昔は60代の親が亡くなると、「本当に大変でしたね。」と周りにいたわってもらえたが、近年は、「親孝行したいときには親はなし」のことわざをもじって、「親孝行したくなくても親はいる」というブラックジョークをため息混じりに聞こえてきそうな長寿社会になってきているのだそう。
葬儀も、長寿であった故人が外出しなくなって周囲との交流が激減したり、その縁者の大かたも先に亡くなってしまったか、もしくは通夜に来るのも足元不如意になっているので、参列者も集まらずで、「家族葬」とか、直葬などというのが今風でまかり通るようになってきた。だいたい、火葬場が直ぐに手配できない事情になってきているのも、かつてとは違う。昔は、当然のように当てにできた嫁や娘も仕事をしていたり、息子が生涯独身の場合には嫁はいない訳である。そもそもが、子供が一人っ子の場合もあり、国内に住んでいない場合もあるのです。
中央大学教授の山田昌弘さん(家族社会学)は、「高齢の親御さんといっても、病気の状態、経済力など状況は様々ですが、『子どもは親の世話をするのは当たり前』という社会通念や『愛情があれば親の世話も家族で乗り越えられる』という考え方を一度見直す必要があるのでは」と指摘します。
では、どうするか。
行政としてできることは、斎場の増築の検討だが、当事者個人としては特養を当てにするばかりでは、上記のようなブラックジョークになってしまいかねないので、そこそこ親族が見舞い易い場所の介護施設の見当(生活レベルにあった費用)をつけておく、葬儀、埋葬方法(樹木総、散骨、永代供養)を想定して決めておくことも考えてみることが必要かもしれません。核家族の事情が一般化して、家族・親族の会葬者も減って、葬儀はあっても皆で相談するなど無い場合が多いので、そんな時が来る前に自分で決めておくのも時代の変化の一つになってきています。
参照HP 読売9/26