されています。
歯磨き剤は、配合されている有効成分で選ぶというのも1つの方法です。歯周病に効くといわれている成分には次のようなものがあります。
「トラネキサム酸」は、出血を抑える抗炎症成分で、抗炎症作用があります。歯肉炎の段階であれば改善する可能性があります。
他には、抗炎症作用がある「グリチルリチン酸」という成分もあります。また「酢酸トコフェロール(ビタミンE)」という成分も、血行を促進し、歯肉を活性化する作用が期待できます。歯肉が出血するのは傷ができているわけですが、その傷を治すために血行を促進させるのです。
「イソプロピルメチルフェノール」(IPMP)は、殺菌作用のある成分です。どんなに完璧にケアしたと思っていても、プラークの取り残しは絶対にあるもの。そうした取り残しの歯周病菌を減らす効果が期待できるかもしれません。
もう一つは、「フッ素」です。最近、日本口腔衛生学会など4学会が、フッ化物(フッ素)配合の推奨される利用方法の声明を出しました。
それは6歳から成人・高齢者においては、フッ化物濃度1400〜1500PPMを配合した歯みがき剤を、歯ブラシ全体に1.5〜2cm程度つけてみがきましょう、というものです。2017年3月、「フッ化物配合の歯みがき剤」のフッ化物イオン濃度の上限が1000PPMから1500PPMに引き上げられたので、フッ素の含有量が多い歯みがき剤を選びたい人は、1400〜1500PPMのものを選びましょう。
むし歯も歯周病同様、プラークコントロールが何より大事ですが、有効成分を確認し、うまく活用しましょう。
もう1つだけやってほしいことがあります。それは舌をみがくということです。
舌の表面に白い苔状のものが付着していることがあります。これは「舌苔(ぜったい)」といって、皮膚でいう垢のようなものですが、ここにも歯周病菌がいるのです。
せっかくプラークを除去できたと思っていても、口の中はつながっているので、舌苔で繁殖した歯周病菌が、唾液を介して、きれいにした歯や歯周ポケットに戻ってきます。それでは時間をかけて歯みがきをした意味がありません。
ですから、舌みがきは必ずやってほしいと思います。
また、舌苔が厚くなると、舌の表面の味を感じるセンサーの役割をしている味蕾(みらい)を覆ってしまうことになります。
そうなると、繊細な味の感覚がわからなくなってしまう可能性があります。おいしく食べるためにも舌苔は取ってほしいと思います。
著者の1人(栗原毅)は、ある著書で「舌苔はぜったいに取らないといけない」と書いたことがあります。「舌苔を絶対取る」というと、歯ブラシでゴシゴシやる人がいるようなので表現を改めたいと思います。
神経質にみがきすぎるのはNG
舌をゴシゴシやると舌の表面に傷がついてしまうので、注意しましょう。舌苔を取るときは、ガーゼを指に巻いて、優しく拭き取るか、専用の舌ブラシを使うとよいでしょう。
舌苔がついていないところはみがく必要がないので、舌みがきをするときは、鏡を見ながら行ってください。
舌がきれいな薄いピンク色になるのが理想です。ただピンク色にならないからと神経質になってみがきすぎる人がいるかもしれません。
やわらかい舌ブラシでも、やりすぎると味蕾を傷つける可能性もありますし、強い刺激によって舌の粘膜が角化して硬くなり、よけいに苔がつきやすくなることもあるので注意しましょう。
舌みがきは、舌の奥から手前に5〜6回くらいやれば十分です。夜寝る前のオーラルケアの最後に必ず行ってください。
また前述したように、歯周病菌は夜寝ているときに繁殖しますから、起床後のオーラルケアでも行いましょう。
舌みがきを毎日行っていると、歯周病の予防効果が高まるだけでなく、口臭の予防にもなります。