13日付の中国紙、北京青年報は新型コロナウイルス対策の緩和は「後戻りできない段階に入った」と伝えた。「ゼロコロナ」政策の事実上の崩壊により北京などで感染がまん延しているものの、当局は各種制限の撤廃を続ける構え。
スマートフォンで市民の行動履歴を管理する全国共通アプリは13日廃止となった。北京青年報はアプリの廃止によって、これまでのように隔離が繰り返される心配はなくなり、経済回復を後押しすることになるだろうと強調した。
7日以降、感染拡大を徹底的に食い止める「ゼロコロナ」政策の大幅緩和が進んだ。中国政府は12日、中国本土で11日に報告された感染者が空港での検疫による確認などを除き8626人だったと発表した。香港メディアによると、1万人を下回るのは約1カ月ぶりで、そのうち北京の感染者数は1137人だった。北京市当局は12日までに、企業が操業を再開する際にも出勤率の上限を設けないといった方針を示した。13日には、市民の旅行履歴を確認するため中国全土で使われていた携帯電話のアプリ稼働を停止する。
現在、大幅緩和を受けて病院など一部を除き、PCR検査の陰性証明書の提示は不要だ。PCR検査数が減り、感染者数は減少傾向だが、医療機関の利用者が急増している。中国メディアによると、北京では救急車の出動要請が普段の約6倍に相当する3万件超になった。当局は、重篤な状態でなければ救急車の利用を控えるよう求めているという。発熱外来のある病院には、数時間待ちの行列ができていると伝えられるので、感染者数は相当な勢いで増えているとみられる。
北京市など中国の大都市を中心に、新型コロナウイルスの感染が急速に広がっているもようだ。そうした中でも、当局は対策の緩和姿勢を強めている。
参照 共同通信