7月11日、明治ホールディングス(HD)グループのMeiji Seikaファルマ(東京都中央区)は新型コロナウイルスのオミクロン型の派生型「XBB.1.5」に対応したワクチンを、医薬品の受託製造会社のアルカリス(千葉県柏市)と連携し、福島県南相馬市の工場で生産する予定だ。 2024年1月までに厚生労働省に申請すると発表した。
新型コロナウイルスの中国での確認から3年7カ月、米欧は本格的な流行開始から1年程度でワクチンの実用化に成功した。政府は海外企業が開発したものを輸入するなどして接種してきた。
7月31日、初の国産ワクチンが、ようやく第一三共によって薬事承認される見通しとなった。日本はコロナワクチンの開発で相当に欧米に後れを取ってきた。7月31日に審議したのは、第一三共のメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチン「ダイチロナ筋注」と、塩野義の組み換えタンパクワクチン「コブゴーズ筋注」だ。もっとも、厚生労働省の専門部会が承認を了承したのは、流行当初の武漢株対応で、すぐに使われる見通しはない。また、塩野義製薬が申請していた新型コロナワクチンは継続審議とし、判断が分かれた。
厚労省は現在実施する高齢者ら向けの接種で変異型「BA.5」に対応した2価ワクチンを使っている。9月に始める5歳以上のすべての人が対象となる接種では「XBB」のみに対応するワクチンを使用する方針だ。日本政府は米ファイザー社と米モデルナ社が7月に承認申請した「XBB」対応ワクチンの供給契約を結んだ。日本製はどちらも成人を接種対象としている。日本製はいずれも足元で流行するオミクロン型の変異型「XBB」には対応しておらず、普及しない可能性がある。
海外勢に大きく後れ を取ったものの、厚労省幹部は「今回を一つのステップとして、さらにその先に進んでもらえれば」と専門部会での審議に向けて、国産ワクチンの意義を語っていた。
参照 日経新聞(7/31)つづき