去年7月の初当選以降、アラブ首長国連邦(UAE)に滞在したまま一度も登院していないNHK党のガーシー氏(本名・東谷義和)について、21日の参院懲罰委員会で本会議場で陳謝させる懲罰処分を全会一致で決めました。
懲罰委では、「(ガーシー氏が)不当な拘束を受ける可能性がある」などとするガーシー氏の弁明書をN党の浜田聡参院議員が代読。与野党の意見表明を経て、4段階の懲罰のうち3番目に重い「議場での陳謝」とすることが決まりました。
参院議院運営委員長も速やかに帰国して出席するよう、NHK党に要請してきました。このたび、国会欠席を理由とした懲罰処分は初。22日にも開く参院本会議で正式に決める方針となりました。最も重い除名ではなかったことには「国民から選ばれた立場は重い」ということであり、ただ「病気で入院して出られませんとは訳が違う。この点ははっきりしているわけだから、国会議員の重みは考えて欲しい」ということです。
しかし、このままガーシー氏が欠席を続けた場合、参院懲罰委員会で除名が協議される可能性もあります。もっとも、ガーシー氏に限らず、選挙で当選することには重い意味があります。民主主義では最高の価値を持つ、民意の結果だからです。たとえば国会議員には、原則として国会の会期中には逮捕されない不逮捕特権があります(現行犯や、院の許諾があった場合は逮捕される)。(※ 憲法50条 両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会期中これを釈放しなければならない)
また、議院での演説、討論や表決について、国会の外では責任を問われない規定もあります。(※ 憲法51条 両議院の議員は、議院で行つた演説、討論又は表決について、院外で責任を問はれない)
これらはいずれも議員の身分を保護するためにあります。政府にとって都合の悪い発言や行為をしたために国会議員が逮捕されることは、ロシアの例を挙げるまでもなく世界では、あるいはこれまでの歴史の中ではよくあることです。そのようなことが絶対に起きないために、議員の身分は一見過剰なほど手厚く保護されていたのです。
参照 毎日新聞(22/10/11)