2022年04月30日
芭蕉の世界観
ジョン・レノンは芭蕉の俳句の世界観にも関心をもったことは知られている。オノ・ヨーコと出会ってから日本文化への関心、理解を深め、想像以上に禅や俳句の世界に影響を受けていることを知って感銘を受けたという。
「俳句の世界を知ったんだが、 それは本当にファンタスティックなんだ。 すべての虚飾を取り去ったあとには真実が残る。”俳句”は僕が今まで読んだ詩の形式の中で最も美しいものだ。僕の作品も今後はより短く、より簡潔になっていくだろう」と言って、作ったのが「イマジン」だったと言われる。
1960〜70年代に全盛期だったヒッピー・ムーブメントの中で、ジョージ・ハリスンがインド哲学に魅了されたように、ジョンもインド哲学や道教などの東洋思想に影響を受けた。中でも禅、俳句の世界観に強く引かれていく。
「60年代当時、鈴木大拙による英語の禅に関する著作を、精神性を志向する若者の多くが読んでいました。ジョンが読んでいたとしても不思議ではありません。また、ヨーコから具体的にどんな影響を受けたのかは分かりませんが、彼女と出会ってから俳句に親しむようになった。以前のサイケデリックで装飾過剰な作品は影を潜め、「アクロス・ザ・ユニバース」「ビコーズ」など、簡潔で詩的な言い回しにシンプルなサウンドが特徴的になっていきました」
71年に『ジョンの魂』(John Lennon/Plastic Ono Band)が日本で発売された際(英国では70年12 月)のインタビューでジョンは、「最近、禅や俳句から影響を受けている」と語っている。「禅の精神で自分は“シブい”アルバムを作ったと言っています。また、『今までに読んだ詩の形態の中で俳句は一番美しいものだ。だから、これから書く作品は、より短く、より簡潔に、俳句的になっていくだろう』とも語りました。人間の心を本当に伝えるのはシンプルな言葉なのだ―そういう境地に達したのでしょう」
参照HP:https://www.nippon.com/ja/japan-topics/g00979/