映画「ティファニーで朝食を」はヘップバーンのファッションが秀逸だった作品だ。しかし、彼女が住むNYのアパートには日系アメリカ人を揶揄した典型的な人種差別描写として批判されることになるユニオシという人物が出てくる。主人公ホリー・ゴライドリーと猫のいる同じアパートに、雑誌カメラマンで日系2世の男という設定である。しかも、もう一人の登場人物のジョー・ベルはユニオシをJapと耳障りな呼び方をする部分あった。
ユニオシの名前の由来は、20世紀前半のアメリカで活動して、名がしれた日本人画家の国吉康雄ではないかと言われている。映画のユニオシは、
ミッキー・ルーニーがへたくそな英語で日系人風を演じ、背が低く、メガネ、出っ歯などといった当時においてのステレオタイプ的な醜い容姿に演出されている。エピソードとして部屋のカギをもち忘れたホリーがユニオシを訪ねるシーンでは、ユニオシの部屋が俗悪な日本趣味として描かれる上、起こされたユニオシは極めて狼狽する。ホリーに起こされることが何度も続いたユニオシは、さらに階下でうるさいパーティーをしたホーリーに反感を抱き、警察を呼んで彼女を逮捕させる嫌な奴という設定になっている。
これが当時のアメリカ人、ヨーロッパ人の感覚だったのだろう。日本人自体を見たことがない人も多かった。
それが、今はどうだろう、江戸から明治にジャポニズムとして、西欧芸術家が憧れた日本とはまた違った形で、クール・ジャパンが愛されている。長身で非の打ちどころのないスタイル、惚れ惚れするアスリートの筋肉を備え、いつも、翔タイムを演出してしまう、日米球界のスーパースターとなった。日本アニメも大人気で、我々が子供の頃に憧れたデズニ―の世界観にはない魅力を世界中の若者に与えている。