厚生労働省は25日夜の記者会見で、感染症「サル痘」の感染が国内で初めて確認されたと発表した。国内で市中感染が広がっている可能性については「調査次第。調査を自治体で行ってもらい、それに基づいて対応していく」と述べた。
厚労省によると、国内で初めて確認された都内在住の30代男性は6月下旬に欧州に渡航し、現地でサル痘への感染が確認された人と接触していたことを明らかにした。男性は7月中旬に帰国したという。15日に倦怠感を訴え、25日に都内の医療機関を受診、陽性が確認された。濃厚接触者などを調べているという。
国内で感染者が初確認されたサル痘は、根絶された天然痘に似た感染症だ。人から人への感染はまれで、新型コロナウイルスのような大規模な市中感染が起きる恐れは小さいとされる。多くの場合は重症化せず自然回復するため、冷静な対応が求められる。
厚労省は治療について、天然痘の治療薬「テコビリマット」を使用するかどうかは「患者と相談していく」と述べた。患者に希望がある場合は特定臨床研究の位置づけで投与できないか検討する考えを示した。
厚労省は、サル痘の国内での感染確認が入国時の検疫ではなく、入国後だったことについて「検疫で情報提供や注意喚起をしているが、すべての事例において検疫でつかまえることは難しい。引き続き、出入国者に情報提供や注意喚起をしたい」と語った。
サル痘への感染が判明した30代男性が、渡航先で性的接触があったかどうかについて、世界保健機関(WHO)が感染に伴う差別や偏見を懸念しているとした上で「偏見になる可能性が十分ある。答えを控えたい」とした。
また、男性の治療にあたる医療従事者への天然痘ワクチンの接種について、「(接種の効果を調べる)臨床研究の枠組みの中で検討したい」と述べた。
「手指消毒やマスクなど感染対策を」
厚労省は、サル痘への感染者が国内で初めて確認されたことを受け「発熱、発疹など体調に異常がある場合は身近な医療機関に相談してほしいと国民に呼びかけた。