8月23日、小型ジェット機がロシアのモスクワ北西、トベリ州で墜落し、ロシアの民間軍事会社「ワグネル」の創設者であるエフゲニー・プリゴジン(62)ら、乗客10名の死亡が確認された。落下する映像が不自然な動きだったことなどから、事故ではなく爆発物やミサイルが原因とする見方も出るなど、2カ月前に起きたワグネルによるショイグ国防相とゲラシモフ参謀総長の解任を求めた反乱への粛清とみなす見方が圧倒的になっています。
ワグネルとは作曲家ワーグナーのロシア語読み。ネオナチ思想の持ち主で、ヒトラーが愛したワーグナーが好きだったから、ワグネルとの名にして創設した。「ワグネル」共同創設者とされ、軍事部門を統括していたドミトリー・ウトキン(53)はロシアのGRU(ロシア連邦軍参謀本部情報総局)の中佐で、その他に同組織の幹部も複数搭乗していたことで、暗殺説が疑われるのです。
ロシアのオリガルヒの一人となるまでに、プリゴジンのレストランやケータリング事業がプーチンの外国の高官との夕食会をもてなしたことから、「プーチンのシェフ(料理人)」とも呼ばれ、プーチンに重用されていました。ワグネル・グループの部隊をまとめ指揮する商業軍人(民間軍事会社の創業経営者)としての面も持っていて、アフリカ、シリア内戦、ウクライナ紛争での戦争犯罪で告発されているロシア支援の傭兵組織「ワグネル・グループ」および2016年アメリカ合衆国大統領選挙におけるロシアの干渉、2018年の中間選挙に関与して告発された3つの企業ネットワークを統括する活動をしていたとされます。
ベリングキャット、ザ・インサイダー、デア・シュピーゲルの調査では、プリゴジンの活動は「ロシア国防省とその諜報機関GRUと緊密に統合されている」ということです。アメリカ合衆国では、プリゴジンと関連団体はウクライナ侵攻による経済制裁と政治干渉による告発の対象になっています。
参照 Wikipedia