日本生まれの怪獣特撮映画「ゴジラ」は米国の「キングコング」と並び、世界で最も有名な怪獣映画である。その第1作が公開されたのは1954年。以来、半世紀以上にわたって30本以上のシリーズ作品が公開され、観客動員数は全世界で累計1億人を超える。ゴジラの国際的な人気を裏付けるように、米国ハリウッドでも来年公開予定の1作を含め4作が映画化されている。
今、山崎貴監督(Always3丁目の夕日、永遠のゼロなど)の作品が11月3日公開で、日米で話題。お正月まで興行を続けると配給収入100億円突破とか言われる人気になってるようです。
ゴジラ誕生のきっかけとなったのは、映画公開と同じ年に起きた「第五福竜丸事件」だった。西太平洋のビキニ環礁付近で操業していた日本の漁船が、米国の水爆実験による降灰を浴びて被爆した事件である。この事件が「核実験によって太古の眠りから目を覚ました怪獣が、安住の地を追い出されたことに怒り、東京を破壊する」という構想につながった。この第1作は961万人の動員数を記録する映画となった。
ゴジラが半世紀以上にわたって人気を保ち続けてきた理由について、東宝株式会社でチーフ・ゴジラ・オフィサー(CGO)を務める大田圭二さんは、ゴジラブランドを堅持しながら、時代に合わせた作品づくりを行ってきた結果だと語る。
「東宝社内には『ゴジラ憲章』という取決めがあります。『ゴジラは圧倒的な生命力であなたの魂を揺さぶります』という約束の下に、物語性、威厳、強さ、挑戦、ワクワクドキドキという5つの原則を設けているのです。このブランドの約束と原則をベースに、それぞれの時代性を反映させながら作品を制作してきました」
1962年公開の『キングコング対ゴジラ』は「世界の2大怪獣は、果たしてどちらが強いのか?」という観客の興味にストレートに応える、極めてエンターテインメント性の強い作品となった。そして1964年公開の『モスラ対ゴジラ』では、行き過ぎた観光開発ブームの負の側面という時代背景を作品テーマに盛り込んだ。 「時代とともにテーマや作風を変化させながらも、『怪獣映画としての面白さ』を貫き通してきた。これが、時代を超えてゴジラが愛されている要因だと思います」と大田さんは言う。