日本では、特に少子高齢化による働き手不足が深刻な社会問題となっています。高齢者層、子育てをするママ・パパ、障害者の方といった人材をどのように有効活用していくかがカギになります。さまざまなバックグラウンドを持つ人材や働き方を受け入れることで、活発な意見交換や新しい提案が起こり、イノベーションが生まれやすくなります。
多種多様な人材がいることで、さまざまな考えが同居し、企業には常に新しい刺激がもたらされます。インクルージョンが実現できれば、新たなアイデアの発見や革新的な商品が生み出されて、企業の成長や人材不足の解決に大きく役立ちます。
オーストラリアは日本よりも先進的な人事の取り組みを見て大きな学びとなり、その他の各拠点のベストプラクティスも参考に、日本の制度や運用の見直しに取り組むこととなりました。
80歳近い社員、ジェネラルマネージャーに採用されてその数ヶ月後に産休取得を報告された方もいました。もちろん採用するときに、妊娠をしているかも言う必要もないという空気なんですね。年齢も、性別も、聞くのはNGというのがもうグローバルスタンダードになっています。
オフィス空間一つとっても、以前はデスクがずらりと並んで一番向こう側に上司の席がある、という配置でしたが、コロナ禍を境にフリーアドレスになったんです。役職を問わず気軽に話せる雰囲気で、さらに欧米風になってきていると感じます。
不確実性や潜在リスクをチーム内で共有することが大切です。重大な決断を迫られる時こそ、過去の多様な経験や知見を参考にするため、社内にダイバーシティがあることがとても大事です。多様な国籍や様々な背景を持つ社員が意見を出し合うことで、リーダーは最適なオプションを選択して探鉱を進めることができます。社内でD&Iが浸透していることで、恐れずに自分のキャリアに挑戦できる、という側面もあると思います。
残業や出張など、あまり無理が効かない中で、上司や同僚は私ができるだけこれまでと変わらないキャリアを積めるようにサポートしてくれます。性別に関係なく社員が活躍できる風土づくりが重要です。
子育て世代の部下を持つ上司向けの研修や、心理的安全性セミナー、アンコンシャスバイアスセミナーといった社内研修なども実施しています。
さらに、社員の自発的な取り組みでLGBTQアライ組織が立ち上がるなど、お互いを尊重し合える風土が根付いてきているのを感じます。
D&Iを推進し、社員がいきいきと働くというのは健康経営の観点からも大切なこと。こうした姿勢をステークホルダーの皆様に発信していけるように、努力を続けているところです。
P&Gでは「ダイバーシティ&インクルージョン ウィーク」と呼ばれるダイバーシティ&インクルージョン(D&I)について学び実践できる場を定期的に開催しています。会社に出勤した時間と自宅での勤務時間を合計して、フルタイム勤務ができる「コンバインド・ワーク」など、個々に沿った働き方をサポートする取り組みも実施しています。
帝人やソニーが特に力を入れているのが障がい者の雇用です。就労意欲のある知的障がい者の雇用と社会参加の機会を設けるために「帝人ソレイユ」「ソニー希望・光」という会社を設立し、障がい者がいきいきと自然に働ける環境を目指しています。
*「ダイバーシティ」は、ビジネスの現場などで多様性(個々のさまざまな違い)を認めた上で採用する取り組み。性別・年齢・国籍・学歴・経歴・職業経験・障がいの有無・趣味嗜好、LGBTQの方など、いわゆる少数派(マイノリティ)の人材を認め受け入れる
*「インクルージョン」は企業の戦力として多様な人材を包括する観点が大切。人材確保が難しい今の時代、多様な人材の活躍を推進するのは、誰もが働きやすい職場環境の作り方を理解することから始まります。