長引くマスク生活に、呼吸の浅さを自覚している人は多いのでは? 自律神経研究の第一人者・小林弘幸氏が「新型コロナウイルスの影響で肺に注目するようになりました。肺の機能が弱まると、血液中に酸素を充分に取り込むことができません。全身の細胞や脳が酸素不足になり、疲労やメンタルトラブルの一因に。また、足りない酸素を補おうと呼吸の回数が増えて浅くなります。浅い呼吸は自律神経のバランスを崩す大きな原因です。ゆったり呼吸して自律神経を整え、酸素をたっぷり含んだ血液を体じゅうに巡らせることが改善策」と語り、呼吸する力を強化し、血液に取り込む酸素量を増やすことで、全身の健康状態を高めることができると説く。
また、肺の中に張り巡らされ、酸素と二酸化炭素の交換を担う肺胞の機能は、加齢とともに衰えるという。残念ながら肺胞そのものは鍛えられないが、呼吸のために使われる筋肉・呼吸筋群にアプローチすれば、何歳からでも肺の機能を高められる。
「肺は、肋骨や胸骨、背骨の胸椎に囲まれた胸郭というカゴ状の骨格の中に収まっています。呼吸の際、この胸郭に付いているさまざまな筋肉・呼吸筋群が動くことで、肺も連動して膨らんだり縮んだりします。肺を意識して、横隔膜、肩甲骨を広げる『肺活エクササイズ』をすることで呼吸筋群の柔軟性を高めれば、胸郭の可動域が広がるので肺が大きく膨らみ、空気をたくさん入れられるようになるといいます。「肺胞自体の機能は変わらなくても1回の換気量が増えますし、深い呼吸は副交感神経に働きかけ、自律神経を整えてくれる。2週間も続ければ、眠りの質や体調の変化を実感できると思いますよ」とのこと、皆様もためしてみてください。