日本人の2019年の健康寿命は、内閣府の資料によれば、男性72.7歳、女性75.4歳となっている。日本人の2019年の平均寿命は、厚労省の資料によれば、男性81.4歳、女性87.5歳となっている。平均的な男性の場合は、81歳くらいまで生きる可能性があるものの、自由に動き回れるのは73歳くらいまで平均寿命と健康寿命の間の約8年間は不自由な生活を強いられるということになる。女性の場合は、88歳くらいまで生きる可能性があるものの、自由に動き回れるのは75歳くらいまで、約13年間不自由な生活を強いられるということになる。
これに対してファイナンシャルプランナー・畠中雅子さんはこうアドバイスする。「これまで、安価で入居できる高齢者施設としては、『特別養護老人ホーム』の人気が高かったのですが、あまり空きが出ないうえ、2021年度以降、資産が500万〜650万円以上ある人の入居費用が高くなりました。かといって有料老人ホームは、入居費用が高額。老後資金がないと、介護が必要になったとき、『ケアハウス』という新たな選択肢を覚えておくといいと思います」(畠中さん)
「早めに高齢者施設に住み替え、主に年金で入居費用が賄える施設を探して、老後資金について不安に思う必要はありません。なかでもいまは、入居費用や月々の費用が安い『ケアハウス』がおすすめです」 老後の生活を考えるとき、大金を貯金しなければと思いがちだが、介護が必要になったとき、どこに住むかまで道筋を立てておけば問題ないのだと、畠中さんは言う。
入居時は自立が原則だが、入居後は要介護3くらいまでは継続して住み続けられる。要介護度が上がると、特別養護老人ホームへの入居申請をして、待機していれば何とかなる。
ケアハウスの利用料金の一例
充実した施設と環境のよさで、畠中さんが注目するケアハウスのひとつに「ケアハウス すずらん苑」(埼玉県蓮田市)がある。代表の岩田尚明さんに、具体的な費用を聞いてみた。
「利用料金は、施設や入居者の収入によって異なりますが、当施設の場合は、入居時に納めていただく管理費の額(満額は629万円)によって月々の利用料金が異なります。たとえば、最初に629万円全額をお支払いいただければ、月の利用料は約6万5000円。200万円なら約8万円になります。管理費については、途中退居の場合、減価償却分を差し引いてお返しします」
すずらん苑の場合、自立して生活ができる要介護2までの人が入居対象だが、要介護3になっても同じ建物内に特別養護老人ホームが併設されているので安心である。
出典 マネーポスとWeb(9/1)