睡眠研究者のクリスティアン・ベネディクト氏は、ミンナ・トゥーンベリエルと共著『熟睡者』(サンマーク出版)がある。ベネディクト氏によると、「8時間以上の睡眠時間を確保することが重要だ。質のよい睡眠を確保することはすなわち、知識と成功のための前提条件を整えることだ」という――。
その第5章「眠って『賢者』になる 眠ったほうが知識が残る」を紹介すると、
脳は多くのエネルギーを必要とする。なにしろ、日中に収集したありとあらゆる情報のために、脳内に新たなシナプス(神経細胞の接合)が生み出されるのだ。1日が終わる頃には、脳は疲れきっている。翌日のために欠かせないパワーを蓄えるには、夜に休息をとらなければならない。
脳は夜の間、次の日に必要となる空き容量を十分に確保するために、新たに形成された神経細胞の接合の大部分を除去していく。脳内のこの清掃プロセスは「シナプスのダウンスケーリング」と呼ばれている。
何日も繰り返し練習した英単語など、脳が重要とみなす接合だけが削除されずに残る。これらのつながりを、脳は記憶に深く固定していく。その一方で、トレーニングのあとにランニングシューズを置いた場所や、子どもの遠足費用がいくらかといった、生存のために重要とはいえない大半の情報は再び消されることになる。
つづき