地中海を中心に熱波に見舞われている欧州では、連日40度を超える記録的な暑さが続いている。世界気象機関(WMO)によると、熱波は8月も続く可能性がある。昨年は欧州で推定約6万人以上が死亡した。世界保健機関(WHO)は「殺人的な熱波という新たな現実に適応する必要がある」と呼びかけた。各国は対応に追われている。
イタリアでは、南部ナポリ近郊にある欧州自動車大手ステランティスの工場が、暑さにより稼働を中止した。中部のバッテリーメーカーの工場では「命の危険がある」として労働者がストライキを計画している。地中海の島国マルタでは、冷房使用が増えたことで電力不足となり、17日以降、13地域で断続的に停電が続いていると地元メディアは伝えた。
ギリシャ・アテネ近郊では17日以降、山火事が4か所で発生し、一時は石油精製所の付近にも迫った。イタリアやフランスなどから消防飛行機の派遣支援を受けた。スイス南部でも17日から山火事が発生した。
ドイツでは「シエスタ」(昼寝)導入の声も上がっている。今夏は暑さで推定840人が死亡しており、保健所などで働く医師団体のトップは18日、「南国の働き方に倣うべきだ」として提案した。カール・ラウターバッハ保健相もツイッターで「悪い考えではない」と投稿した。
読売新聞 【ローマ=倉茂由美子、ベルリン=中西賢司 7/20】