大谷翔平(28)のエンゼルスは、15日(日本時間)からのレッドソックス4連戦を皮切りに今季最長の17連戦がスタートする。そんな中、投手大谷に関して気になる研究報告が明らかになった。米ダートマス大学の研究チームは去る8日、「地球温暖化によるMLBの本塁打数増加の影響」と題する論文を発表。
1962年〜2019年の約10万試合、22万の打球を検証したところ、温暖化による気温上昇に伴って空気抵抗が低下したことで、打球の飛距離が伸びているという。特に屋外の球場で気温が1度上がるとデーゲームでの本塁打数は2.4%増加。10年以降の約500本は温暖化による恩恵を受けたものと結論付けた。
打者大谷にとっては有利ではあるものの、逆にマウンドでは不安材料になりかねない。
大谷は比較的、デーゲームを苦手にしている。自己最多の15勝(9敗)を挙げた昨季はナイターで22試合に登板し、13勝6敗、防御率2.28、9本塁打、奪三振率12.4。デーゲームでは6試合の登板で2勝3敗、防御率2.53、5本塁打、奪三振率は9.8。防御率と奪三振率はナイターを下回った。
今季初勝利を挙げた6日のデーゲームでのマリナーズ戦は6回を3安打1失点と好投したものの、6四死球と制球を乱した。今季はWBCに出場するため、例年よりも急ピッチで調整を進め、レギュラーシーズン開幕から投打とも好スタートを切ったが、過酷な17連戦に加え、苦手なデーゲームによる負担が一層、大谷のフィジカルを蝕みかねないのだ。
「ナイターデー」が10試合中9試合
ネビン監督は今季、原則、中5日で投手として起用する方針。午前11時開始というイレギュラーなレッドソックス戦に先発させるのも、エースとして中5日をキープしたいからだ。
今後も大谷が中5日のローテで回れば、デーゲームに10試合登板することになり、昨季の6試合を大幅に上回る。ただでさえ昼間の登板は相性が悪いうえに、よりフィジカルへの負担が大きい「ナイターデー」(ナイター翌日のデーゲーム)は10試合中、実に9試合にも上る。大谷は翌日に登板を控えていても、前日の試合にDHとしてフル出場するケースが多いだけに、なおさらその反動が懸念される。
しかも、大谷が登板予定のデーゲーム10試合の相手は、オリオールズ(チーム総本塁打18本塁打=メジャー4位タイ)、ブレーブス(同16本塁打=8位タイ)ら強力打線を擁するチームばかり。本拠地エンゼルスタジアムはもちろん、ブ軍のトゥルーイストパーク(アトランタ)、オ軍のカムデンヤーズ(ボルティモア)は本塁打が出やすい球場として知られており、強力打線の餌食にもなりかねない。
大谷は日本時間18日のレッドソックス戦に3勝目(0敗)をかけて登板するが、当日は日中にボストンマラソン(現地時間午前9時37分号砲)が開催される関係で、試合開始は異例の午前11時10分。前日も午後1時35分開始のデーゲームとはいえ、ただでさえ地獄の連戦で疲労の蓄積が心配されるうえに、難しい調整を強いられそうだ。
今季の大谷は、いずれも2年連続となる投打のの規定数(162イニング、502打席)、2ケタ勝利、200奪三振到達がかかる。日本人初のサイ・ヤング賞も期待されるものの、地獄の連戦と鬼門のデーゲームをいかに乗り越えられるかが、大きなカギとなる。
出典 日刊ゲンダイ(4/14)