地方議員は兼職が自由です。2000年代になって若手議員が増え、それに伴って専業の地方議員も増えていますが、それまでは地方議員は地元の名士や有力者の名誉職という色彩が強く、兼職も当たり前に行なわれていたので、今もその意識は残っています。
しかし、地方議員の最大のミッションは議会や委員会を通じた政策提言と行政チェックの2つのはずなのに、その肝心の議会や委員会は多くの自治体で年4回、3の倍数の月にしか開催されていません。国会議員が1〜6月の通常国会、秋の臨時国会で年間200日以上は議会に拘束されるのに対して、地方議員が議会に拘束される日数は90日以下というところが多いのです。
地方議員は兼職が自由です。2000年代になって若手議員が増え、それに伴って専業の地方議員も増えていますが、それまでは地方議員は地元の名士や有力者の名誉職という色彩が強く、兼職も当たり前に行なわれていたので、今もその意識は残っています。
地方議会の実態を一言で表現すれば、「怠け者の楽園」だ。皆で仲良く手抜きするというのが、いわば暗黙の了解事項となっている。議員本来の活動に真剣に取り組む人はごくごく一握りで、しかも彼らは周囲から冷たい視線を浴びている。圧倒的多数の仕事をしない議員にすれば、迷惑で目障りな存在でしかないからだ。
地方議会の役割の1つが、執行部に対する監視と言われている。その役割を果たすためのツールの1つが、議場での一般質問である。首長ら執行部と対峙し、様々な質問や意見を直接ぶつけて回答を求める場である。議員活動の根幹を成すもので、日頃の調査・研究・学習の成果を発揮する晴れの舞台とも言える。それゆえに、議員の質問の機会は可能な限り認めるのが、議会本来のあるべき姿であろう。
なにしろ日本の行政機関は、本来、住民に知らせるべき情報さえも、聞かれない限りは明らかにしないという習性を持っているからだ。積極的に情報公開するのではなく、聞かれて渋々やっと開示するという困った体質から、いまだに脱し切れていないのである。
議員の質問の機会を制限するのは、自分たちの手足を自分たちで縛ることに他ならず、矛盾した行為と言える。ではなぜ、議会側は自らの存在価値を貶めるような行為をあえてとるのだろうか。
答えは2つある。1つは「怠け者の楽園」を変えたくないという思いである。快適なぬるま湯から上がるのは嫌なのだ。そしてもう1つが、執行部との馴れ合い体質である。実はこの2つ、コインの裏表の関係となっている。そして、二元代表制の本来の機能を阻害させる最大の要因ともなっている。
質問や意見表明の自由を縛ることがおかしいのであって、義務化するのも筋違いである。そもそも、議場で語るべきものを持たない人や語れない人は議員になってはならないし、議員に選んではならない。もの言わぬ議員が議場に存在すること自体、あってはならないことだと考える。しかし、そのあってはならない議員ばかりという沈黙の議会も少なくない。
議会の実態をどうにかしない限り、地方創生など夢のまた夢でしかない。まずは地方議会を変えることから始めるべきだ。地域住民の役に立つ議会に、変えるのである。それには、働かずに踏ん反り返って平然と報酬を手にする議員を、真面目に働く議員に取り換えるしかない。議会改革の最善・最良・最短の道は、選挙によるメンバーチェンジが重要な機会だ。
週刊ダイヤモンド(概略) 2015/3/10 2014/8/8
https://diamond.jp/articles/-/68071?page=4
https://diamond.jp/articles/-/57316?page=3&unlock=1
また、「市長とのツーショット・ポスターで二元代表制への無知を露呈」と書かれた議員や「議員の資質に欠かせない財政に強い本格議員。希少価値的存在」と絶賛される議員も。なかには「会派に埋もれ、鳴かず飛ばずの議員で存在感薄まる一方。期待裏切る若手」と叱咤激励するようなコメントもある。
すべての地方議会を対象にした調査(2011年)によると、過去4年間に首長が提出した議案を一つも修正・否決していない“丸のみ”議会が50%、議員提案の政策や条例が一つもない“無提案”議会が91%もありました。
即ち、ステレオタイプな言い方をすれば、多くの地方議員は報酬を得ているのにも拘らず、せいぜい1年に3ヵ月しか開催されない議会では条例の提案もほとんどせずに首長(行政)の提案を追認するだけ、支持者の依頼を行政につなぐなど地域の既得権益の維持も熱心に行なっている、となります。
例えば、質問通告制ですが、2010年時期までは担当部署とのやり取りが始まり、実際に質疑が行われる当日までヒアリング(聞き取り)などという段階があるのが通例で、大方の議会ではそれが一般的のはずです。
なので、国会、都議会において議員が「事前レクなし」「問い合わせ不可」というようなお断りを入れるようなことになると「本番一発勝負」で、議長は緊張でしょう。ですから当日の発言原稿まであれば、安泰です。
通常は、都議会では最初の意見交換をした後に「じゃあ、もうちょっと詳細を詰めて前日にもう一度最終確認を…」となるとのことでした。
ヒアリングして、答弁調整をするか、一本勝負でいくのか、どちらのやり方が良いというのはわかりませんし、都議会でも最初の「質問通告」や詳細を出さないと打ち合わせが始まらず、やはりギリギリまで手の内を明かさないと、残業や待機を強いられるのでしょう。
ですが、市議会は通告制であり、大方の議会は答弁側が答えるときに戸惑わないようにとさらにヒアリング、聞き取りを求めてくるものだが、我孫子市の場合は、ついぞそのような光景はみられない。