仮にもともと才能があったとしても、環境に恵まれなければ発揮できなかった。
私は「環境=人」だと思っていて、今の日本の社会で、「やろうと思えば何だってできる」と周りが信じてくれることがいかに貴重なことか痛感してきました。だから、子供たちの未来を明るく照らすためには、講演して回るだけでは足りないと思ったんですよね。子供たちの周りの環境が変わらないといけない。
もっと主体的に学んで、学びというものをどんどん楽しんで、生涯にわたって学び続ける学習者を育成するためには、学校や家庭、そして地域教育でどんな環境や経験の場を子供たちに用意すべきなんだろうか。そういうテーマで日本の大学院で学習科学を学びました。
修士論文を書きながら、やはり私も日本からいったん出て修行して、いろんな価値観に触れて、持っているバイアス(偏見)を全部ぶち壊して自分自身をアップデートしないと、これ以上のことはできないなと思ったので、次は海外に挑戦しようと決めました。
コロンビア大の教育大学院は全米でも最大規模です。教育というだけでも81プログラムがあるんですよ。音楽の視点で教育を見るとか、脳科学の視点とか、もう本当に数え切れないぐらい多くの視点があって、そこにニューヨークという地の利もあり、全世界からいろいろなバックグラウンドを持った人たちが来ます。カリフォルニア大の大学院も合格したが、どんな人と出会えるだろうと想像して一番ワクワクした進学先を決めました。
いつか日本が「世界一幸せな子供が育つ国」と言われるようになってほしいんです。日本の子供たちの低い自己肯定感は、私たち大人の責任です。
子供たち自身が「自分はできる!」と信じて、何かに挑戦できるようになるためには、周りが信じてあげることが不可欠です。
子供たちにとって、そんな理想的な環境が日本で広がっていくことに貢献したい。そのために、アメリカでしっかり学んできたいと思います。
こばやし・さやか 1988年、愛知県生まれ。塾の担当講師だった坪田信貴さんの著書「学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話」(KADOKAWA)が2013年に出版され、広く知られるように。21年に聖心女子大大学院修士課程修了(学習科学)。22年秋からコロンビア大の教育大学院で認知科学を研究する予定。今後、自身のTwitter(@sayaka03150915)やnoteでも、アメリカ留学での体験記を更新していく予定。
出典: ハフポスト日本版 2022/07/24