精神科医の和田秀樹さんに、普段の生活で無理なくできる前頭葉の鍛錬方法を伺いました。好奇心をそそられ興味をもったことには、展覧会に足を運ぶ、話題の店で食事する、『推し』の俳優の舞台を観に行くなど、気になることに一歩足を踏み出せば、知らなかった世界に触れられ、そこからさらに別の世界への好奇心や興味が膨らんで自然と、脳が活性化します。積極的にチャレンジしましょう。幸せな人生を送るためには「脳の『前頭葉』の老化を防いで、『気』を若く保つことが大事」との話しです。
@なじみの店ばかり行かない
なじみの店は出てくる料理も店の人の対応も予想できて安心ですが、その店しか行かないのは老化特有の、脳の「ひきこもり」状態。ときには、新しい店にも足を向け、脳を解放しましょう。高いわりにおいしくなくてガッカリ……そんな失敗もまた刺激になります。「失敗してもいい」という前向きな思考と行動が若々しさを保つ秘訣!
A我慢しない生活を心がける
「まじめで几帳面、我慢強い」といわれる日本人。でも、我慢や過度の節制ばかりしていては、決まり切ったルーティン思考に陥り自由な発想ができません。おしゃれでも語学でも、パソコンでも何でも、やりたいことは我慢しないで始めましょう。「周囲に笑われる」「お金がもったいない」などと言い訳していては、老け込む一方です。
B多様な年齢とつき合う
気楽で楽しいからと同年代の人とばかりおつき合いしていると、刺激の乏しい会話になってしまいがち。いろいろな世代が集まるサークルやボランティアなどに参加して、若い人たちともつき合いましょう。今風の考え方や流行している言葉、ファッションなどの知識を得ると前頭葉が活発化し、新鮮な驚きや感動が心を満たしてくれます。
Cほめられたら素直に喜ぶ
人にほめられても、「いえいえ」と謙遜するのではなくウソでもいいから、素直に喜びましょう。
心にもない事をなどえと詮索するのは、脳が老化している証拠。そういう人は、感情の老化に拍車がかかります。どんなことも悪いほうに受け止めがちな人は、何でもいいほうに受け止める習慣がつけば、前頭葉が鍛えられ、躍動し始めます。
D「濫読」のすすめ
読書好きな人なら誰でも、好みの作家やジャンルがあるでしょう。でもそればかり読んでいる人は要注意! 自分が安心できるものだけを選ぼうとする、脳の老化現象かもしれません。読書を脳の老化防止に生かしたいなら、作家もジャンルもあえて決めず、手当たり次第に読む「濫読」がおすすめ。脳に刺激が与えられます。
E家族とは「つかず離れず」の関係を保つ
家族に囲まれた穏やかな生活は大切なものですが、前頭葉への刺激が少なくなります。一人で映画を観る、カフェで一休みする、旅行に出る……小さな冒険が脳を活性化します。ひとりだから得られる心地よい緊張感、出合える新鮮な驚きを、存分に味わいましょう。
出典「ゆうゆう」(2023年2月号/主婦の友社)の内容をWEB掲載のため再編集。