2022年04月30日
芭蕉の世界観
ジョン・レノンは芭蕉の俳句の世界観にも関心をもったことは知られている。オノ・ヨーコと出会ってから日本文化への関心、理解を深め、想像以上に禅や俳句の世界に影響を受けていることを知って感銘を受けたという。
「俳句の世界を知ったんだが、 それは本当にファンタスティックなんだ。 すべての虚飾を取り去ったあとには真実が残る。”俳句”は僕が今まで読んだ詩の形式の中で最も美しいものだ。僕の作品も今後はより短く、より簡潔になっていくだろう」と言って、作ったのが「イマジン」だったと言われる。
1960〜70年代に全盛期だったヒッピー・ムーブメントの中で、ジョージ・ハリスンがインド哲学に魅了されたように、ジョンもインド哲学や道教などの東洋思想に影響を受けた。中でも禅、俳句の世界観に強く引かれていく。
「60年代当時、鈴木大拙による英語の禅に関する著作を、精神性を志向する若者の多くが読んでいました。ジョンが読んでいたとしても不思議ではありません。また、ヨーコから具体的にどんな影響を受けたのかは分かりませんが、彼女と出会ってから俳句に親しむようになった。以前のサイケデリックで装飾過剰な作品は影を潜め、「アクロス・ザ・ユニバース」「ビコーズ」など、簡潔で詩的な言い回しにシンプルなサウンドが特徴的になっていきました」
71年に『ジョンの魂』(John Lennon/Plastic Ono Band)が日本で発売された際(英国では70年12 月)のインタビューでジョンは、「最近、禅や俳句から影響を受けている」と語っている。「禅の精神で自分は“シブい”アルバムを作ったと言っています。また、『今までに読んだ詩の形態の中で俳句は一番美しいものだ。だから、これから書く作品は、より短く、より簡潔に、俳句的になっていくだろう』とも語りました。人間の心を本当に伝えるのはシンプルな言葉なのだ―そういう境地に達したのでしょう」
参照HP:https://www.nippon.com/ja/japan-topics/g00979/
2022年04月29日
宇宙に骨を埋めるビジネス
人やペットの遺骨を宇宙に送る「宇宙葬」のビジネスを、茨城県つくば市の新興企業「SPACE NTK」(葛西智子代表)が展開している。今月上旬には、米宇宙企業スペースXのロケットで、人やペット計10体の遺骨の一部を宇宙空間に送ることに成功した。
「空を飛びたかった娘の夢をかなえてあげたい」。長女(享年7歳)を2009年に脳腫瘍で亡くした三重県名張市の会社員、長倉輝明さん(54)は、自宅で保管していた長女の遺骨を託した。
遺骨は専用容器に納められ、さらに金属製の箱に入れてロケット上段に搭載。ロケットは今月1日、米フロリダ州から打ち上げられ、上段部分が切り離された。上段部分は金属箱を搭載した状態で数年間、地上約500〜600キロ・メートルを周回した後、大気圏に再突入して燃え尽きるという。
長倉さんは自身と妻、長女の祖母の毛髪も金属箱に納めており、「宇宙で家族旅行ができる」と喜ぶ。
代表の葛西さんはもともと葬儀関連の会社を経営しており、「人は亡くなったら、星になって地上の人を見守るんだよ」という幼い頃に母から聞いた言葉を胸に、17年に創業したという。20年秋には、知人のつてや国際会議への出席などを通じ、スペースXとロケット利用に関する契約を締結した。
今回の打ち上げを現地で見守った葛西さんは「日本で宇宙葬が始まった瞬間を見届けられて、感無量だった。夜空に輝く故人を毎晩、思い出せるのは何よりの供養だ」と話した。
宇宙葬の費用は50グラムまでの部分散骨で55万円(税込み)。次の打ち上げは来年1月にも計画しており、「自然葬の新たな選択肢にしたい」(葛西さん)という。宇宙葬は、米企業なども実施している。
出典:読売新聞(4/18)
「空を飛びたかった娘の夢をかなえてあげたい」。長女(享年7歳)を2009年に脳腫瘍で亡くした三重県名張市の会社員、長倉輝明さん(54)は、自宅で保管していた長女の遺骨を託した。
遺骨は専用容器に納められ、さらに金属製の箱に入れてロケット上段に搭載。ロケットは今月1日、米フロリダ州から打ち上げられ、上段部分が切り離された。上段部分は金属箱を搭載した状態で数年間、地上約500〜600キロ・メートルを周回した後、大気圏に再突入して燃え尽きるという。
長倉さんは自身と妻、長女の祖母の毛髪も金属箱に納めており、「宇宙で家族旅行ができる」と喜ぶ。
代表の葛西さんはもともと葬儀関連の会社を経営しており、「人は亡くなったら、星になって地上の人を見守るんだよ」という幼い頃に母から聞いた言葉を胸に、17年に創業したという。20年秋には、知人のつてや国際会議への出席などを通じ、スペースXとロケット利用に関する契約を締結した。
今回の打ち上げを現地で見守った葛西さんは「日本で宇宙葬が始まった瞬間を見届けられて、感無量だった。夜空に輝く故人を毎晩、思い出せるのは何よりの供養だ」と話した。
宇宙葬の費用は50グラムまでの部分散骨で55万円(税込み)。次の打ち上げは来年1月にも計画しており、「自然葬の新たな選択肢にしたい」(葛西さん)という。宇宙葬は、米企業なども実施している。
出典:読売新聞(4/18)
2022年04月28日
非核三原則の話合い、考えていくことは閉ざさない
ロシアによるウクライナ侵攻を受け、安倍晋三元首相や日本維新の会が日本の「核共有」の議論の必要性に言及し、長崎市の市民団体「長崎の証言の会」が抗議文を送るなどの動きが出ている。
核共有とはどんな考え方なのか、軍備管理・軍縮・不拡散が専門の西田充・長崎大多文化社会学部教授に聞いた。
――日本の非核三原則や安全保障への影響は。
◆NATOモデルの核共有の場合、日本固有の領土に米国の核兵器を配備することになるため、核を「持ち込ませず」に完全に反することになり、「非核二原則」に修正する必要がある。日本に米の核兵器を配備すれば、有事の際に敵国からの先制攻撃の対象になってしまうので、日本の安全保障にプラスになるのかはよく考えなければならない。
――日本で核共有の議論は必要か。
◆議論を封鎖してしまうと「なぜ核共有はだめなのか」と疑問が解消されないまま不満がたまってしまうので、適切な形で議論するのであれば議論したらいい。きちんと議論をしてしっかりとした結論を出すというプロセスを経ることができれば、より強固な結論が得られ、1、2世代くらいにわたって日本人全体に共有されるだろう。
――NATOで核共有が始まった歴史的背景は。
◆冷戦が始まった1950年代ごろ、欧州が大幅な軍縮を進める中、圧倒的な通常戦力を持ち勢力を広げる旧ソ連の大規模侵攻を抑止するため、米国が戦場単位での使用を想定した大量の戦術核を欧州に配備した。
その後、旧ソ連が最初に大陸間弾道ミサイル(ICBM)を開発し、旧ソ連の欧州侵攻に米国が核兵器で対抗した場合も旧ソ連が米本土にICBMを撃ち込むことが可能になった。欧州に「ベルリンやパリを守るために米国がワシントンを犠牲にするのか」という疑念が生まれ、米国はそれを緩和するために欧州に配備した戦術核を、有事に同盟国から要請があれば同盟国が使えるようにした。それが核共有の先駆けだ。
――核共有とはどんな仕組みか。
◆(欧米30カ国が加盟する)北大西洋条約機構(NATO)が実施している。平時は「ホスト国」と呼ぶ▽ドイツ▽イタリア▽ベルギー▽トルコ▽オランダ――の5カ国に米軍の核兵器を配備し、米軍が管理する。平時は米軍が管理するため、(米露英仏中の5カ国以外への核不拡散を目的とした)核不拡散条約(NPT)には違反しないと解釈されている。
有事の際は、米国と非核保有国が政策協議をするNATO内の「核計画グループ」(NPG)が核兵器の使用を承認し、米大統領が許可すれば、米軍が核兵器をリリース(発射・投下)する。核兵器使用の責任とリスクの共有がNATOの核共有の肝だ。
「核シェアリング」と呼ばれることがあるが、米大統領の許可がなければ使えないので、私は「シェアリング」とも言えない「レンタル未満」と考えている。
――「核の傘」と違いは。
◆大きな差はない。核を巡るスタンスとしては@完全な非核(核兵器を持たないし、核の傘にも入らない)A独自に核兵器を持つB(自らは核兵器を保有しないが)核の傘に入る――の三つがある。核共有は、@とAの中間である核の傘に、若干プラスアルファをしたものだ。
出典:毎日新聞(4/16)
核共有とはどんな考え方なのか、軍備管理・軍縮・不拡散が専門の西田充・長崎大多文化社会学部教授に聞いた。
――日本の非核三原則や安全保障への影響は。
◆NATOモデルの核共有の場合、日本固有の領土に米国の核兵器を配備することになるため、核を「持ち込ませず」に完全に反することになり、「非核二原則」に修正する必要がある。日本に米の核兵器を配備すれば、有事の際に敵国からの先制攻撃の対象になってしまうので、日本の安全保障にプラスになるのかはよく考えなければならない。
――日本で核共有の議論は必要か。
◆議論を封鎖してしまうと「なぜ核共有はだめなのか」と疑問が解消されないまま不満がたまってしまうので、適切な形で議論するのであれば議論したらいい。きちんと議論をしてしっかりとした結論を出すというプロセスを経ることができれば、より強固な結論が得られ、1、2世代くらいにわたって日本人全体に共有されるだろう。
――NATOで核共有が始まった歴史的背景は。
◆冷戦が始まった1950年代ごろ、欧州が大幅な軍縮を進める中、圧倒的な通常戦力を持ち勢力を広げる旧ソ連の大規模侵攻を抑止するため、米国が戦場単位での使用を想定した大量の戦術核を欧州に配備した。
その後、旧ソ連が最初に大陸間弾道ミサイル(ICBM)を開発し、旧ソ連の欧州侵攻に米国が核兵器で対抗した場合も旧ソ連が米本土にICBMを撃ち込むことが可能になった。欧州に「ベルリンやパリを守るために米国がワシントンを犠牲にするのか」という疑念が生まれ、米国はそれを緩和するために欧州に配備した戦術核を、有事に同盟国から要請があれば同盟国が使えるようにした。それが核共有の先駆けだ。
――核共有とはどんな仕組みか。
◆(欧米30カ国が加盟する)北大西洋条約機構(NATO)が実施している。平時は「ホスト国」と呼ぶ▽ドイツ▽イタリア▽ベルギー▽トルコ▽オランダ――の5カ国に米軍の核兵器を配備し、米軍が管理する。平時は米軍が管理するため、(米露英仏中の5カ国以外への核不拡散を目的とした)核不拡散条約(NPT)には違反しないと解釈されている。
有事の際は、米国と非核保有国が政策協議をするNATO内の「核計画グループ」(NPG)が核兵器の使用を承認し、米大統領が許可すれば、米軍が核兵器をリリース(発射・投下)する。核兵器使用の責任とリスクの共有がNATOの核共有の肝だ。
「核シェアリング」と呼ばれることがあるが、米大統領の許可がなければ使えないので、私は「シェアリング」とも言えない「レンタル未満」と考えている。
――「核の傘」と違いは。
◆大きな差はない。核を巡るスタンスとしては@完全な非核(核兵器を持たないし、核の傘にも入らない)A独自に核兵器を持つB(自らは核兵器を保有しないが)核の傘に入る――の三つがある。核共有は、@とAの中間である核の傘に、若干プラスアルファをしたものだ。
出典:毎日新聞(4/16)
2022年04月27日
ウィズ・コロナの世界の旅行希望地
日本政策投資銀行株式会社(DBJ)と公益財団法人の日本交通公社(JTBF)が共同し、DBJ・JTBF両社は『アジア・欧米豪 訪日外国人旅行者の意向調査』と題し、毎年同様のアンケートを実施している。昨年10月にオンラインで実施、海外在住のおよそ7000人の回答者に「次に海外旅行したい国」を質問したところ、選択肢として用意された世界の31の国と地域中、日本が1位を占めた。実際の調査は、DBJおよびJTBFから委託を受けた楽天インサイト株式会社が実施した。回答者の半数近く(47%)が過去1回以上の訪日経験があると答えていることから、回答者群に一定の偏りが生じている可能性は否定できない。ただし、欧米豪の回答者に限れば訪日経験があるのは回答者のおよそ2割に限られたが、それでも日本が1位の支持を集める結果となった。
旅行先として好まれた順位と選択した回答者の割合(かっこ内)は次のようになっている。アジアと欧米豪の居住者の両方から、一貫して高い支持を得ていることがわかる。
2020年以降はコロナ禍を前提とした特別調査の形で実施しており、2020年6月の第1回、同年12月の第2回に続き、今回で3回目となる。今回は海外旅行経験のある7355人を対象にアンケートを実施し、うち6294名から有効な回答を得た。回答者の居住国は前回同様、アジアと欧米豪を対象としている。
アジア居住者による回答(複数回答、上位5ヶ国の抜粋):
1位:日本(67%)
2位:韓国(43%)
3位:台湾(28%)
4位:オーストラリア(27%)
5位:タイ(26%)
欧米豪居住者による回答(複数回答、上位5ヶ国の抜粋):
1位:日本(37%)
2位:アメリカ(33%)
3位:オーストラリア(28%)
4位:カナダ(28%)
5位:イタリア(25%)
5位:イギリス(25%)
両社は報告書のなかで「次に海外旅行したい国・地域の1位は『日本』。アジア、欧米豪ともに第2回調査に引き続きトップ」と述べ、長引くパンデミックのなかで変わらない人気を誇ると分析している。
第1回調査でも在アジアの人々から1位の支持を得たが、当時は56%の割合であった。今回の67%でなお地位を盤石にした形となる。報告書は「特にアジアにおいて、日本の人気は群を抜いており、2位の韓国とは20ポイント以上の差がある」と指摘している。
清潔さ、食事のおいしさ、治安の良さなども評価につながっているようだ。アジアの人々からは、ショッピングの魅力と低予算の旅行客にも優しい点が歓迎されているようだ。一方、欧米による支持が唯一アジアを上回った項目として、「長期滞在に適しているから」が目立つ。長期休暇を取得しやすい欧米の居住者にとって、長期を快適に過ごせるか否かは大きなポイントになってくるようだ。
訪日時に実際に行いたいアクティビティとしては、自然の満喫や花見、そして日本料理を堪能するなど、いかにも日本らしい体験が上位を占めている。
1位:自然や風景の見物(65%)
2位:桜の鑑賞(64%)
3位:伝統的日本料理(57%)
4位:温泉への入浴(53%)
5位:有名な史跡や歴史的な建築物の見物(50%)
5位:雪景色鑑賞(50%)
7位:紅葉の鑑賞(45%)
7位:日本庭園の見物(45%)
いずれも洋の東西を問わず高い需要があるが、温泉については欧米豪の支持率が38%とやや低い。文化的に裸の付き合いに若干抵抗がある傾向がうかがえる。
反対に欧米での支持が高い項目は、7位の「日本庭園の見物」だった。アジアからの支持が42%だったのに対し、欧米豪では3割増しとなる57%が興味を示している。
出典:New Sphere (2/11)
旅行先として好まれた順位と選択した回答者の割合(かっこ内)は次のようになっている。アジアと欧米豪の居住者の両方から、一貫して高い支持を得ていることがわかる。
2020年以降はコロナ禍を前提とした特別調査の形で実施しており、2020年6月の第1回、同年12月の第2回に続き、今回で3回目となる。今回は海外旅行経験のある7355人を対象にアンケートを実施し、うち6294名から有効な回答を得た。回答者の居住国は前回同様、アジアと欧米豪を対象としている。
アジア居住者による回答(複数回答、上位5ヶ国の抜粋):
1位:日本(67%)
2位:韓国(43%)
3位:台湾(28%)
4位:オーストラリア(27%)
5位:タイ(26%)
欧米豪居住者による回答(複数回答、上位5ヶ国の抜粋):
1位:日本(37%)
2位:アメリカ(33%)
3位:オーストラリア(28%)
4位:カナダ(28%)
5位:イタリア(25%)
5位:イギリス(25%)
両社は報告書のなかで「次に海外旅行したい国・地域の1位は『日本』。アジア、欧米豪ともに第2回調査に引き続きトップ」と述べ、長引くパンデミックのなかで変わらない人気を誇ると分析している。
第1回調査でも在アジアの人々から1位の支持を得たが、当時は56%の割合であった。今回の67%でなお地位を盤石にした形となる。報告書は「特にアジアにおいて、日本の人気は群を抜いており、2位の韓国とは20ポイント以上の差がある」と指摘している。
清潔さ、食事のおいしさ、治安の良さなども評価につながっているようだ。アジアの人々からは、ショッピングの魅力と低予算の旅行客にも優しい点が歓迎されているようだ。一方、欧米による支持が唯一アジアを上回った項目として、「長期滞在に適しているから」が目立つ。長期休暇を取得しやすい欧米の居住者にとって、長期を快適に過ごせるか否かは大きなポイントになってくるようだ。
訪日時に実際に行いたいアクティビティとしては、自然の満喫や花見、そして日本料理を堪能するなど、いかにも日本らしい体験が上位を占めている。
1位:自然や風景の見物(65%)
2位:桜の鑑賞(64%)
3位:伝統的日本料理(57%)
4位:温泉への入浴(53%)
5位:有名な史跡や歴史的な建築物の見物(50%)
5位:雪景色鑑賞(50%)
7位:紅葉の鑑賞(45%)
7位:日本庭園の見物(45%)
いずれも洋の東西を問わず高い需要があるが、温泉については欧米豪の支持率が38%とやや低い。文化的に裸の付き合いに若干抵抗がある傾向がうかがえる。
反対に欧米での支持が高い項目は、7位の「日本庭園の見物」だった。アジアからの支持が42%だったのに対し、欧米豪では3割増しとなる57%が興味を示している。
出典:New Sphere (2/11)
2022年04月26日
台湾では新型コロナの感染が再拡大
台湾の衛生当局は22日、新型コロナウイルスの市中感染者が新たに3766人確認されたと発表しました。
4月以降、感染者が急増し、過去最多を大きく更新しています。
感染の拡大を受けて台北市などの自治体では重症化リスクの高い高齢者を守るため、病院や高齢者施設への見舞いを禁止する通知を出しました。
台湾は重症化率を抑えながら経済との両立を図る方針を打ち出していて地元メディアは7月にも水際対策を徐々に緩和し、入国者の隔離措置を免除する方針を示したと報じています。
テレ朝(4/22)
4月以降、感染者が急増し、過去最多を大きく更新しています。
感染の拡大を受けて台北市などの自治体では重症化リスクの高い高齢者を守るため、病院や高齢者施設への見舞いを禁止する通知を出しました。
台湾は重症化率を抑えながら経済との両立を図る方針を打ち出していて地元メディアは7月にも水際対策を徐々に緩和し、入国者の隔離措置を免除する方針を示したと報じています。
テレ朝(4/22)
2022年04月25日
マスク、いつまで
欧米諸国の一部で緩和されているマスクの着用について、22日、中川会長は官邸を訪れ岸田総理大臣と面会。日本医師会・中川俊男会長:「外国がマスクを解除したから日本も、ということではないんだろうという意味で申し上げたということです。終息が来るんだというのが分かった時点で、初めてマスクを外していいと思う」「ウィズコロナの状態でマスクを外すという時期が日本に来るとは思っていません」とウィズコロナ」の状態でマスク着用を緩和する動きに否定的な考えを示したのです。
ウィズコロナの状態で脱マスクの動きが加速。アメリカではすでにマスク姿が珍しいほどの状況に…。 18日には、公共交通機関でのマスク着用義務は違法だとする判決が下され、航空会社や鉄道、配車サービスなどが次々とマスク着用義務を解除。
そして、イギリスでは1月に公共施設などでのマスクの着用義務が撤廃され、今や多くの市民が当たり前のようにマスクなしで出歩き、パブで楽しむ姿が。
こうした状況にツイッターでは。「日本だけ取り残されてる感がすごい」「ワクチン接種が条件で、なしでいいでしょ」
出典・テレ朝(4/22)
ウィズコロナの状態で脱マスクの動きが加速。アメリカではすでにマスク姿が珍しいほどの状況に…。 18日には、公共交通機関でのマスク着用義務は違法だとする判決が下され、航空会社や鉄道、配車サービスなどが次々とマスク着用義務を解除。
そして、イギリスでは1月に公共施設などでのマスクの着用義務が撤廃され、今や多くの市民が当たり前のようにマスクなしで出歩き、パブで楽しむ姿が。
こうした状況にツイッターでは。「日本だけ取り残されてる感がすごい」「ワクチン接種が条件で、なしでいいでしょ」
出典・テレ朝(4/22)
2022年04月24日
2022年04月23日
英女王の人形
英女王は今年、在位70年のプラチナ・ジュビリーを祝う、最初の英国君主となった。96歳という年齢は、英王室にとって別の意味でも前例がない。ヴィクトリア女王とジョージ3世で、ともに81歳まで生きた。80代を迎えたのは、この2人だけだった。
国家統計局によると、エリザベス女王はイギリスにいる95〜99歳の約12万4000人の1人。これらのほぼ75%は女性だ。
エリザベス女王の96歳の誕生日である4月21日(木)には、女王を模したバービー人形が発売された。マテル社が発表したバービー人形は「1959年以来、バービーのブランドの目的は全ての少女の限りない可能性をインスパイアし、彼女達が何にでもなれることを伝えることでした」という。
マテルが昨年発売した「社会に傑出した影響と遺産を残した先見者」を記念したバービーの「トリビュート・コレクション」の一環である。
今回の人形について、同社のスポークスパーソンはテレグラフ紙に「1953年の戴冠式以降、女王の類まれな在位中にはその任務や人道支援の先導、公務に捧げた人生、祝福や内省の時や社会において国をまとめてこられた姿を目にしてきました。宝冠を戴くドレス姿の女王であれば、少女へのメッセージとして、今ほどふさわしい時はないと思います」と話した。
一方で誕生日を記念して、ウィンザー城の庭で愛馬2頭と撮影した女王の写真も公開されている。
出典:Bang Showbiz 2022/04/22
国家統計局によると、エリザベス女王はイギリスにいる95〜99歳の約12万4000人の1人。これらのほぼ75%は女性だ。
エリザベス女王の96歳の誕生日である4月21日(木)には、女王を模したバービー人形が発売された。マテル社が発表したバービー人形は「1959年以来、バービーのブランドの目的は全ての少女の限りない可能性をインスパイアし、彼女達が何にでもなれることを伝えることでした」という。
マテルが昨年発売した「社会に傑出した影響と遺産を残した先見者」を記念したバービーの「トリビュート・コレクション」の一環である。
今回の人形について、同社のスポークスパーソンはテレグラフ紙に「1953年の戴冠式以降、女王の類まれな在位中にはその任務や人道支援の先導、公務に捧げた人生、祝福や内省の時や社会において国をまとめてこられた姿を目にしてきました。宝冠を戴くドレス姿の女王であれば、少女へのメッセージとして、今ほどふさわしい時はないと思います」と話した。
一方で誕生日を記念して、ウィンザー城の庭で愛馬2頭と撮影した女王の写真も公開されている。
出典:Bang Showbiz 2022/04/22
2022年04月22日
戦場の激化、停止を
インドのティルムルティ国連大使は4月5日、ウクライナ・ブチャでの多数の民間人の遺体が見つかったことについて、これまでロシアへの直接的な非難を避けてきたインドが独立した調査の実施を求めました。
キーウ近郊で多数の民間人の遺体が見つかったことについて「この殺害行為を明白に非難し、独立した調査を求めることを支持する」と述べました。この発言は、アメリカのブリンケン国務長官とインドのジャイシャンカル外相との電話会談の後に行われ、アメリカによるロシアに対する圧力の強化に反応した可能性があります。
インドは長年、ロシアと軍事的に協力関係にあり、これまでの国連でのロシア非難決議でも棄権していました。
出典;テレビ朝日(4/6)
英ジョンソン首相は、ロシア語も交えて、ロシア兵に攻撃の停止を動画でよびかけています。
前京都精華大学長ウスビ・サコ氏が6日、フジテレビ「めざまし8」(月〜金曜前8・00)に出演。ウクライナ国防省が首都キーウ(キエフ)近郊ブチャなどでロシア軍による民間人の大量虐殺があったと発表したことに言及した。サコ氏は「極めて残虐的で、ブチャの市長が言っていたようにある意味で関係のない一般市民が巻き込まれて、その人たちが1番被害を受けている」と指摘。そして「私はこれを見て、ロシア軍は平常の状態でやっているのかというところが疑われる。普通の感覚で同じ人間をこうやって殺していくということはあってはならないし、いろんなことが疑われる。指示系統の乱れより、このロシア軍の人たちは何らかの外的要因で頭が正常でないのでは、と私は言いたい」と自身の見解を述べた。
そのうえで「われわれはグローバルとか平和とか、いろいろなことを言っているんですけど、この地球上が不安になるばかりの生々しい映像を見ると、日常生活をどう送ればいいのかということすらも不安になる。ある意味、ロシア、あるいはウクライナ以外の人たちもそう感じてきているんじゃないかと思う」と自身の思いを話した。ウクライナ国防省が首都キーウ(キエフ)近郊ブチャなどでロシア軍による民間人の大量虐殺があったと発表したことに言及した。
ウクライナ当局はロシア軍撤退後、キーウ州の各地に入り捜査を実施し、3日までに民間人410人の遺体を確認したと発表。ゼレンスキー大統領は4日、捜査はまだ始まったばかりで、実際の犠牲者数は「現在把握しているよりもはるかに大きいと確信している」と述べた。ブチャでは300人以上が拷問を受けたり、殺害されたりしたと説明した。また、ブチャを上回る被害が同州ボロディアンカで確認されたとしている。ロシアは虐殺への関与を否定しているが、米欧メディアはロシア兵が民間人を殺害したとする住民の証言を報道している。
番組では、ブチャの民家の地下室で両手両足を縛られた子供を含む男女18人のバラバラにされた遺体があったとする英・タイムズ紙の報道や、ロシア軍の司令官が市民の頭にTシャツをかぶせて目隠しし、銃で後頭部を撃ったとする報道などを伝えた。
つづき
キーウ近郊で多数の民間人の遺体が見つかったことについて「この殺害行為を明白に非難し、独立した調査を求めることを支持する」と述べました。この発言は、アメリカのブリンケン国務長官とインドのジャイシャンカル外相との電話会談の後に行われ、アメリカによるロシアに対する圧力の強化に反応した可能性があります。
インドは長年、ロシアと軍事的に協力関係にあり、これまでの国連でのロシア非難決議でも棄権していました。
出典;テレビ朝日(4/6)
英ジョンソン首相は、ロシア語も交えて、ロシア兵に攻撃の停止を動画でよびかけています。
前京都精華大学長ウスビ・サコ氏が6日、フジテレビ「めざまし8」(月〜金曜前8・00)に出演。ウクライナ国防省が首都キーウ(キエフ)近郊ブチャなどでロシア軍による民間人の大量虐殺があったと発表したことに言及した。サコ氏は「極めて残虐的で、ブチャの市長が言っていたようにある意味で関係のない一般市民が巻き込まれて、その人たちが1番被害を受けている」と指摘。そして「私はこれを見て、ロシア軍は平常の状態でやっているのかというところが疑われる。普通の感覚で同じ人間をこうやって殺していくということはあってはならないし、いろんなことが疑われる。指示系統の乱れより、このロシア軍の人たちは何らかの外的要因で頭が正常でないのでは、と私は言いたい」と自身の見解を述べた。
そのうえで「われわれはグローバルとか平和とか、いろいろなことを言っているんですけど、この地球上が不安になるばかりの生々しい映像を見ると、日常生活をどう送ればいいのかということすらも不安になる。ある意味、ロシア、あるいはウクライナ以外の人たちもそう感じてきているんじゃないかと思う」と自身の思いを話した。ウクライナ国防省が首都キーウ(キエフ)近郊ブチャなどでロシア軍による民間人の大量虐殺があったと発表したことに言及した。
ウクライナ当局はロシア軍撤退後、キーウ州の各地に入り捜査を実施し、3日までに民間人410人の遺体を確認したと発表。ゼレンスキー大統領は4日、捜査はまだ始まったばかりで、実際の犠牲者数は「現在把握しているよりもはるかに大きいと確信している」と述べた。ブチャでは300人以上が拷問を受けたり、殺害されたりしたと説明した。また、ブチャを上回る被害が同州ボロディアンカで確認されたとしている。ロシアは虐殺への関与を否定しているが、米欧メディアはロシア兵が民間人を殺害したとする住民の証言を報道している。
番組では、ブチャの民家の地下室で両手両足を縛られた子供を含む男女18人のバラバラにされた遺体があったとする英・タイムズ紙の報道や、ロシア軍の司令官が市民の頭にTシャツをかぶせて目隠しし、銃で後頭部を撃ったとする報道などを伝えた。
つづき
2022年04月21日
才能の目を摘んでいる日本の学校教育
「1つの答えが最初から決まっている」 “立ちはだかる”学校
「音楽と道徳の授業が嫌いです」と天才ドラマー、相馬よよかさん(12)。音楽アーティストなのに何故。才能は早くから弾けました。9歳でニューズウィーク日本版「世界が尊敬する日本人100人」に、また11歳で世界的なドラム関連サイト「ドラマーワールド」の世界トップ500ドラマーに、いずれも史上最年少で選ばれました。アメリカのシンガー、シンディー・ローパーさんや、ロックバンド「ディープ・パープル」のドラマー、イアン・ペイスさんら世界の著名アーティストと共演してきました。
「決められたやり方で正確に演奏することが求められ、自分の好きなようにアレンジして演奏できないんです」。道徳の授業では、クラスメイトが自分の考えを発表し、「良い意見だね」と言って拍手し合う。「でも結局、答えは最初から決まっていて、最後に先生が1つの答えに導こうとするんです」。教師や学校の想定にない演奏や考え方は、なかなか受け入れられないと感じました。
小1の時、学校の学芸会でドラムを演奏しました。でも、それ以降、学芸会でドラムを叩くことはありませんでした。ドラムは1人が複数の打楽器を演奏するので、小太鼓や大太鼓など、他の子のパートがその分なくなるからと言われることもありました。ドラム演奏の海外遠征で学校を休んだ時、クラスメイトに欠席の理由を話さない担任教師も多かったそうです。それぞれの個性を見つめてもらえないのだろうか。学校は息苦しいという思いが、よよかさんに募っていきます。夢を大きく膨らませるよよかさんに、立ちはだかったのは「学校」でした。
■幼少期から開花した才能 娘のありのままを受け入れる両親
よよかさんは天才ドラマーと言われます。でも、ちょっと違う気もしています。初めてドラムを叩いたのは1歳半。音楽家の両親は家の中のスタジオに、いろんな楽器を並べていました。赤ちゃんのよよかさんがハイハイで向かうのはいつもドラム。そんなに気になるならと、両親はドラムの椅子に座らせて好きなように叩かせました。授業で使うノートにたくさんの落書きをしていた時、両親は注意せず、ほめました。よよかさんが絵を描くのが大好きだと知っていたからです。
「娘がしゃべりたいときに、好きなようにしゃべらせてあげたいと心がけてきました」。こう言う母親の梨絵さんは、自分の失敗談なども話題にして娘との会話を大切にしてきました。バックパッカーで世界を旅した時、治安の悪い場所で野宿したこと。労働環境が劣悪な企業を1日で辞めたこと。両親は娘のありのままの姿を受け止め、ありのままの親の姿をさらけ出していました。
よよかさんは本も好きです。小学校の図書室で借りて読んだ本は6年間で1155冊。2日間に1冊を読んでいたことになります。こうした環境で、自分らしく、自分の頭で、自由に考える習慣が早くから身についたのかもしれません。
■「アメリカなら色を自由に塗れる」 100点満点を求める日本
「やっぱり、ここで学びたい。自然体でいられます」。去年秋、演奏で1カ月ほど過ごしたアメリカで、湧き出る気持ちを抑えられなくなりました。「アメリカ人と演奏していると、色を自由に塗ることができる感じがします。日本での演奏は、まるで塗り絵をはみださないように描くよう求められている気がします」。日本だと点数を付けられ、100点満点を求められる気分になってしまうそうです。
日本が嫌いなわけではありません。日本の食文化や礼儀正しさ、協調性の良い面などを誇りに思っています。「でも、自分の個性や才能を爆発させて表現できる場所に行きたい」。よよかさんは、アメリカに移り、ドラマーとして挑戦する決意をしました。目指すのは点数など付けられない境地。「アメリカには様々な人種、宗教観やセクシュアリティを持った人たちがいます。そうした多様性がある中で、学び、暮らすことが大事だと思っています」。目的意識は明確です。
両親と弟と家族4人で、今夏の渡米を目指します。しかし、道のりは平たんではありません。アメリカの住居費や物価は高く、やり繰りが心配です。「日本では15歳以下の才能ある芸術家を対象にした支援制度がほとんどない」と父の章文さん。両親も就労するためのビザ取得にトライしていますが、当面の生活費は貯金で賄うつもりです。活動を支援してくれるスポンサーも探しています。今後、クラウドファンディングを利用し、世界にいるファンにも支援を仰ぐ予定ですが、うまく行くのかどうか不安もあります。章文さんは言います。「世界のトップを目指すのであれば、できるだけ早く挑戦すべき。12歳のよよかが単身で渡米しても音楽活動はできないので、リスクを負ってでも家族でチャレンジする覚悟です」。
■持続可能でない日本の教育制度 世界で縮む日本
よよかさんの渡米は、日本の教育に問題提起をしています。教育は国づくりの基本です。高いモラル、高い協調性、生真面目さ、高い当事者意識…。日本人が誇りにしてきたこれらの特性は、この教育制度があったからこそです。しかし、協調性は時に個性を奪い、生真面目とは時に思考を制御します。激変を続ける世界の中で、たった1つの決められた答えに導くような教育では、国が凋落するのも無理はありません。
教育の現場からは「ミシミシ」ときしむ音が聞こえるようです。教職員の人員は足りません。家庭教育や社会福祉の機能まで背負わされ、学校現場は悲鳴をあげています。すべての子どもの個性を受け入れる余裕は、なかなか持てないのかもしれません。不登校は増え、いじめはなくなりません。個性を奪われ、自由に、楽しく生きることを拒まれ、イノベーションの芽を摘まれる。こんな教育制度は持続可能ではありません。
もし個性を存分に受け入れる土壌があったなら、よよかさんは、日本でドラムを叩き続けたかもしれません。彼女の周りには国内外から多くの人が集まり、その自由で創造的な発想は社会に伝播し、イノベーションを生むパワーになっていたはずです。
未来を担う才能ある子どもが日本を去る。世界のコンセンサスになりつつある「日本の埋没」を象徴しているかのようです。世界全体のGDP(国内総生産)に占める日本のGDPのシェアは1994年に約18%ありましたが、2020年に6%にダウン。2050年に1.8%に縮小すると三菱総合研究所は試算します。1人あたりのGDPは韓国より低い。国債の格付けランキングは韓国や中国より下。2020年の日本の実質賃金はOECD(経済協力開発機構)の加盟35カ国中、22位。7人に1人の子どもが「貧困」状態。15歳〜39歳の死因の第1位は自殺。これが日本の姿です。
■大人が教える「教育」から、大人も一緒に成長する「共育」へ
「子どもたちの個性をすべて受け入れる」「答えは子どもたちの数だけある」「自分の頭で自由に考える力を育む」。こんなシンプルで当たり前のことを実践するだけで、教育のあり方、国のあり様が変わるのではないでしょうか。日本はあらゆる分野でイノベーションを必要としています。これまでにない新しいアイデアを生み出すのは、新しい教育だと思います。教育を変え、新しい国づくり、社会づくりに挑む時が来たのではないでしょうか。
「月に1回くらい、子どもが大人に教える授業があったらいいなと思います」。12歳のよよかさんに、日本の教育や学校を良くするにはどうしたらいいかたずねたら、こんな言葉が返ってきました。ハッとしました。本質が見えているのかもしれないと。日本の凋落の責任は大人にあります。私もその1人です。子どもたちや若い人たちは、きっと、そのことに気付いているのでしょう。大人たちは、これまでのやり方を見直す必要があります。
子どもに教える前に、まずは大人が新しいやり方を自分の頭で考える。そして、子どもと一緒に、学び、成長し、新しいやり方を創る。こうした取り組みを「共育」と定義させて下さい。「共育」の形をみんなで創生するのです。子どもと大人、若者と高齢者。学校、大学と実社会、地域。世代や居場所の垣根を取り払い、相互に受け入れ、一緒に未来を切り拓く。例えば、個性あふれる実社会の大人を学校の講師に組み込み、その大人は授業で子どもが投げかけた宿題を実社会でどう実現するのか一緒に考え抜く。子どもは校外授業で実社会を目の当たりにし、大人と一緒に解決策を考え抜く。そうした成果は社会全体で共有する。「共育」の形は無数にあるはずです。
■「世界中の人たちに元気や勇気を届けたい」
「ドラムは言葉や人種の壁も超えられるコミュニケーションの手段です。ドラムで世界中の人たちに、元気や勇気を届ける存在になりたい。日本で、才能や個性を発揮できず、困っている人たちも助け、教育を変えていきたいです」。これがよよかさんの夢です。よよかさんは、アメリカで様々な経験をするでしょう。アメリカの醜い部分も垣間見ると思います。日本の良さをあらためて知る場面もあるでしょう。貴重な経験を重ねながら、地球市民として、世界中に、粋なメッセージを発信してくれることを心から楽しみにしています。
出典:テレビ朝日(4/2)
2022年04月20日
皆マスク日本の弊害、子どもの知能低下懸念
新型コロナウイルス対策を助言する厚生労働省の専門家組織「アドバイザリーボード」の会合が6日開かれ、新規感染者数が「昨年夏のピークよりも高い状況が続いている」として、今後の動向を注視する姿勢を示した。全国の感染状況について「全ての世代で増加傾向に転じており、リバウンドの可能性も懸念される」との見解をまとめた。 座長の脇田隆字・国立感染症研究所長は会合後の記者会見で、10〜20代の感染者が顕著に増えていると指摘。
マスク着用の日常と脳発達の関係
コロナ禍で育つ子どもたちの脳と心の発達に関して懸念していることがあります。それは、マスクを着用する他者との日常が彼らの脳と心に与える影響です。表情をみてのコミュニケーションが失われている幼児への影響は計り知れません。
脳が発達する過程では、環境の影響を特に受けやすいある特別の時期があります。これを脳発達の「感受性期」といいます。そのもっとも重要な時期の一つが、乳幼児期です。たとえば、大脳皮質にある視覚野や聴覚野は、比較的早期に成熟する脳部位です。これらの脳部位の仕組みや働きは、生後数カ月ごろから環境の影響を大きく受けて変容します。そして、就学を迎える頃までに成熟します。大きくなってから第二外国語を身につけるのが難しくなるのは、聴覚野の発達の感受性期を過ぎてしまったから(環境の影響を受けにくくなるから)です。
脳発達の感受性期の最中にある子どもたちは、ダイナミックに動く他者の表情全体を目にしながら、相手の顔を認識したり、その人の感情を理解したりする能力を発達させていきます。また、誰かが話している場面では、目だけでなく、声が発せられる口の動きにも注意を向けます。これらの情報を結び付け、さらに自分でもそれを真似してみることによって、言語を獲得していきます【図3】。ある実験では、生後6カ月の時点で、口の動きと音声が一致した発話を好む乳児ほど、言語獲得が良好であることも示されています (注4)。
マスクの着用が日常となった今、目の前の他者の表情は覆い隠され、子どもたちは表情を経験する機会を急激に減らしています。「マスクをしていても目でコミュニケーションできるから大丈夫」と主張する人がいますが、それは既に完成された脳を持っている大人目線での解釈にすぎません。対面でのコミュニケーションにより、これから多くの相手の感情を理解し、ことばを獲得していく必要がある子どもたちにとっては、目だけでコミュニケーションすることは極めて難しいのです。
特に乳幼児にとってテレビやPCのモニターや越しに表情を見せるだけでは学習の効果はあまり期待できません。実際の友達同士の表情を見る、先生の笑顔を見るという体験に、「楽しい・うれしい」という感覚が体を通して結びつかない限り、相手の感情を理解する、共感することにはつながらないからです。
コロナ禍が長期化するなか、私は、ヒトの脳と心の発達を研究している者として不安を覚えずにはいられませんでした。これまでとはまったく異なる環境で日々成長していく子どもたちの脳には、今後さまざまな変化が起きてくる可能性は否定できないと思っていた矢先、今年8月に驚くべき調査結果が報告されました。ブラウン大学の研究チームが米東部ロードアイランド州でおこなった調査によると、パンデミック以前に生まれた3カ月〜3歳の子どもたちの認知機能を100とすると、パンデミックの期間に生まれた子どもたちでは78程度に大きく低下しているというのです(注1)。この報告はさらに慎重に検証を重ねていく必要がありますが、子どもたちの人との接触の場面が急激に奪われてきたのは確かです。
新型コロナウイルスとの生活はさらに長期化しそうです。大人にとってだけではなく、「子どもたちにとって必要な」新たな生活様式とは何かを、次世代のために早急に考えるべき時期にきています。(2021年11月6日掲載)
明和 政子:京都大学大学院教育学研究科教授、文部科学省 科学技術・学術審議委員会委員、日本学術会議連携会員。ヒトとヒト以外の霊長類の心の働きを胎児期から比較し、ヒト特有の心の発達とその進化的基盤を明らかにする「比較認知発達科学」という分野を世界に先駆けて開拓した。著書に「ヒトの発達の謎を解く―胎児期から人類の未来まで(ちくま新書)」「まねが育むヒトの心(岩波ジュニア新書)」ほか多数。
◇ ◇ ◇
ヒトの脳の発達において、他者との身体接触がいかに不可欠なものであるかを説明します。これは、誰かとつながりたい、関係を持ちたいという欲求、動機づけへとつながっていくものです。
ヒトを含む生物は、物理的身体という生体システム(制約)を持っています。それは、同じ身体をもつ他者と相互作用する環境に適応してきた結果、獲得されたものです。身体には、何か急激な生理的変化、混乱が起こったとき、一定の範囲内に保とうとする性質があります。これを「ホメオスタシス」といいます。
そして、何かしらの大きな変化が起こりそうな時には、その変動状態を安定した基準値に戻そうとする予測的な制御システム「アロスタシス」が働きます。これが働くことで、たとえば、暑い日に脱水症状になる前に水分を補給する行動を選択します。
ヒトは、出生後しばらくは、アロスタシス制御を自らの力で行うことができません。生存するには、養育者の手でアロスタシスを調整される必要があります。養育者は、乳児を抱き、授乳し、保護する身体接触によって、乳児の身体内部に起こる変動(体温や血圧、覚醒、睡眠、血糖値など)を外側から制御します。不安や恐怖といった強い情動が喚起されれば(泣きやぐずり)、乳児は養育者からの身体接触によって、自分の身体内部の状態を一定の水準に回復させます。
抱き、授乳されることで、血液中のグルコース(ブドウ糖)が上昇し、オキシトシンなど気持ちを落ち着かせる内分泌ホルモンや神経伝達物質が放出される点も重要です。こうした生理的変動は、乳児の身体内部(内受容感覚)に「心地よさ」を生じさせます(注2)。
ヒトの心が育つ仕組み
養育者が乳児の身体生理状態を調整する役割を担っているのはヒトだけではなく、哺乳類や一部の鳥類すべてに当てはまります。重要なことは、ヒトの場合、養育者が乳児にもたらすものは、そり以上だということです。ヒトの場合は乳児を抱きながら、あるいは手をとりながら、「おいしいね」「気持ちいいね」と目を見つめ、微笑みなど表情を変化させ、声かけを行うのです。これほど積極的な働きかけは、他の生物では決して見られません。
ヒトは、生後直後から、視覚や聴覚、触覚、嗅覚(外受容感覚)といった多感覚の外部情報を養育者から圧倒的に多く提供される、とてもユニークな環境で育っていく生物です(注3)。
こうしたユニークな働きかけは、ヒトの心の発達に大きく影響します。先述のように、ヒトの乳児は、抱かれ、授乳され、なでられると、身体内部に生理・心理的な心地よさを湧き立たせますが、その時、自分の身体の外側から視覚や聴覚などの情報も「同時に」提供されます。こうした経験を日々積み重ねていくと、乳児の脳にはある記憶の結びつきが生じます。養育者の顔や声、匂い、肌ざわりといった多種の情報が、身体内部に生じる心地よさと関連づけられるのです。これを「連合学習」といいます。
さらに、その記憶が脳内に形成されると、乳児は、養育者の顔(視覚)や声(聴覚)、匂い(嗅覚)などのいずれかを経験するだけで、それらと結びついて記憶されている心地よさ、楽しさを身体内部に喚起させます。身体を介した相互作用によって得られた心地よい記憶が、人とつながりたいという欲求や、保育、指導者の視点を通して学びたいという社会的動機づけへと連続的につながっていくのです
参照:Jiji com(4/8)つづき
マスク着用の日常と脳発達の関係
コロナ禍で育つ子どもたちの脳と心の発達に関して懸念していることがあります。それは、マスクを着用する他者との日常が彼らの脳と心に与える影響です。表情をみてのコミュニケーションが失われている幼児への影響は計り知れません。
脳が発達する過程では、環境の影響を特に受けやすいある特別の時期があります。これを脳発達の「感受性期」といいます。そのもっとも重要な時期の一つが、乳幼児期です。たとえば、大脳皮質にある視覚野や聴覚野は、比較的早期に成熟する脳部位です。これらの脳部位の仕組みや働きは、生後数カ月ごろから環境の影響を大きく受けて変容します。そして、就学を迎える頃までに成熟します。大きくなってから第二外国語を身につけるのが難しくなるのは、聴覚野の発達の感受性期を過ぎてしまったから(環境の影響を受けにくくなるから)です。
脳発達の感受性期の最中にある子どもたちは、ダイナミックに動く他者の表情全体を目にしながら、相手の顔を認識したり、その人の感情を理解したりする能力を発達させていきます。また、誰かが話している場面では、目だけでなく、声が発せられる口の動きにも注意を向けます。これらの情報を結び付け、さらに自分でもそれを真似してみることによって、言語を獲得していきます【図3】。ある実験では、生後6カ月の時点で、口の動きと音声が一致した発話を好む乳児ほど、言語獲得が良好であることも示されています (注4)。
マスクの着用が日常となった今、目の前の他者の表情は覆い隠され、子どもたちは表情を経験する機会を急激に減らしています。「マスクをしていても目でコミュニケーションできるから大丈夫」と主張する人がいますが、それは既に完成された脳を持っている大人目線での解釈にすぎません。対面でのコミュニケーションにより、これから多くの相手の感情を理解し、ことばを獲得していく必要がある子どもたちにとっては、目だけでコミュニケーションすることは極めて難しいのです。
特に乳幼児にとってテレビやPCのモニターや越しに表情を見せるだけでは学習の効果はあまり期待できません。実際の友達同士の表情を見る、先生の笑顔を見るという体験に、「楽しい・うれしい」という感覚が体を通して結びつかない限り、相手の感情を理解する、共感することにはつながらないからです。
コロナ禍が長期化するなか、私は、ヒトの脳と心の発達を研究している者として不安を覚えずにはいられませんでした。これまでとはまったく異なる環境で日々成長していく子どもたちの脳には、今後さまざまな変化が起きてくる可能性は否定できないと思っていた矢先、今年8月に驚くべき調査結果が報告されました。ブラウン大学の研究チームが米東部ロードアイランド州でおこなった調査によると、パンデミック以前に生まれた3カ月〜3歳の子どもたちの認知機能を100とすると、パンデミックの期間に生まれた子どもたちでは78程度に大きく低下しているというのです(注1)。この報告はさらに慎重に検証を重ねていく必要がありますが、子どもたちの人との接触の場面が急激に奪われてきたのは確かです。
新型コロナウイルスとの生活はさらに長期化しそうです。大人にとってだけではなく、「子どもたちにとって必要な」新たな生活様式とは何かを、次世代のために早急に考えるべき時期にきています。(2021年11月6日掲載)
明和 政子:京都大学大学院教育学研究科教授、文部科学省 科学技術・学術審議委員会委員、日本学術会議連携会員。ヒトとヒト以外の霊長類の心の働きを胎児期から比較し、ヒト特有の心の発達とその進化的基盤を明らかにする「比較認知発達科学」という分野を世界に先駆けて開拓した。著書に「ヒトの発達の謎を解く―胎児期から人類の未来まで(ちくま新書)」「まねが育むヒトの心(岩波ジュニア新書)」ほか多数。
◇ ◇ ◇
ヒトの脳の発達において、他者との身体接触がいかに不可欠なものであるかを説明します。これは、誰かとつながりたい、関係を持ちたいという欲求、動機づけへとつながっていくものです。
ヒトを含む生物は、物理的身体という生体システム(制約)を持っています。それは、同じ身体をもつ他者と相互作用する環境に適応してきた結果、獲得されたものです。身体には、何か急激な生理的変化、混乱が起こったとき、一定の範囲内に保とうとする性質があります。これを「ホメオスタシス」といいます。
そして、何かしらの大きな変化が起こりそうな時には、その変動状態を安定した基準値に戻そうとする予測的な制御システム「アロスタシス」が働きます。これが働くことで、たとえば、暑い日に脱水症状になる前に水分を補給する行動を選択します。
ヒトは、出生後しばらくは、アロスタシス制御を自らの力で行うことができません。生存するには、養育者の手でアロスタシスを調整される必要があります。養育者は、乳児を抱き、授乳し、保護する身体接触によって、乳児の身体内部に起こる変動(体温や血圧、覚醒、睡眠、血糖値など)を外側から制御します。不安や恐怖といった強い情動が喚起されれば(泣きやぐずり)、乳児は養育者からの身体接触によって、自分の身体内部の状態を一定の水準に回復させます。
抱き、授乳されることで、血液中のグルコース(ブドウ糖)が上昇し、オキシトシンなど気持ちを落ち着かせる内分泌ホルモンや神経伝達物質が放出される点も重要です。こうした生理的変動は、乳児の身体内部(内受容感覚)に「心地よさ」を生じさせます(注2)。
ヒトの心が育つ仕組み
養育者が乳児の身体生理状態を調整する役割を担っているのはヒトだけではなく、哺乳類や一部の鳥類すべてに当てはまります。重要なことは、ヒトの場合、養育者が乳児にもたらすものは、そり以上だということです。ヒトの場合は乳児を抱きながら、あるいは手をとりながら、「おいしいね」「気持ちいいね」と目を見つめ、微笑みなど表情を変化させ、声かけを行うのです。これほど積極的な働きかけは、他の生物では決して見られません。
ヒトは、生後直後から、視覚や聴覚、触覚、嗅覚(外受容感覚)といった多感覚の外部情報を養育者から圧倒的に多く提供される、とてもユニークな環境で育っていく生物です(注3)。
こうしたユニークな働きかけは、ヒトの心の発達に大きく影響します。先述のように、ヒトの乳児は、抱かれ、授乳され、なでられると、身体内部に生理・心理的な心地よさを湧き立たせますが、その時、自分の身体の外側から視覚や聴覚などの情報も「同時に」提供されます。こうした経験を日々積み重ねていくと、乳児の脳にはある記憶の結びつきが生じます。養育者の顔や声、匂い、肌ざわりといった多種の情報が、身体内部に生じる心地よさと関連づけられるのです。これを「連合学習」といいます。
さらに、その記憶が脳内に形成されると、乳児は、養育者の顔(視覚)や声(聴覚)、匂い(嗅覚)などのいずれかを経験するだけで、それらと結びついて記憶されている心地よさ、楽しさを身体内部に喚起させます。身体を介した相互作用によって得られた心地よい記憶が、人とつながりたいという欲求や、保育、指導者の視点を通して学びたいという社会的動機づけへと連続的につながっていくのです
参照:Jiji com(4/8)つづき
2022年04月19日
小中学生の学力はコロナ前を維持
コロナ前とコロナ禍の小中学生の学力を文科省の調査で比較したところ変化は見られなかったという。これは、文科省が2021(令和3)年6月に調査した全国学力・学習状況調査というもので、調査対象は小学6年生と中学3年生(小学校600校、中学校749校)。国語と算数・数学、英語(中学3年生のみ)で実施し、異なる年度の成績を比較できる項目反応理論(IRT:ItemResponseTheory)を用いて分析。国語と算数・数学の成績を、前回の2016(平成28)年度と比較した。(※英語は初調査のため、比較分析は次回実施)
その結果、国語については、小・中学校とも、学力の状況はコロナ前の平成28年度と令和3年度でほとんど変化は見られなかった。算数・数学については、平成28年度より令和3年度の方が若干学力が高い可能性もあるが、文科省は次回以降の結果も合わせて分析することが必要だとしている。
臨時休業やオンライン授業など、コロナ前と同じ形で授業ができなかったはずだが、児童生徒の学力を保つことができていたようだ。こうした結果が出たわけだが、なぜ小中学生の学力はコロナ禍でも低下しなかったのか?文部科学省 総合教育政策局 調査企画課 学力調査室の担当者に詳しく話を聞いてみた。
学校が子供たちの学びの保障に懸命に取り組んだ
――この結果は意外だった?
今回の調査結果では、いずれの教科においても国全体としての学力状況に大きな変化はみられませんでした。これまでの各教育委員会及び各学校等における各種施策や指導改善の取組や、コロナ禍における各学校において、子供たちの学びの保障のために懸命に取り組んでいただいた成果として受け止めています。
――学力スコアの図から、学力の変化はどう読み取れる?
学力スコア(累積相対度数分布)を見ると、国語については、令和3年度の学力スコア分布の状況は平成28年度と比較してほとんど変化が観察されていません。
また、算数・数学については、令和3年度の学力スコア分布は基準である平成28年度の学力スコア分布の右側に(全体的にみて学力スコアが高い方へ)若干移動していることが観察でき、国全体でみれば若干学力が向上しているとも解釈できますが、次回(令和6年度予定)以降の結果もあわせてみていくことが必要であると考えています。
いずれにしても、国語・算数及び数学のいずれの教科でも児童生徒の学力低下は見られませんでした。
※累積相対度数分布…:各学力スコアに属する人数の割合を加算して示したもの
学校は土曜日の活用、補習を実施
――コロナ禍で小中学生の学力が低下しなかった理由は、どんなことが考えられる?
文部科学省としては、専科指導の充実等を通じて学習指導要領の着実な定着を図ってきていることや、コロナ禍で、国・教育委員会・学校が児童生徒の学びの保障に向けて様々取り組んできたことなどがこうした結果につながっているのではないかと考えています。
――臨時休業の期間で、学校は学力低下を防ぐためにどんなことをしていたの?
昨年8月に公表した全国学力・学習状況調査の結果からは、臨時休業期間中、各学校等においては、様々な手段により、児童生徒の学習状況や生活状況の把握等を行っていたことが分かっています。
また、臨時休業期間後の取組として、多くの学校では学習の定着が不十分な児童生徒の把握や、長期休業期間の短縮、土曜日の活用、補習の実施等を行っていました。特に休業期間が長い学校ほど、様々な手段を講じて児童生徒の学びを保障するための様々な取組がなされていたことが明らかになっており、学校が懸命に取り組んでいただいていたことがデータからも分かります。
本調査の結果のみから要因を断定することは難しいですが、コロナ禍でのこうした各学校における取組が、全体として、学力低下がみられなかったという結果につながっていると考えています。
――学力が高い層、低い層、それぞれの層についても傾向は同じ?
平成28年度と令和3年度の25パーセンタイル及び75パーセンタイルの学力スコア値の差をみても、学力が高い層、低い層のいずれにおいても、概ね国語、算数・数学のいずれの教科においてもスコア値が上昇しています。
※国語の学力スコアの平均は、平成28年度との比較で「小学校は変化なし」「中学校で3.1ポイント上昇」
※25パーセンタイル…学力スコアを小さい方から並べ、全体の下位25%に位置する児童生徒の学力スコア
※75パーセンタイル…学力スコアを小さい方から並べ、全体の上位25%に位置する児童生徒の学力スコア
――国語に比べると、算数・数学は、学力がアップしているともいえる?
今回の調査結果から、平成28年度と令和3年度を比べると、学力スコアの平均が、小学校算数で5.2ポイント、中学校数学で9.0ポイント上昇したことが分かっています。
――この結果は今後、どのように生かされる?
今回の調査結果では、いずれの教科においても国全体としての学力状況に大きな変化はみられず、各教育委員会及び各学校等における各種施策や指導改善の取組の一定の成果として受け止めています。文部科学省としても、引き続き、児童生徒の学びの保障のための各種施策の充実に努めたいと考えています。また、次回以降の調査結果も併せて国全体の学力の変化について把握・分析を行い、その結果を踏まえて国の教育施策の検証・改善につなげていきたいと考えています。
――今後、学力を向上させるためにはどうしていけば良い?
これからの時代を生きる子供たちには、予測困難な社会にあっても、変化を前向きに受け止め、社会や人生・生活を、より豊かなものにするために必要となる資質・能力を育んでいくことが重要です。このため、全国的な教育課程の基準である学習指導要領では、「知識及び技能」「思考力、判断力、表現力等」「学びに向かう力、人間性等」の3つの柱で整理した資質・能力を、「主体的・対話的で深い学びの視点からの授業改善」などを通じてバランスよく育成することとしています。
全国学力・学習状況調査の結果では、例えば「授業では、課題の解決に向けて、自分で考え、自分から取り組むことができていると思いますか?」という質問に肯定的に回答した学校ほど平均正答率が高い傾向が見られるなど、主体的・対話的で深い学びを意識した授業と学力の相関が見られます。
文部科学省では、こうした学習指導要領の各教育委員会・学校への周知や、授業改善に資する情報提供を行い、また、教職員研修の充実を図っています。さらに、GIGAスクール構想による小中学校の児童生徒への一人一台ICT端末の整備や小学校における教科担任制の推進、35人学級の計画的な整備などに取り組んでいるところです。引き続き、これらの取組を推進していく中で、子供たちの学力向上に向けた取組を支援していきたいと考えています。
新型コロナウイルスの感染が拡大するにつれ、一時、多くの小中学校で臨時休業などを余儀なくされた。この影響で児童生徒の学力が低下したように思われるが、実はそうでもないようだ。コロナ禍でも学力低下がなかったのは、臨時休業期間中や休業期間後に各学校が学習の定着が不十分な児童生徒の把握をしたり、補習の実施など懸命な取り組みにあったといえそうだ。
出典: FNNプライムオンライン (4/6)
その結果、国語については、小・中学校とも、学力の状況はコロナ前の平成28年度と令和3年度でほとんど変化は見られなかった。算数・数学については、平成28年度より令和3年度の方が若干学力が高い可能性もあるが、文科省は次回以降の結果も合わせて分析することが必要だとしている。
臨時休業やオンライン授業など、コロナ前と同じ形で授業ができなかったはずだが、児童生徒の学力を保つことができていたようだ。こうした結果が出たわけだが、なぜ小中学生の学力はコロナ禍でも低下しなかったのか?文部科学省 総合教育政策局 調査企画課 学力調査室の担当者に詳しく話を聞いてみた。
学校が子供たちの学びの保障に懸命に取り組んだ
――この結果は意外だった?
今回の調査結果では、いずれの教科においても国全体としての学力状況に大きな変化はみられませんでした。これまでの各教育委員会及び各学校等における各種施策や指導改善の取組や、コロナ禍における各学校において、子供たちの学びの保障のために懸命に取り組んでいただいた成果として受け止めています。
――学力スコアの図から、学力の変化はどう読み取れる?
学力スコア(累積相対度数分布)を見ると、国語については、令和3年度の学力スコア分布の状況は平成28年度と比較してほとんど変化が観察されていません。
また、算数・数学については、令和3年度の学力スコア分布は基準である平成28年度の学力スコア分布の右側に(全体的にみて学力スコアが高い方へ)若干移動していることが観察でき、国全体でみれば若干学力が向上しているとも解釈できますが、次回(令和6年度予定)以降の結果もあわせてみていくことが必要であると考えています。
いずれにしても、国語・算数及び数学のいずれの教科でも児童生徒の学力低下は見られませんでした。
※累積相対度数分布…:各学力スコアに属する人数の割合を加算して示したもの
学校は土曜日の活用、補習を実施
――コロナ禍で小中学生の学力が低下しなかった理由は、どんなことが考えられる?
文部科学省としては、専科指導の充実等を通じて学習指導要領の着実な定着を図ってきていることや、コロナ禍で、国・教育委員会・学校が児童生徒の学びの保障に向けて様々取り組んできたことなどがこうした結果につながっているのではないかと考えています。
――臨時休業の期間で、学校は学力低下を防ぐためにどんなことをしていたの?
昨年8月に公表した全国学力・学習状況調査の結果からは、臨時休業期間中、各学校等においては、様々な手段により、児童生徒の学習状況や生活状況の把握等を行っていたことが分かっています。
また、臨時休業期間後の取組として、多くの学校では学習の定着が不十分な児童生徒の把握や、長期休業期間の短縮、土曜日の活用、補習の実施等を行っていました。特に休業期間が長い学校ほど、様々な手段を講じて児童生徒の学びを保障するための様々な取組がなされていたことが明らかになっており、学校が懸命に取り組んでいただいていたことがデータからも分かります。
本調査の結果のみから要因を断定することは難しいですが、コロナ禍でのこうした各学校における取組が、全体として、学力低下がみられなかったという結果につながっていると考えています。
――学力が高い層、低い層、それぞれの層についても傾向は同じ?
平成28年度と令和3年度の25パーセンタイル及び75パーセンタイルの学力スコア値の差をみても、学力が高い層、低い層のいずれにおいても、概ね国語、算数・数学のいずれの教科においてもスコア値が上昇しています。
※国語の学力スコアの平均は、平成28年度との比較で「小学校は変化なし」「中学校で3.1ポイント上昇」
※25パーセンタイル…学力スコアを小さい方から並べ、全体の下位25%に位置する児童生徒の学力スコア
※75パーセンタイル…学力スコアを小さい方から並べ、全体の上位25%に位置する児童生徒の学力スコア
――国語に比べると、算数・数学は、学力がアップしているともいえる?
今回の調査結果から、平成28年度と令和3年度を比べると、学力スコアの平均が、小学校算数で5.2ポイント、中学校数学で9.0ポイント上昇したことが分かっています。
――この結果は今後、どのように生かされる?
今回の調査結果では、いずれの教科においても国全体としての学力状況に大きな変化はみられず、各教育委員会及び各学校等における各種施策や指導改善の取組の一定の成果として受け止めています。文部科学省としても、引き続き、児童生徒の学びの保障のための各種施策の充実に努めたいと考えています。また、次回以降の調査結果も併せて国全体の学力の変化について把握・分析を行い、その結果を踏まえて国の教育施策の検証・改善につなげていきたいと考えています。
――今後、学力を向上させるためにはどうしていけば良い?
これからの時代を生きる子供たちには、予測困難な社会にあっても、変化を前向きに受け止め、社会や人生・生活を、より豊かなものにするために必要となる資質・能力を育んでいくことが重要です。このため、全国的な教育課程の基準である学習指導要領では、「知識及び技能」「思考力、判断力、表現力等」「学びに向かう力、人間性等」の3つの柱で整理した資質・能力を、「主体的・対話的で深い学びの視点からの授業改善」などを通じてバランスよく育成することとしています。
全国学力・学習状況調査の結果では、例えば「授業では、課題の解決に向けて、自分で考え、自分から取り組むことができていると思いますか?」という質問に肯定的に回答した学校ほど平均正答率が高い傾向が見られるなど、主体的・対話的で深い学びを意識した授業と学力の相関が見られます。
文部科学省では、こうした学習指導要領の各教育委員会・学校への周知や、授業改善に資する情報提供を行い、また、教職員研修の充実を図っています。さらに、GIGAスクール構想による小中学校の児童生徒への一人一台ICT端末の整備や小学校における教科担任制の推進、35人学級の計画的な整備などに取り組んでいるところです。引き続き、これらの取組を推進していく中で、子供たちの学力向上に向けた取組を支援していきたいと考えています。
新型コロナウイルスの感染が拡大するにつれ、一時、多くの小中学校で臨時休業などを余儀なくされた。この影響で児童生徒の学力が低下したように思われるが、実はそうでもないようだ。コロナ禍でも学力低下がなかったのは、臨時休業期間中や休業期間後に各学校が学習の定着が不十分な児童生徒の把握をしたり、補習の実施など懸命な取り組みにあったといえそうだ。
出典: FNNプライムオンライン (4/6)
2022年04月18日
日本人建築家・坂氏のPPSによる「快適な避難所」
フランスには今、ウクライナから多くの避難者が訪れていますが、彼らが滞在するパリ市の体育館で避難所の「個室」作りに貢献しているのが、日本人建築家の坂茂氏です。
フランスに到着するウクライナ人の支援を行うフランス赤十字によると、多くのウクライナ人はパリに24〜48時間滞在した後、スペインやポルトガルを目指すそうです。こうした短期滞在者向けの施設として、パリ市は3月9日、10区と12区にある2つの体育館を避難所として提供しています。
体育館の半分はテーブルと椅子のあるコーナーと遊具コーナーが。テーブルの置いてある空間は、大人の背丈以上の木と、背の低い花の植木鉢で交互に囲われており、緑による癒し効果が期待できます。「滞在者の尊厳を守り、静かでくつろげる空間を提供したい」とパリ市は説明しています。そして、体育館の残りの半分が、簡易ベッドが並ぶスペースとなっており、ここに坂氏が考案した紙管を使った間仕切りシステム(PPS=Paper Partition System)が設置されています。4本の紙管と梁を利用した空間は2メートル四方で、それぞれの梁に布をかければ周りからの視線も気になりません。通路に面したカーテンを閉めれば、そのユニットには人がいることがわかります。
「建築界のノーベル賞」とも呼ばれるプリツカー賞を受賞した坂氏が、難民や被災者支援の活動も行っていることは、東日本大震災などを機に日本でも広く知られるようになってきました。坂氏が支援活動を始めたのは1994年の民族紛争によるルワンダ難民の窮状が連日報道された頃でした。
経済的に余裕のあるクライアントのための仕事だけでなく、困っている人の役に立つ活動を模索していた坂氏は、雨季で寒くなってもプラスチックシートのみの簡易なシェルターのみで肺炎が流行っているというニュースを耳にして、現地で支援活動の中心となっていた国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)に断熱性に優れた紙のシェルターを提案。
当初の提案は受け入れられませんでしたが、環境問題やコストの面からUNHCRが注目した紙という素材を発展させ、紙管を使った坂氏のシェルターは翌春UNHCR公式のプロジェクトとなり、緒方貞子高等弁務官(当時)からも高く評価されました。
前後して阪神・淡路大震災(1995年)や、トルコ西部大地震(1999年)のほか、新潟県中越地震(2004年)、アメリカ・ルイジアナ州を襲ったハリケーン「カトリーナ」(2005年)から東日本大震災(2011年)まで、坂氏は世界中の震災などの被災地にできるかぎり最早で現地入りし、各地の状況に沿った支援活動を続けてきました。
今回はパリ市がウクライナ難民の受け入れを行うというニュースを知ったパリの坂事務所が市にPPSの提案を行い、体育館への導入が実現しました。坂氏がウクライナ難民の支援活動でPPS設置を開始したのはその2週間前、ウクライナに隣接し最も避難してくる人数が多いポーランドでの2カ所でした。
現状のPPSは、これまで数々の支援活動を経て東日本大震災の支援時に完成したプロトタイプであり、そこから今のところ不燃化以外の変更は加えられていないということで、東北やその後の自然災害での支援で、日本で使用されていたものと同じものが現在ウクライナの難民たちにヨーロッパで提供されているということになります。
ただしコロナ禍において、日本で昨年の豪雨の避難所や、ワクチン接種場でPPSを使用した際には、布地に防炎加工に加え、抗菌加工も施しました。
そのほか、坂氏のPPSはウクライナのリヴィウで2カ所、スロバキア(ブラチスラヴァ)でも設置され、今後も新たにハンガリーやルーマニアなどでも使われる予定だといいます。
最初の設置場所となったポーランド、次のパリでは坂氏が実際に現地で監督も行いましたが、PPSの簡単な設置方法のおかげで、現地の建築家や学校などとの連携で現地に任せることが可能です。
「人的、自然災害にかかわらず、困っている人が目の前にいるのを助けたい」と話す坂氏。災害大国である日本ならではのアイデアが、今も多くの人を助けているのです。
出典: 前島 美知子 2022/04/13 11:00
フランスに到着するウクライナ人の支援を行うフランス赤十字によると、多くのウクライナ人はパリに24〜48時間滞在した後、スペインやポルトガルを目指すそうです。こうした短期滞在者向けの施設として、パリ市は3月9日、10区と12区にある2つの体育館を避難所として提供しています。
体育館の半分はテーブルと椅子のあるコーナーと遊具コーナーが。テーブルの置いてある空間は、大人の背丈以上の木と、背の低い花の植木鉢で交互に囲われており、緑による癒し効果が期待できます。「滞在者の尊厳を守り、静かでくつろげる空間を提供したい」とパリ市は説明しています。そして、体育館の残りの半分が、簡易ベッドが並ぶスペースとなっており、ここに坂氏が考案した紙管を使った間仕切りシステム(PPS=Paper Partition System)が設置されています。4本の紙管と梁を利用した空間は2メートル四方で、それぞれの梁に布をかければ周りからの視線も気になりません。通路に面したカーテンを閉めれば、そのユニットには人がいることがわかります。
「建築界のノーベル賞」とも呼ばれるプリツカー賞を受賞した坂氏が、難民や被災者支援の活動も行っていることは、東日本大震災などを機に日本でも広く知られるようになってきました。坂氏が支援活動を始めたのは1994年の民族紛争によるルワンダ難民の窮状が連日報道された頃でした。
経済的に余裕のあるクライアントのための仕事だけでなく、困っている人の役に立つ活動を模索していた坂氏は、雨季で寒くなってもプラスチックシートのみの簡易なシェルターのみで肺炎が流行っているというニュースを耳にして、現地で支援活動の中心となっていた国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)に断熱性に優れた紙のシェルターを提案。
当初の提案は受け入れられませんでしたが、環境問題やコストの面からUNHCRが注目した紙という素材を発展させ、紙管を使った坂氏のシェルターは翌春UNHCR公式のプロジェクトとなり、緒方貞子高等弁務官(当時)からも高く評価されました。
前後して阪神・淡路大震災(1995年)や、トルコ西部大地震(1999年)のほか、新潟県中越地震(2004年)、アメリカ・ルイジアナ州を襲ったハリケーン「カトリーナ」(2005年)から東日本大震災(2011年)まで、坂氏は世界中の震災などの被災地にできるかぎり最早で現地入りし、各地の状況に沿った支援活動を続けてきました。
今回はパリ市がウクライナ難民の受け入れを行うというニュースを知ったパリの坂事務所が市にPPSの提案を行い、体育館への導入が実現しました。坂氏がウクライナ難民の支援活動でPPS設置を開始したのはその2週間前、ウクライナに隣接し最も避難してくる人数が多いポーランドでの2カ所でした。
現状のPPSは、これまで数々の支援活動を経て東日本大震災の支援時に完成したプロトタイプであり、そこから今のところ不燃化以外の変更は加えられていないということで、東北やその後の自然災害での支援で、日本で使用されていたものと同じものが現在ウクライナの難民たちにヨーロッパで提供されているということになります。
ただしコロナ禍において、日本で昨年の豪雨の避難所や、ワクチン接種場でPPSを使用した際には、布地に防炎加工に加え、抗菌加工も施しました。
そのほか、坂氏のPPSはウクライナのリヴィウで2カ所、スロバキア(ブラチスラヴァ)でも設置され、今後も新たにハンガリーやルーマニアなどでも使われる予定だといいます。
最初の設置場所となったポーランド、次のパリでは坂氏が実際に現地で監督も行いましたが、PPSの簡単な設置方法のおかげで、現地の建築家や学校などとの連携で現地に任せることが可能です。
「人的、自然災害にかかわらず、困っている人が目の前にいるのを助けたい」と話す坂氏。災害大国である日本ならではのアイデアが、今も多くの人を助けているのです。
出典: 前島 美知子 2022/04/13 11:00
2022年04月17日
素敵な計画、小平選手ありがとう
スピードスケートの小平奈緒(35=相沢病院)が“10月の全日本距離別選手権(長野市エムウェーブ)を最後に現役を引退する際に画家デビュー”する計画があることが15日、分かった。
関係者の話を総合すると、長野県を拠点に活動する絵描きの藤井リベカさん(34)と共同制作した絵画を長野市内のギャラリーに展示する方向で調整中。チャリティーオークションを実施し、19年10月の豪雨被害を受けた長野市の被災地の復興支援に充てることも検討されている。
作品は20年秋に長野市内のりんご農園で水彩色鉛筆を使って描かれ、災害を乗り越えてたわわに実ったりんごがモチーフ。小平は地元・長野で滑る10月のラストレースまで練習を積みながら講演活動など地域イベントに積極的に参加する方針だ。
今後については「トップスポーツに関わるより、地域に貢献できたらと考えている。皆さんの心に穏やかな炎をともせるような存在になりたい」と語っている。今回の挑戦は第二の人生を歩む上でうってつけの取り組みとなりそうだ。
関係者の話を総合すると、長野県を拠点に活動する絵描きの藤井リベカさん(34)と共同制作した絵画を長野市内のギャラリーに展示する方向で調整中。チャリティーオークションを実施し、19年10月の豪雨被害を受けた長野市の被災地の復興支援に充てることも検討されている。
作品は20年秋に長野市内のりんご農園で水彩色鉛筆を使って描かれ、災害を乗り越えてたわわに実ったりんごがモチーフ。小平は地元・長野で滑る10月のラストレースまで練習を積みながら講演活動など地域イベントに積極的に参加する方針だ。
今後については「トップスポーツに関わるより、地域に貢献できたらと考えている。皆さんの心に穏やかな炎をともせるような存在になりたい」と語っている。今回の挑戦は第二の人生を歩む上でうってつけの取り組みとなりそうだ。
2022年04月16日
ベルク城、ショッピングモールのベルクとは
ルクセンブルクのアンリ大公はベルク城に妻、5人の子供、4人の孫とともに居住している。まさに我・孫・子との暮らしだが、他にも多くの城を所有してはいるが、派手な暮らしはせずに実直な暮らしにはみえない。それでも、親の代からの相続もあり、南フランスに休暇用の別荘を所有しているという。
参照サイト;Web
一方、新年度、我孫子市内はいろいろと賑やかになりそうです。
つくし野にはベルクという名称のショッピングモールが、6号線のデニーズ並びに20日にオープン!
サイゼリア、パン店、マツキヨ、24Hスポーツジム、クリーニング、ダイソー、歯科、なども併設。
24日には、アビスタ前に通じる道路が開通、その脇の公園坂通りに新しい店舗の導入が予定されています。
参照サイト;Web
一方、新年度、我孫子市内はいろいろと賑やかになりそうです。
つくし野にはベルクという名称のショッピングモールが、6号線のデニーズ並びに20日にオープン!
サイゼリア、パン店、マツキヨ、24Hスポーツジム、クリーニング、ダイソー、歯科、なども併設。
24日には、アビスタ前に通じる道路が開通、その脇の公園坂通りに新しい店舗の導入が予定されています。
2022年04月15日
16兆円の新型コロナ経費には検証必要
財務省は13日、財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の分科会で、新型コロナウイルスに対応するための医療提供体制の強化やワクチン確保などに16兆円の国費が投入されたと明らかにした。
財務省幹部は「国公立病院には現預金や有価証券の積み増しも見られる。費用対効果の検証が必要」と指摘し、今後は感染拡大前に比べて減収となった分を補填する形に改めるなど支援のあり方を見直すよう求めた。大規模な支出に対して費用対効果の検証が必要な項目もあり、見直しを含めた対応を迫られそうだ。
分科会長代理の増田寛也元総務相は会合後の記者会見で「初期に財政出動を行うのは当然だが、エビデンス(証拠)に基づいて柔軟に方向を変えていくことは必要だ」と強調した。
国費16兆円のうち4割近くを占めたのが新型コロナ患者の受け入れのために病床を確保した病院への補助金や、医療従事者への慰労金支給などに充てられた緊急包括支援交付金だ。全国140の病院を運営する国立病院機構の2020年度決算では、計576億円の経常黒字が計上された。
ワクチンの確保や接種にかかる費用は計4・7兆円だった。1〜4回目接種用のワクチン確保には2・4兆円が支出され、計8億8200万回分を準備した。財務省は「総人口と接種回数のかけ算を大きく上回る購入となっている」と指摘。有効期限切れによる廃棄につながらないよう求めた。
新型コロナ対策に充てる地方創生臨時交付金を巡っては、モニュメントや公用車など関連性が見えにくいものに使われる「目的外使用」が相次ぎ、感染状況などに応じて適正な金額を配分するよう求めた。
出典:読売新聞(4/13)
財務省幹部は「国公立病院には現預金や有価証券の積み増しも見られる。費用対効果の検証が必要」と指摘し、今後は感染拡大前に比べて減収となった分を補填する形に改めるなど支援のあり方を見直すよう求めた。大規模な支出に対して費用対効果の検証が必要な項目もあり、見直しを含めた対応を迫られそうだ。
分科会長代理の増田寛也元総務相は会合後の記者会見で「初期に財政出動を行うのは当然だが、エビデンス(証拠)に基づいて柔軟に方向を変えていくことは必要だ」と強調した。
国費16兆円のうち4割近くを占めたのが新型コロナ患者の受け入れのために病床を確保した病院への補助金や、医療従事者への慰労金支給などに充てられた緊急包括支援交付金だ。全国140の病院を運営する国立病院機構の2020年度決算では、計576億円の経常黒字が計上された。
ワクチンの確保や接種にかかる費用は計4・7兆円だった。1〜4回目接種用のワクチン確保には2・4兆円が支出され、計8億8200万回分を準備した。財務省は「総人口と接種回数のかけ算を大きく上回る購入となっている」と指摘。有効期限切れによる廃棄につながらないよう求めた。
新型コロナ対策に充てる地方創生臨時交付金を巡っては、モニュメントや公用車など関連性が見えにくいものに使われる「目的外使用」が相次ぎ、感染状況などに応じて適正な金額を配分するよう求めた。
出典:読売新聞(4/13)
2022年04月14日
上海で広がるコロナ感染
米国務省は11日、中国・上海総領事館の緊急要員を除いた職員とその家族に退避命令を出した。理由として、新型コロナウイルス感染拡大を受けた中国当局の厳しい規制を挙げている。
国務省は先週、同じ理由で、総領事館職員とその家族が自主的に退避することを認めると発表していた。
中国への渡航についても、「現地の法律や新型コロナに関する規制の恣意的な執行」を理由に再考を促し、親子が引き離される恐れもあると警告。中国と香港の「ゼロコロナ」政策で、移動や公共サービスの利用が厳しく制限されているとの認識を示す。
入国者は全員、政府指定の施設に少なくとも14日間隔離されると指摘し、期間中は多ければ毎日検査を受け、部屋を出ることも許されないと説明している。
中国国家衛生健康委員会によると、上海ではこの日、新規感染者が5日連続で2万人を突破した。市内では陽性者が14日間以上出ていない地区を除き、大半の地区でロックダウン(都市封鎖)措置が続いている。同市で感染拡大が始まった先月以降の感染者は、計22万人を超えている。
出典:ワシントンCNN(4/13)
国務省は先週、同じ理由で、総領事館職員とその家族が自主的に退避することを認めると発表していた。
中国への渡航についても、「現地の法律や新型コロナに関する規制の恣意的な執行」を理由に再考を促し、親子が引き離される恐れもあると警告。中国と香港の「ゼロコロナ」政策で、移動や公共サービスの利用が厳しく制限されているとの認識を示す。
入国者は全員、政府指定の施設に少なくとも14日間隔離されると指摘し、期間中は多ければ毎日検査を受け、部屋を出ることも許されないと説明している。
中国国家衛生健康委員会によると、上海ではこの日、新規感染者が5日連続で2万人を突破した。市内では陽性者が14日間以上出ていない地区を除き、大半の地区でロックダウン(都市封鎖)措置が続いている。同市で感染拡大が始まった先月以降の感染者は、計22万人を超えている。
出典:ワシントンCNN(4/13)
2022年04月13日
キーウ(キエフ)の状況を現地から語る
日本文化に造詣が深いパルホメン・ボグダンさんが、ウクライナの文化・現状を日本人にわかりやすい形でかみ砕いて、解説している、質の極めて高い情報だ。大阪の小学校・中学校で教育を受けていますし、阪神淡路大震災でも神戸で被災されている、ほぼ関西人です。誇るべきウクライナ人であるとともに、関西人でもあります。いつも無事な姿が見られなくなるかと心配していましたが、どうやら大丈夫になりそうなので安心しています。
出典:東テレ【豊島晋作のテレ東ワールドポリティクス】シリーズ(4/11)
2022年04月12日
コロナワクチン期限切れの扱いは
https://www.asahi.com/articles/photo/AS20220406002760.html?oai=ASQ475RGWQ45UTFL01T&ref=yahoo ←図解(朝日新聞4/7)
有効期限が切れたとみられるコロナワクチンについて、厚労省幹部は「血税で買ったものだが、期限が切れたら捨てるしかない」と話す。
国内での感染が広がっていた2020年8月、政府は翌年初頭から1億2千万回分の供給を受けることで同社と基本的に合意。12月に契約した。
契約後、頻度は極めて低いが副反応として血栓症の報告が海外であり、国内での接種対象は原則として40歳以上に限られた。
1、2回目の接種回数は約11万回にとどまった。
政府は約6千万回分を上限として海外諸国への供与を決め、外務省によると、これまで東アジアを中心に約4300万回分を送った。
残りの約6千万回分について、厚労省予防接種室の担当者は「使い道がなく、宙に浮いた状態だ」と認める。
朝日新聞の取材によると、1億2千万回分の多くは21年中に国内で製造済みで、在庫分は次々に6カ月の有効期限を迎えているとみられる。今後大量廃棄される可能性もある。
厚労省と同社は契約内容の守秘義務を理由に、期限切れを迎えたワクチンの有無を明らかにしていない。
一方、厚労省の担当者は「輸入が途絶えるなど不測の事態に備え、複数社と契約し、かつ人口より多い量を買う必要があった。無駄を生まないことには限界がある」と説明している。
有効期限が切れたとみられるコロナワクチンについて、厚労省幹部は「血税で買ったものだが、期限が切れたら捨てるしかない」と話す。
国内での感染が広がっていた2020年8月、政府は翌年初頭から1億2千万回分の供給を受けることで同社と基本的に合意。12月に契約した。
契約後、頻度は極めて低いが副反応として血栓症の報告が海外であり、国内での接種対象は原則として40歳以上に限られた。
1、2回目の接種回数は約11万回にとどまった。
政府は約6千万回分を上限として海外諸国への供与を決め、外務省によると、これまで東アジアを中心に約4300万回分を送った。
残りの約6千万回分について、厚労省予防接種室の担当者は「使い道がなく、宙に浮いた状態だ」と認める。
朝日新聞の取材によると、1億2千万回分の多くは21年中に国内で製造済みで、在庫分は次々に6カ月の有効期限を迎えているとみられる。今後大量廃棄される可能性もある。
厚労省と同社は契約内容の守秘義務を理由に、期限切れを迎えたワクチンの有無を明らかにしていない。
一方、厚労省の担当者は「輸入が途絶えるなど不測の事態に備え、複数社と契約し、かつ人口より多い量を買う必要があった。無駄を生まないことには限界がある」と説明している。
2022年04月11日
全日本柔道連盟会長、英文でも抗議SNS
日本オリンピック委員会(JOC)と全日本柔道連盟の会長を兼任する山下泰裕氏(64)は11日、個人ホームページにロシアのウクライナ侵攻に対し「ウクライナの人々、そして世界中の柔道を愛する方々へ」と題した声明をした。
民間人への被害が拡大していることを受け、「これらの行為は柔道の精神、目的に完全に反するものです。まったく容認することはできません」と記し、ロシアのプーチン大統領を批判した。「ロシアのジェノサイド(大量虐殺)、非人間的な行動の数々を報道で見て、侵攻を止める効果はなくても、個人としてメッセージを出すべきだと考えた」と説明した。
山下会長は2000年に来日したプーチン氏が講道館を訪れた時を振り返り、「多くの人が心を打たれる振る舞いだった。今のプーチン氏は別人のようだ」と語った。
「連日報道されるウクライナにおける非人道的な行いの数々、柔道家であるプーチン大統領によるロシア軍の侵攻のニュースを聞くにつけ、心を痛めてきました」と記した。
そしてそれらが、講道館柔道の創始者である嘉納治五郎師範が唱えた「精力善用、自他共栄」(最大限の心身の力を善いことのために用いること、人々や社会と融和し協調すること)の精神を踏みにじる行為であることを強調した。
声明はウクライナの人々への思いをはせた上で、「愚かな行為が一日も早くやむことを願います」と結ばれた。同様の内容の英文も併記された。
国際オリンピック委員会(IOC)委員でもある山下氏は3月1日に報道陣の取材に対し、ロシアやベラルーシの選手らを国際大会から除外するよう勧告したIOCの決定などを支持する考えを明らかにしていた。
出典:ANNニュース(4/11)
つづき
民間人への被害が拡大していることを受け、「これらの行為は柔道の精神、目的に完全に反するものです。まったく容認することはできません」と記し、ロシアのプーチン大統領を批判した。「ロシアのジェノサイド(大量虐殺)、非人間的な行動の数々を報道で見て、侵攻を止める効果はなくても、個人としてメッセージを出すべきだと考えた」と説明した。
山下会長は2000年に来日したプーチン氏が講道館を訪れた時を振り返り、「多くの人が心を打たれる振る舞いだった。今のプーチン氏は別人のようだ」と語った。
「連日報道されるウクライナにおける非人道的な行いの数々、柔道家であるプーチン大統領によるロシア軍の侵攻のニュースを聞くにつけ、心を痛めてきました」と記した。
そしてそれらが、講道館柔道の創始者である嘉納治五郎師範が唱えた「精力善用、自他共栄」(最大限の心身の力を善いことのために用いること、人々や社会と融和し協調すること)の精神を踏みにじる行為であることを強調した。
声明はウクライナの人々への思いをはせた上で、「愚かな行為が一日も早くやむことを願います」と結ばれた。同様の内容の英文も併記された。
国際オリンピック委員会(IOC)委員でもある山下氏は3月1日に報道陣の取材に対し、ロシアやベラルーシの選手らを国際大会から除外するよう勧告したIOCの決定などを支持する考えを明らかにしていた。
出典:ANNニュース(4/11)
つづき
2022年04月10日
朝練は脳に良い
ハーバード大学のジョン・J. レイティ博士が、イリノイ州の公立高校の学生に「毎朝、運動をしなさい」と指示。それを実践した生徒たちの学力が上昇し、この高校は全米学力1位になりました。レイティ博士は、「朝起きたときに息が上がるくらいの運動をすることで、脳がベストの状態に覚醒する」「運動は脳を鍛える」という持論を説いています。
心拍数を上げる運動することにより、運動は脳に酸素を送り込み、「β-エンドルフィン」の分泌を促進し、やる気を誘発。体内時計のスイッチが入りやすくなります。毎朝の運動は、思考力、想像力、集中力などの脳機能を活性化につながります。
ナイキ社でCEOを務めたパーカーが朝5時に起きて1時間みっちり運動をすることを続けていた、彼の執務14年間に、売上高2.6倍、営業利益2.2倍の増加を記録。ナイキを年商約4兆円の世界的巨大企業へと導いたのです。パーカーは、オンラインショップの充実、アプリの提供、顧客データ管理徹底など、時代にあった施策を次々と打ち出します。80〜00年代に流行したスニーカーの復刻版は、当時は商品を買えなかったミドルエイジと当時を知らないヤングエイジの双方から人気を集めました。
朝早く起きればそれだけビジネスに使える時間が増えると、ウォルト・ディズニー・カンパニー、スターバックス、Appleなど多くの大企業CEOの習慣です。
心拍数を上げる運動することにより、運動は脳に酸素を送り込み、「β-エンドルフィン」の分泌を促進し、やる気を誘発。体内時計のスイッチが入りやすくなります。毎朝の運動は、思考力、想像力、集中力などの脳機能を活性化につながります。
ナイキ社でCEOを務めたパーカーが朝5時に起きて1時間みっちり運動をすることを続けていた、彼の執務14年間に、売上高2.6倍、営業利益2.2倍の増加を記録。ナイキを年商約4兆円の世界的巨大企業へと導いたのです。パーカーは、オンラインショップの充実、アプリの提供、顧客データ管理徹底など、時代にあった施策を次々と打ち出します。80〜00年代に流行したスニーカーの復刻版は、当時は商品を買えなかったミドルエイジと当時を知らないヤングエイジの双方から人気を集めました。
朝早く起きればそれだけビジネスに使える時間が増えると、ウォルト・ディズニー・カンパニー、スターバックス、Appleなど多くの大企業CEOの習慣です。
2022年04月09日
ロシア軍の内外事情
米政府は4日、ロシア軍が占領していたウクライナの町で残虐行為が行われていた疑惑が浮上したことを受け、ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領に対する制裁を強化する構えを示していた。
ロシアは世界の金融システムから切り離され、ほぼ完全な経済封鎖状態にあるが、国債の利払いはこれまで一連の制裁措置から免除されてきた。だがこの免除措置も来月で期限が切れる。米国はロシアに対し禁輸措置を取っているが、同国の重要な外貨収入源である石油・ガスの販売代金の受け取りも許可されてきた。
米財務省は5日、ウクライナへの侵攻を続けるロシアに対し、米国の銀行に預けている資金を使った国債関連の支払いを禁止したことを明らかにした。これにより、ロシアがデフォルト(債務不履行)に陥る危険性が高まった。米財務省報道官は当初、AFPに対し、同省が「今日から」ドル建ての支払いを禁止すると説明。だが後に、禁止措置は支払期限だった4日に発効したと訂正した。
出典;AFP=時事(4/6)つづき
ロシアは世界の金融システムから切り離され、ほぼ完全な経済封鎖状態にあるが、国債の利払いはこれまで一連の制裁措置から免除されてきた。だがこの免除措置も来月で期限が切れる。米国はロシアに対し禁輸措置を取っているが、同国の重要な外貨収入源である石油・ガスの販売代金の受け取りも許可されてきた。
米財務省は5日、ウクライナへの侵攻を続けるロシアに対し、米国の銀行に預けている資金を使った国債関連の支払いを禁止したことを明らかにした。これにより、ロシアがデフォルト(債務不履行)に陥る危険性が高まった。米財務省報道官は当初、AFPに対し、同省が「今日から」ドル建ての支払いを禁止すると説明。だが後に、禁止措置は支払期限だった4日に発効したと訂正した。
出典;AFP=時事(4/6)つづき
2022年04月08日
沖縄県で第7波、「BA.2」への置き換わりが急速
沖縄県内の7日の新規感染者数は1355人で、3日連続で1千人を超えた。玉城デニー知事は7日、記者会見を開き、新型コロナウイルスの県内の感染状況について「第7波に突入したものと認識せざるを得ない」と述べた。玉城知事は「全ての年代で増加傾向にある。残念ながら5月の連休は、外出などの自粛をせざるを得なくなるかもしれない」と話した。今後も感染拡大が続けば、まん延防止等重点措置の要請を含む強い措置を検討していくという。
県の集計によると、病床使用率は38・1%(7日時点)で、1週間前から約15ポイント上昇した。直近1週間の人口10万人あたりの新規感染者数は513・36人(6日時点)で、全国最多が続いている。
増加の要因について、玉城知事は、オミクロン株の別系統でより感染力が強いとされる「BA.2」への置き換わりが急速に進んだことをあげた。県内の新規感染者の抽出検査で、「BA.2」の割合は4月の第一週時に35・4%となり、前週の2倍となった。
出典: 朝日新聞社 4/7
県の集計によると、病床使用率は38・1%(7日時点)で、1週間前から約15ポイント上昇した。直近1週間の人口10万人あたりの新規感染者数は513・36人(6日時点)で、全国最多が続いている。
増加の要因について、玉城知事は、オミクロン株の別系統でより感染力が強いとされる「BA.2」への置き換わりが急速に進んだことをあげた。県内の新規感染者の抽出検査で、「BA.2」の割合は4月の第一週時に35・4%となり、前週の2倍となった。
出典: 朝日新聞社 4/7
2022年04月07日
ああ言えばこう言うの典型か
ウクライナのブチャで多数の民間人の遺体が見つかったことについて、ロシアの国営メディアは「ウクライナ側が殺害した可能性がある」と指摘する中国の専門家の見解を伝えています。
中国の軍事専門家・宋忠平氏:「ロシア軍に共感し、協力した人々がウクライナ側に殺された可能性がある」
SNSに1000万人以上のフォロワーがいる中国の軍事専門家・宋忠平氏は4日の投稿で、ブチャでの殺害の責任はウクライナ側にあるとの見方を示し、「ロシアがブチャで虐殺を行う必要はない」との持論を展開しました。
また、映像が偽物である可能性も指摘し、「ゼレンスキー大統領は俳優で演技がうまい」と述べました。
ロシアの国営テレビはこの宋氏の動画を放送し、「中国の専門家が西側のストーリーに疑問を呈した」と紹介しました。そのうえで、ブチャでの状況はウクライナ側の捏造だと主張する根拠の一部にしています。
出典:テレ朝news 2022/04/06つづき
中国の軍事専門家・宋忠平氏:「ロシア軍に共感し、協力した人々がウクライナ側に殺された可能性がある」
SNSに1000万人以上のフォロワーがいる中国の軍事専門家・宋忠平氏は4日の投稿で、ブチャでの殺害の責任はウクライナ側にあるとの見方を示し、「ロシアがブチャで虐殺を行う必要はない」との持論を展開しました。
また、映像が偽物である可能性も指摘し、「ゼレンスキー大統領は俳優で演技がうまい」と述べました。
ロシアの国営テレビはこの宋氏の動画を放送し、「中国の専門家が西側のストーリーに疑問を呈した」と紹介しました。そのうえで、ブチャでの状況はウクライナ側の捏造だと主張する根拠の一部にしています。
出典:テレ朝news 2022/04/06つづき
2022年04月06日
核兵器禁止、条約締約が待たれる
核兵器禁止条約の採択に貢献し、ノーベル平和賞を受賞した国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)の川崎哲・国際運営委員が4日、長崎市で記者会見し、ロシアによるウクライナ侵攻を巡り、米国の核兵器を日米で共同運用する「核共有」について、一部の政治家から議論開始を求める声が出ていることについては「政治家が話し出すと人々はあおられる。無責任だ」と批判した。
また、川崎氏は「核による威嚇が実際に行われ、核兵器使用の現実味が増してきた」と懸念を示した。「核で脅せばごく短期間は相手は少し引き下がるかもしれないが、脅し合いを続ければ、次々と核戦争への危機を招く可能性がある」と指摘。
6月下旬にオーストリア・ウィーンで予定される核兵器禁止条約第1回締約国会議に合わせ、ICANはNGO会議を主催する方針で、被爆者ら世界の核被害者の参加に向けて調整している。
出典:毎日新聞【4/5】
また、川崎氏は「核による威嚇が実際に行われ、核兵器使用の現実味が増してきた」と懸念を示した。「核で脅せばごく短期間は相手は少し引き下がるかもしれないが、脅し合いを続ければ、次々と核戦争への危機を招く可能性がある」と指摘。
6月下旬にオーストリア・ウィーンで予定される核兵器禁止条約第1回締約国会議に合わせ、ICANはNGO会議を主催する方針で、被爆者ら世界の核被害者の参加に向けて調整している。
出典:毎日新聞【4/5】
2022年04月05日
「超過死亡」
2021年の死亡者数の異常な増加で、コロナに関連した死亡者はどのくらいと考えればよいであろうか。これを考えるための概念に「超過死亡」というものがある。
「超過死亡」はもともと季節性インフルエンザの被害を推計するものとして発展してきた。インフルエンザが流行しなかったとしたら亡くなっていたであろう人の数を特定のモデルによって推計し、それと実際の死亡者の数を超過死亡として「季節性インフルエンザ関連死」とみなす考え方である。
ちなみに現在公表されている新型コロナによる死亡者数は約19000人、2021年の1年間の死亡者数は約1万5000人とされている。しかしこの数字は新型コロナを原死因とする死亡者数でもないし、新型コロナ関連死の数でもない。厚生労働省が状況を把握するために集計している数であり、内容は新型コロナ感染中に亡くなった人の数である。原死因が何であるのかを問わないものであり、また陰性になった後に死亡した場合にはこの数に含まれない。概念的に極めてあいまいな数字なので、実態をつかむにはやはり超過死亡推計や原死因別の分析などが進む必要がある。データが出そろい詳細な分析ができるまでまだしばらくは時間が必要であるが、最終的には2021年に前年よりも7万人以上多くの人が亡くなっているという事実の背景や理由は、何らかの形で説明されなければならないものであると思う。
2019年は季節性インフルエンザがある程度流行した年であり、インフルエンザを原死因とする死者数が約3500人、超過死亡としてインフルエンザ関連死と推計される人が約1万人である。もっともこの数値は関連死の最大値を表すものに近く過大推計である可能性がよく指摘される。そこで今回、活用した感染症疫学センターの超過死亡の推計は、米国CDCで用いられている方法(Farringtonアルゴリズム)にもとづいたものである。具体的には新型コロナがなかった場合に亡くなっていたであろうと推定される人数を推定し、その予想が最も上振れした場合の最大値(統計学的には片側95パーセント信頼区間の上限値)からの乖離幅を割り出している。この値は「確実な超過死亡数」ということができると思う。
下記のグラフはクリックで拡大
感染症疫学センターの推計によると2021年の1月から9月までの値では、点推定値からのかい離が51,568人であり、推定区間上限値からのかい離が9,782人となっている。実際にコロナ関連死と考えられるのはこの約1万人から約5万人までの間のどこかということになる。ずいぶん幅がある数字であるが、仮に中間付近の3万人前後だとしても季節性インフルエンザに比べればかなりの大きさであることがわかると思う。
死亡者が5パーセント前後増加することはこれまでもときどきみられる現象であり、高度成長期以降では6回程度発生している。ほとんどが大寒波や季節性インフルエンザの大流行、あとは東日本大震災などの災害に起因するものである。重要なことはこのような異常な死亡者増加が発生した翌年は死亡者数が横ばいになることが普通であり、したがって増加率自体は鋭く下落する形状となるのが通例である。唯一の例外は2010年と2011年の2年連続である。2010年はリーマンショック後の経済不況下で、1月〜2月に日本を大寒波が襲い、さらには梅雨時期の集中豪雨とそれに続く記録的な熱波という経済不況と異常気象が合体した年である。2011年は東日本大震災が3月に発生し直接的な死者だけでなく、その後の関連死なども継続し、ほぼ1年を通して前年を上回る死者を出した年である。
2021年の死亡者は数の上でも増加率の上でも高度成長期以降最大のものであることには違いないが、その評価が「季節性インフルエンザのすごいやつが大流行した」という程度になるのか、あるいは「大災害級の死者」となるのかはもう少し先まで見てみないと確定できない。ただしもしこのような死亡者増加状況があと数か月続くようであれば、死者数の観点からは、それはもはや「悪性の風邪の流行」というレベルではなく「戦後最大級の大災害」ということになるだろう。
※https://plutokitakita.hatenablog.com/entry/2022/02/07/160804
あくまで社会科学を探求する一人の学者・北川浩個人の考えを表示するブログ。
成蹊大学学長を務めるが、成蹊大学の公式な見解とはまったく無関係としている。
つづき
「超過死亡」はもともと季節性インフルエンザの被害を推計するものとして発展してきた。インフルエンザが流行しなかったとしたら亡くなっていたであろう人の数を特定のモデルによって推計し、それと実際の死亡者の数を超過死亡として「季節性インフルエンザ関連死」とみなす考え方である。
ちなみに現在公表されている新型コロナによる死亡者数は約19000人、2021年の1年間の死亡者数は約1万5000人とされている。しかしこの数字は新型コロナを原死因とする死亡者数でもないし、新型コロナ関連死の数でもない。厚生労働省が状況を把握するために集計している数であり、内容は新型コロナ感染中に亡くなった人の数である。原死因が何であるのかを問わないものであり、また陰性になった後に死亡した場合にはこの数に含まれない。概念的に極めてあいまいな数字なので、実態をつかむにはやはり超過死亡推計や原死因別の分析などが進む必要がある。データが出そろい詳細な分析ができるまでまだしばらくは時間が必要であるが、最終的には2021年に前年よりも7万人以上多くの人が亡くなっているという事実の背景や理由は、何らかの形で説明されなければならないものであると思う。
2019年は季節性インフルエンザがある程度流行した年であり、インフルエンザを原死因とする死者数が約3500人、超過死亡としてインフルエンザ関連死と推計される人が約1万人である。もっともこの数値は関連死の最大値を表すものに近く過大推計である可能性がよく指摘される。そこで今回、活用した感染症疫学センターの超過死亡の推計は、米国CDCで用いられている方法(Farringtonアルゴリズム)にもとづいたものである。具体的には新型コロナがなかった場合に亡くなっていたであろうと推定される人数を推定し、その予想が最も上振れした場合の最大値(統計学的には片側95パーセント信頼区間の上限値)からの乖離幅を割り出している。この値は「確実な超過死亡数」ということができると思う。
下記のグラフはクリックで拡大
感染症疫学センターの推計によると2021年の1月から9月までの値では、点推定値からのかい離が51,568人であり、推定区間上限値からのかい離が9,782人となっている。実際にコロナ関連死と考えられるのはこの約1万人から約5万人までの間のどこかということになる。ずいぶん幅がある数字であるが、仮に中間付近の3万人前後だとしても季節性インフルエンザに比べればかなりの大きさであることがわかると思う。
死亡者が5パーセント前後増加することはこれまでもときどきみられる現象であり、高度成長期以降では6回程度発生している。ほとんどが大寒波や季節性インフルエンザの大流行、あとは東日本大震災などの災害に起因するものである。重要なことはこのような異常な死亡者増加が発生した翌年は死亡者数が横ばいになることが普通であり、したがって増加率自体は鋭く下落する形状となるのが通例である。唯一の例外は2010年と2011年の2年連続である。2010年はリーマンショック後の経済不況下で、1月〜2月に日本を大寒波が襲い、さらには梅雨時期の集中豪雨とそれに続く記録的な熱波という経済不況と異常気象が合体した年である。2011年は東日本大震災が3月に発生し直接的な死者だけでなく、その後の関連死なども継続し、ほぼ1年を通して前年を上回る死者を出した年である。
2021年の死亡者は数の上でも増加率の上でも高度成長期以降最大のものであることには違いないが、その評価が「季節性インフルエンザのすごいやつが大流行した」という程度になるのか、あるいは「大災害級の死者」となるのかはもう少し先まで見てみないと確定できない。ただしもしこのような死亡者増加状況があと数か月続くようであれば、死者数の観点からは、それはもはや「悪性の風邪の流行」というレベルではなく「戦後最大級の大災害」ということになるだろう。
※https://plutokitakita.hatenablog.com/entry/2022/02/07/160804
あくまで社会科学を探求する一人の学者・北川浩個人の考えを表示するブログ。
成蹊大学学長を務めるが、成蹊大学の公式な見解とはまったく無関係としている。
つづき
2022年04月04日
日本よ、核抑止力を言う前に平和仲介役となれ
帝政ロシアの崩壊からレーニン、スターリン、ゴルバチョフからエリツィン。ソ連が崩壊して現れたのがプーチン。ロシアという国は、専制支配が倒れた後に出てくるシナリオは前よりむしろ悪くなるという歴史を繰り返しています。ウクライナ侵攻で「プーチンをつぶせば解決する」というのは短絡的な考えでしょう。プーチン大統領が失脚し、たとえそこで戦争が終わっても、ロシア国内は内戦に反転する可能性もあります。世界最大の核保有国でそういう事態が起きたら、まさに悪夢の始まりです。
米国も経済のダメージを恐れていて、ロシアがデフォルトにならないよう国債の利払いのドル決済を認めました。その一方で、ウクライナ頑張れとエールを送っているのです。問題はウクライナ一国やゼレンスキー大統領、そしてプーチン大統領だけで決められることではなくなっていることです。これ以上、人の命が奪われないためには、一刻も早く停戦にもっていくような仲介の労を取らないといけません。
そのたの議論もならずのうちに「核保有論」などに政治の焦点が行くこと自体、強い憤りを感じざるを得ません。東京大学名誉教授の和田春樹さんをはじめとするロシア史研究者たちは「日印中によるウクライナ停戦仲介」を日本政府に呼びかけましたが、中国とロシアの関係は言わずもがなですが、岸田文雄首相が今回の日印首脳会談で「力による現状変更は許さない」と発表した際にも、モディ首相はロシアに言及しなかったことからもわかるように、印ロ関係は親密です。この2カ国が仲介の役を買うならばロシアを説得できる、しかし、ウクライナはそれでは乗れません。だからそこに日本の出番なのです。ロシア制裁に日本が加わったため、北方領土交渉の中断にはなってしまいましたが、それでも長年、培ってきた何らかのパイプはまだあるはずです。日本なら、インドと合流しながら中国に働きかけていく。仲介役をすることで中国は世界に自分たちは脅威ではないとアピールできますから、メリットはあります。ロシア史研究者たちの考えを本格的に検討すべき時ではないでしょうか。
姜尚中(カン・サンジュン)/1950年熊本市生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科博士課程修了後、東京大学大学院情報学環・学際情報学府教授などを経て、現在東京大学名誉教授・熊本県立劇場館長兼理事長。専攻は政治学、政治思想史。テレビ・新聞・雑誌などで幅広く活躍
※AERA 2022年4月4日号
米国も経済のダメージを恐れていて、ロシアがデフォルトにならないよう国債の利払いのドル決済を認めました。その一方で、ウクライナ頑張れとエールを送っているのです。問題はウクライナ一国やゼレンスキー大統領、そしてプーチン大統領だけで決められることではなくなっていることです。これ以上、人の命が奪われないためには、一刻も早く停戦にもっていくような仲介の労を取らないといけません。
そのたの議論もならずのうちに「核保有論」などに政治の焦点が行くこと自体、強い憤りを感じざるを得ません。東京大学名誉教授の和田春樹さんをはじめとするロシア史研究者たちは「日印中によるウクライナ停戦仲介」を日本政府に呼びかけましたが、中国とロシアの関係は言わずもがなですが、岸田文雄首相が今回の日印首脳会談で「力による現状変更は許さない」と発表した際にも、モディ首相はロシアに言及しなかったことからもわかるように、印ロ関係は親密です。この2カ国が仲介の役を買うならばロシアを説得できる、しかし、ウクライナはそれでは乗れません。だからそこに日本の出番なのです。ロシア制裁に日本が加わったため、北方領土交渉の中断にはなってしまいましたが、それでも長年、培ってきた何らかのパイプはまだあるはずです。日本なら、インドと合流しながら中国に働きかけていく。仲介役をすることで中国は世界に自分たちは脅威ではないとアピールできますから、メリットはあります。ロシア史研究者たちの考えを本格的に検討すべき時ではないでしょうか。
姜尚中(カン・サンジュン)/1950年熊本市生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科博士課程修了後、東京大学大学院情報学環・学際情報学府教授などを経て、現在東京大学名誉教授・熊本県立劇場館長兼理事長。専攻は政治学、政治思想史。テレビ・新聞・雑誌などで幅広く活躍
※AERA 2022年4月4日号
2022年04月03日
散るだけが目的とされた頃
ロシア国民の8割が、プーチン政権下のウクライナ侵攻を支持しているのだとの報道がされた。戦前の日本も自国の軍拡が本命だった時期があったのだから、桜の美しい時期なのに寒々しい世情だ。
NHKはグアム島に終戦から27年間潜伏し続けた残留日本兵・横井庄一さんについて、1500分の音声テープなど未公開の膨大な記録の一部を再放送した。「グアムの戦後のことは日本政府に訴えなあかん。戦争の後始末をつけるために」という遺志をついで、記録を手がかりに関係者や資料取材で世に問うた。グアムでの現地住民に日本軍が惨殺した経緯から、終戦を迎えて司令官は恥をさらすなと教えたはずが、人知れず米軍に投降していたとは潜伏中は知らないまま、軍の規律を守って終戦指令も届かずに生存をかけて息を潜め、サバイバルを続けた。軍国主義のなれの果て、兵士を戦場に送った後に、この国は終戦とどう向き合ってきたのかその内実が浮かび上がってきた。
更に、次のような取材記事も目にした。
「咲いた花なら散るのは覚悟、みごと散りましょ国のため」。15歳で志願して軍人となり特攻要員として訓練を受けた長野市の武井敏雄(たけい・としお)さん(90)がよく歌った「同期の桜」の一節だ。勇ましい歌詞とは裏腹に、悪化する戦況下、若すぎる軍人の脳裏に芽生えたのは「死にたくない」という特攻志願への後悔だった。「もう誰にも自分と同じ経験はさせたくない」。75年前の惨状を語った。(共同通信=櫛部紗永)
▽12歳で経験した軍事訓練
1930年、東京の日本橋や浅草に店を構える衣料問屋の次男として生まれた。生まれつき体が丈夫で、走るのが速く、体育が得意だった。千葉県の八幡尋常高等小学校に入学。小学6年生では全校生徒の代表として体育部長を務め、体操では号令をかけた。太平洋戦争が始まったのはそんな育ち盛りの頃。41年12月、担任の教諭から「本日、日本はアメリカ、イギリスを相手に戦争を始めました」と聞かされた。物心ついた時から戦争は身近だった。
翌年、旧制江戸川中学校に入学。兵器庫がある学校で、軍事訓練を12歳で初めて経験した。毎朝30分間の朝礼は校庭で歩行訓練、陸軍士官学校出身の将校による「教練」の授業では竹やりで敵を倒す練習をした。毎週日曜日は学外訓練として、約30キロの道のりを夜通し歩くこともあった。深夜の線路を戦車が走り抜ける姿や騎馬隊の見学―。「いま考えればあり得ない景色ばかりだった」
14歳の頃には、勤労動員で魚雷製造工場へ。作り出す爆弾も多かったが、落とされる焼夷弾も多く、空襲は増える一方だった。東京大空襲直後の惨状はいまも、まぶたの裏に焼き付いたままだ。
▽焼け焦げた遺体
45年3月9日午後10時ごろ、東京都に隣接する千葉県市川市の自宅で家族だんらんしている時だった。突然、警戒警報もなしに空襲警報が鳴り響いた。遠くの空には爆撃機。急いで庭の防空壕に逃げ込んだ。警報が解除され外に出ると、西の空が真っ赤だった。
翌朝、中学へ自転車で向かった。黒く焼け焦げた遺体であふれかえった通り、水ぶくれした遺体でびっしりと埋まった防火用水。いつもの通学路は変わり果てていた。空襲が激しかった両国では、国技館が骨組みだけに。たまらず家に引き返すと、遺体を無造作にトラックに投げ込む兵隊に遭遇した。錦糸町の菓子屋前では、道に流れ出した水あめを舐める人たちもいた。「幼心に日本は完全に負けたと思った」
▽真っ先に教えられた切腹の仕方
父の希望で「食べ物に困らない」職業軍人を目指し、陸軍特別幹部候補生に合格。浜松市にある航空技術の教育部隊に入隊した。45年4月、大勢に見送られて東京駅を出発した。中学の同級生から胴上げされ、送別会で渡された日の丸には、親友がナイフで自分の指を切り、血で「タケイガンバレ」と書いてくれた。
入隊して真っ先に教わったのは切腹で、上官は刀を腹に刺す手本を示した。「敵に殺されるくらいなら、自決くらいしっかりやれ」。銃を抱えてほふく前進、剣で相手を突き殺す練習―。基礎訓練は朝から晩まで続いた。「同期の桜」は骨休めに何度も歌わされた。
その後、特攻要員になることを承知で操縦士を志願。華々しさに憧れたが、日に日に悪化する戦況を感じ取るにつれ、「命を懸けて特攻隊員になりたかったわけじゃない」と悔いた。仲間からは、爆弾を持って戦車に体当たりする自爆訓練を繰り返していると聞いた。「生きて帰れない」。初めて特攻が怖くなった。
45年7月、部隊は滋賀県日野町に疎開。飛行訓練にたどり着く前に玉音放送を聴いた。部隊長からは「自分の意思で帰れ」と告げられた。長野県中野市に疎開し中島飛行機の関連工場で戦闘機を製造していた家族の元へ。母親は涙を浮かべ抱きしめてくれた。
▽戦争を若い世代に語り残す
46年に長野県の旧制須坂中学校を卒業。その後、父が新たに創業した食品会社の商売を手伝い始め、現在は会長を務める。「子どもに食べる楽しさを知ってほしい」と、駄菓子を多く扱う。いまでは地元の人にテレビ広告で馴染みの店だ。
戦争で得ることは何もなかった。「命を捨てても戦争に勝て、という教育に従い、大勢の若者が無駄死にした。こんな恐ろしい教育は二度と繰り返してはいけない」。いまは戦争のむごさを若い世代に語り残す責任を強く感じている。
過去には、長野市の中学校が行う平和学習に招かれ、自身の人生を語った。「人の命以上に大切なものはない」。うなずく中学生の姿に確かな手応えと、わずかな希望を感じた。憲法改正、特に9条については「軍事大国化を助長しかねない」と懸念を持ち、世界的に社会の分断が進んでいることには不安を感じる。
8月15日正午、長野市の自宅で、全国戦没者追悼式のテレビ中継を見た。75年前を思い返し、窓の外に目をやると「力強く復興した日本」が見えた。「平和な世の中が続きますように」と強く願いながら手を合わせた。
NHKはグアム島に終戦から27年間潜伏し続けた残留日本兵・横井庄一さんについて、1500分の音声テープなど未公開の膨大な記録の一部を再放送した。「グアムの戦後のことは日本政府に訴えなあかん。戦争の後始末をつけるために」という遺志をついで、記録を手がかりに関係者や資料取材で世に問うた。グアムでの現地住民に日本軍が惨殺した経緯から、終戦を迎えて司令官は恥をさらすなと教えたはずが、人知れず米軍に投降していたとは潜伏中は知らないまま、軍の規律を守って終戦指令も届かずに生存をかけて息を潜め、サバイバルを続けた。軍国主義のなれの果て、兵士を戦場に送った後に、この国は終戦とどう向き合ってきたのかその内実が浮かび上がってきた。
更に、次のような取材記事も目にした。
「咲いた花なら散るのは覚悟、みごと散りましょ国のため」。15歳で志願して軍人となり特攻要員として訓練を受けた長野市の武井敏雄(たけい・としお)さん(90)がよく歌った「同期の桜」の一節だ。勇ましい歌詞とは裏腹に、悪化する戦況下、若すぎる軍人の脳裏に芽生えたのは「死にたくない」という特攻志願への後悔だった。「もう誰にも自分と同じ経験はさせたくない」。75年前の惨状を語った。(共同通信=櫛部紗永)
▽12歳で経験した軍事訓練
1930年、東京の日本橋や浅草に店を構える衣料問屋の次男として生まれた。生まれつき体が丈夫で、走るのが速く、体育が得意だった。千葉県の八幡尋常高等小学校に入学。小学6年生では全校生徒の代表として体育部長を務め、体操では号令をかけた。太平洋戦争が始まったのはそんな育ち盛りの頃。41年12月、担任の教諭から「本日、日本はアメリカ、イギリスを相手に戦争を始めました」と聞かされた。物心ついた時から戦争は身近だった。
翌年、旧制江戸川中学校に入学。兵器庫がある学校で、軍事訓練を12歳で初めて経験した。毎朝30分間の朝礼は校庭で歩行訓練、陸軍士官学校出身の将校による「教練」の授業では竹やりで敵を倒す練習をした。毎週日曜日は学外訓練として、約30キロの道のりを夜通し歩くこともあった。深夜の線路を戦車が走り抜ける姿や騎馬隊の見学―。「いま考えればあり得ない景色ばかりだった」
14歳の頃には、勤労動員で魚雷製造工場へ。作り出す爆弾も多かったが、落とされる焼夷弾も多く、空襲は増える一方だった。東京大空襲直後の惨状はいまも、まぶたの裏に焼き付いたままだ。
▽焼け焦げた遺体
45年3月9日午後10時ごろ、東京都に隣接する千葉県市川市の自宅で家族だんらんしている時だった。突然、警戒警報もなしに空襲警報が鳴り響いた。遠くの空には爆撃機。急いで庭の防空壕に逃げ込んだ。警報が解除され外に出ると、西の空が真っ赤だった。
翌朝、中学へ自転車で向かった。黒く焼け焦げた遺体であふれかえった通り、水ぶくれした遺体でびっしりと埋まった防火用水。いつもの通学路は変わり果てていた。空襲が激しかった両国では、国技館が骨組みだけに。たまらず家に引き返すと、遺体を無造作にトラックに投げ込む兵隊に遭遇した。錦糸町の菓子屋前では、道に流れ出した水あめを舐める人たちもいた。「幼心に日本は完全に負けたと思った」
▽真っ先に教えられた切腹の仕方
父の希望で「食べ物に困らない」職業軍人を目指し、陸軍特別幹部候補生に合格。浜松市にある航空技術の教育部隊に入隊した。45年4月、大勢に見送られて東京駅を出発した。中学の同級生から胴上げされ、送別会で渡された日の丸には、親友がナイフで自分の指を切り、血で「タケイガンバレ」と書いてくれた。
入隊して真っ先に教わったのは切腹で、上官は刀を腹に刺す手本を示した。「敵に殺されるくらいなら、自決くらいしっかりやれ」。銃を抱えてほふく前進、剣で相手を突き殺す練習―。基礎訓練は朝から晩まで続いた。「同期の桜」は骨休めに何度も歌わされた。
その後、特攻要員になることを承知で操縦士を志願。華々しさに憧れたが、日に日に悪化する戦況を感じ取るにつれ、「命を懸けて特攻隊員になりたかったわけじゃない」と悔いた。仲間からは、爆弾を持って戦車に体当たりする自爆訓練を繰り返していると聞いた。「生きて帰れない」。初めて特攻が怖くなった。
45年7月、部隊は滋賀県日野町に疎開。飛行訓練にたどり着く前に玉音放送を聴いた。部隊長からは「自分の意思で帰れ」と告げられた。長野県中野市に疎開し中島飛行機の関連工場で戦闘機を製造していた家族の元へ。母親は涙を浮かべ抱きしめてくれた。
▽戦争を若い世代に語り残す
46年に長野県の旧制須坂中学校を卒業。その後、父が新たに創業した食品会社の商売を手伝い始め、現在は会長を務める。「子どもに食べる楽しさを知ってほしい」と、駄菓子を多く扱う。いまでは地元の人にテレビ広告で馴染みの店だ。
戦争で得ることは何もなかった。「命を捨てても戦争に勝て、という教育に従い、大勢の若者が無駄死にした。こんな恐ろしい教育は二度と繰り返してはいけない」。いまは戦争のむごさを若い世代に語り残す責任を強く感じている。
過去には、長野市の中学校が行う平和学習に招かれ、自身の人生を語った。「人の命以上に大切なものはない」。うなずく中学生の姿に確かな手応えと、わずかな希望を感じた。憲法改正、特に9条については「軍事大国化を助長しかねない」と懸念を持ち、世界的に社会の分断が進んでいることには不安を感じる。
8月15日正午、長野市の自宅で、全国戦没者追悼式のテレビ中継を見た。75年前を思い返し、窓の外に目をやると「力強く復興した日本」が見えた。「平和な世の中が続きますように」と強く願いながら手を合わせた。
2022年04月02日
女性達の「レッテル」分析は必要
メーガン妃(40)が、3月に、スポティファイから今夏にポッドキャスト番組を開始することを発表していた。2020年、自らの制作会社アーチウェル・オーディオがスポティファイと数年にわたる巨額契約を結んだことを発表していた。そのポッドキャスト新番組で「女性達の妨げとなるレッテルを探る」というテーマとした番組名が『アーキタイプス(典型)』であることが明らかになった。
メーガン妃は、同番組で「ステレオタイプの数々の起源を辿り、同じ役回りばかり求められることがもたらす影響について熟知する女性達と無検閲の会話を持つ」そうだ。ティーザー音声の中で「これが女性に関する話し方です。私達の少女を育てる言葉、そしてメディアが私達に向けて映し出す女性の姿。でもこれらのステレオタイプはどこから来たのでしょう?そしてどのようにして、姿を現し続け、私達の人生を定義づけるのでしょう?」「これが典型というものです。私達は、このポッドキャストで女性達の妨げとなるレッテルを分析し、探求し、覆します。私は同じ役回りばかり求められることがもたらす影響について熟知する女性達と話すほか、そもそもどうしてそれが使われるようになったのかを理解するため歴史学者とも話します」
最近、同ストリーミングサービスで配信されているジョー・ローガンのポッドキャスト番組が新型コロナのワクチンに関する「誤情報」を拡散しているとして番組中止を求める声が上がっており、大物ミュージシャン達が自身の曲を削除する事態に至っていた。そこで、先週同夫妻は「誤情報に対処」しながら同社とのパートナーシップを継続してゆくことを発表していた。
英王室から離別したヘンリー王子と二人の子ども達の4人家族となって、米国で暮らしをはめた元女優は、人種差別、女性問題など等、既存社会への新提案を目論んで、ますます頼もしいばかりだ。
出典HP:
メーガン妃は、同番組で「ステレオタイプの数々の起源を辿り、同じ役回りばかり求められることがもたらす影響について熟知する女性達と無検閲の会話を持つ」そうだ。ティーザー音声の中で「これが女性に関する話し方です。私達の少女を育てる言葉、そしてメディアが私達に向けて映し出す女性の姿。でもこれらのステレオタイプはどこから来たのでしょう?そしてどのようにして、姿を現し続け、私達の人生を定義づけるのでしょう?」「これが典型というものです。私達は、このポッドキャストで女性達の妨げとなるレッテルを分析し、探求し、覆します。私は同じ役回りばかり求められることがもたらす影響について熟知する女性達と話すほか、そもそもどうしてそれが使われるようになったのかを理解するため歴史学者とも話します」
最近、同ストリーミングサービスで配信されているジョー・ローガンのポッドキャスト番組が新型コロナのワクチンに関する「誤情報」を拡散しているとして番組中止を求める声が上がっており、大物ミュージシャン達が自身の曲を削除する事態に至っていた。そこで、先週同夫妻は「誤情報に対処」しながら同社とのパートナーシップを継続してゆくことを発表していた。
英王室から離別したヘンリー王子と二人の子ども達の4人家族となって、米国で暮らしをはめた元女優は、人種差別、女性問題など等、既存社会への新提案を目論んで、ますます頼もしいばかりだ。
出典HP:
ウオーキングの快
オミクロン株の急速な広がりによって「まん延防止法」がほぼ全国の都道府県にて、主に1月中旬から彼岸の3月21日まで実施された。
だからと言って、閉じこもってばかりいないで、わが身と脳の活性のために歩くことが大事だと、この間に新ためて発見した。
佐藤富「「いい「口ぐぜ」はいい人生をつくる」(大和出版)
『不快な感情やマイナス思考を遠ざけ、快を保つために最も効果的でダイレクトな方法、それはウォーキングをすることです。
人類の祖先が直立ニ足歩行によって脳を著しく発達させ、進化していったことからもわかるとおり、歩くと脳が強烈に刺激されて活性化します。こういう状態にあるとき、不快な感情やマイナス思考が長く尾を引くことはありません。人間は、歩きながら怒ったり、恐れたり、悩み続けたりすることはできないようになっているのです。
歩き始めて15分もすると、歩くことによって分泌される快楽系ホルモン、ベーターエンドルフィンの恩恵で、不快な感情に代って快の感情が湧き起こってきます。ベーターエンドルフィンの分泌が始まると、その効果は約5時間から6時間にもわたって継続します。さらに歩き続けて20分後、今度はドーパミンの分泌が始まります。
ベーターエンドルフィンとドーパミンが合わさると脳の神経回路が顕著に活性化するので、とにかく気分が高揚し、物事を明るく楽天的に考えることができるようになります。そして、夢や希望、ロマンが湧いてきます。
仕事のアイデアを出す、プランニングする、何かを創造するというときにも、このように脳が快の状態になっていないとうまくいきません。
ですから、いつも、「成功したいならウォーキングをしなきゃダメだ」と言っています。』
筋力トレーニングと何らかの有酸素運動を組み合わせて心拍数を上げることは、疾病リスクのさらなる低減につながることが研究者グループによって明らかにされていた。結果は、どちらのタイプの運動も健康と長寿を増進させるというこれまでの研究結果を裏付けており、効果を得るために何時間もジムで頑張る必要がないとの示唆をえた。
徐々に筋肉を鍛え、時間とともに大きく強くすることができるウエイトトレーニングは筋肉増強には理想的な方法だ。またウエイトリフティングは、スキルレベルを問わず、ほぼすべての年齢層の人が行える運動だと専門家は以前Insiderに語っている。しかし、ウエイトトレーニングをしなくても筋肉は増強できる。今回の研究によると、腕立て伏せやスクワットなどの自重トレーニングや、レジスタンスバンドを使ったワークアウトなども筋肉を増やす運動だとみなしてよいことが分かった。筋力トレーニングの疾病予防効果は、ほとんどの健康リスクに対し、週30分から60分の運動が最大であることを研究者グループは指摘した。
つまり、筋トレまでしなくても、ウオーキングでもいいから、適度な運動をつづけるほうが、爽やかな健康な日々の継続に役立つということだ。つづき
だからと言って、閉じこもってばかりいないで、わが身と脳の活性のために歩くことが大事だと、この間に新ためて発見した。
佐藤富「「いい「口ぐぜ」はいい人生をつくる」(大和出版)
『不快な感情やマイナス思考を遠ざけ、快を保つために最も効果的でダイレクトな方法、それはウォーキングをすることです。
人類の祖先が直立ニ足歩行によって脳を著しく発達させ、進化していったことからもわかるとおり、歩くと脳が強烈に刺激されて活性化します。こういう状態にあるとき、不快な感情やマイナス思考が長く尾を引くことはありません。人間は、歩きながら怒ったり、恐れたり、悩み続けたりすることはできないようになっているのです。
歩き始めて15分もすると、歩くことによって分泌される快楽系ホルモン、ベーターエンドルフィンの恩恵で、不快な感情に代って快の感情が湧き起こってきます。ベーターエンドルフィンの分泌が始まると、その効果は約5時間から6時間にもわたって継続します。さらに歩き続けて20分後、今度はドーパミンの分泌が始まります。
ベーターエンドルフィンとドーパミンが合わさると脳の神経回路が顕著に活性化するので、とにかく気分が高揚し、物事を明るく楽天的に考えることができるようになります。そして、夢や希望、ロマンが湧いてきます。
仕事のアイデアを出す、プランニングする、何かを創造するというときにも、このように脳が快の状態になっていないとうまくいきません。
ですから、いつも、「成功したいならウォーキングをしなきゃダメだ」と言っています。』
筋力トレーニングと何らかの有酸素運動を組み合わせて心拍数を上げることは、疾病リスクのさらなる低減につながることが研究者グループによって明らかにされていた。結果は、どちらのタイプの運動も健康と長寿を増進させるというこれまでの研究結果を裏付けており、効果を得るために何時間もジムで頑張る必要がないとの示唆をえた。
徐々に筋肉を鍛え、時間とともに大きく強くすることができるウエイトトレーニングは筋肉増強には理想的な方法だ。またウエイトリフティングは、スキルレベルを問わず、ほぼすべての年齢層の人が行える運動だと専門家は以前Insiderに語っている。しかし、ウエイトトレーニングをしなくても筋肉は増強できる。今回の研究によると、腕立て伏せやスクワットなどの自重トレーニングや、レジスタンスバンドを使ったワークアウトなども筋肉を増やす運動だとみなしてよいことが分かった。筋力トレーニングの疾病予防効果は、ほとんどの健康リスクに対し、週30分から60分の運動が最大であることを研究者グループは指摘した。
つまり、筋トレまでしなくても、ウオーキングでもいいから、適度な運動をつづけるほうが、爽やかな健康な日々の継続に役立つということだ。つづき
2022年04月01日
日本のプレゼンスでウ露の調停すべき
JBPess(3/29)の朝比奈 一郎のWeb論説、デイリー新潮の溝口紀子教授の対談を読んで、なるほどと思いましたので、概要を記します。
ロシアのウクライナ侵攻の一件で各国が軍事力の増強に動き出しています。ドイツはこれまでGDPの1.5%以内にとどめていた国防費を2%以上まで増やすと宣言しましたが、この議論は日本をはじめ各国に波及するでしょう。そうなると、ロシアのしかけた戦争は現在、プーチンの立場からすれば「いったい何のための戦争なのか」という状態になっていくのです。日本が世界大戦に向かった歴史の上に、冷静に説得すれば、ロシアが折り合えるところが見えてくるはずです。日本にはプーチン大統領と個人的に信頼関係を持つ安倍晋三、森喜朗の両元総理、全柔連とJOC柔道の山下泰裕会長といった人的ルートがあります。いまこそ、日本が出来る手を打たないないでいつするというのでしょうか。山下氏はかつてソ連のアフガニスタン侵攻で日本がモスクワ五輪(1980年)をボイコットして出場できなかった時の記憶がある方であり、「精力善用」「自他共栄」の精神を、柔道発祥地の日本から発信すれば一言に重みがある。JOCは盛んに「スポーツの力」を強調しています。それなら、今こそ「スポーツの力」を国際舞台でも示すべき時です。「スポーツに政治が介入するな」と言ってきたはずですが、沈黙して「介入しない」でいることこそが逆に、政治の介入そのものではないのか。
北京五輪の五輪休戦協定の期間にもかかわらずウクライナに侵攻しましたが、これで3度目の協定違反です。2008年の北京夏季五輪開会式の日にグルジア(ジョージア)へ侵攻していますし、開催国だった2014年のソチ冬季パラリンピックでは、開催直前にクリミア半島へ軍事介入した。「平和の祭典」であるはずの五輪もプーチン大統領の前では全く無力だったどころか、ロシアによる度重なる協定違反で五輪の存在意義が問われる事態に陥っているのです。山下会長は以前、井上康生さん(シドニー五輪100キロ級金メダル 東京五輪男子柔道代表監督)と共に、イスラエルとパレスチナの選手を一緒に練習させて国際社会に発信し、世界に平和を訴えていました。戦争をしたいのはプーチン大統領で、専門書まで書くほど柔道に精通している柔道家なのですから、そこに訴えない手はないでしょう。
プーチン政権化で日本を非友好国に指定しましたが、北方領土を除けば友好関係にあったのです。ここで日本が外交力を発揮できれば、国際的プレゼンスはがぜん大きくなります。なにより、仮に失敗しても失うものは何もありません。ウクライナのためにもロシアのためにも、そして日本の将来のためにも、やらない理由が見当たりません。ゼレンスキー大統領は冒頭に引用した日本の国会向け演説の中で、日本のリーダーシップに言及しました。リーダーシップとは、日本語だと指導力と訳されることが多いです。私はハーバード大学でリーダーシップについて学んだこともあり、理解する英語の語感でリーダーシップとは、本来の意味は音は同じでも「始動力」が適訳です。つまり、事態打開のために変革に向けてアクションを取るイメージです。部下などを指導する力のことではなく、事態を打開する意思力と言うべきです。
日本には、今のロシアから見て役に立つ二度の歴気に禍根を残す経験があると言えます。ひとつは、満洲事変です。
旧日本軍が起こした満洲事変と今回、ロシアが最初にウクライナ東部を侵攻したケースは、極めて似た側面があります。ロシアによる侵攻の前の段階で、ウクライナ政府から見れば「勝手に独立宣言していた」親ロシア派住民が多い「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」を、ロシアが一方的に国家として承認しました。そしてすかさず、そこに住む「ロシア系住民の保護」を理由にウクライナ東部に軍隊を派遣しました。これがロシアが主張するウクライナ侵攻の理屈です。
では満洲事変とはどういう出来事だったのでしょうか。日本がかつて中国の中に傀儡政権を打ち立てた中国東北部は、もともと女真族(満洲族)が支配していた土地でした。女真族による清王朝が滅び、漢民族による中華民国が成立して以降、この東北部もそのまま中華民国の領土となっていました。そのため女真族や日本からみれば「東北部はもとをただせば漢民族の土地じゃない、女真族の土地じゃないか」という見方ができました。関東軍は日本政府が経営権を握る南満洲鉄道を中国軍が爆破したという口実のもと、満洲を軍事制圧。さらに関東軍がお膳立てして清朝最後の皇帝・愛新覚羅溥儀を擁立して「満洲国」という国を建てたのです。さらにその民族政策として、和(日本)・韓・満・蒙・漢による「五族協和」の理念を謳いました。満洲国は日本の傀儡国家とも言われますが、日本人の中には本気で「五族協和」の理念に共鳴して、ここで他民族と一緒に新しい国家を作っていこうと大陸に渡った人々も多くいたのもまた事実なのです。
ウクライナの中でロシア系住民が多い東部地域と中国の中で女真族(満洲族)が多い満洲。それぞれの地域の独立を支援することを目的に軍事行動に出たロシアと日本。理屈と立場は非常に似ていると言えるのです。
満洲事変は1931年9月、関東軍の自作自演であった柳条湖事件で始まり、32年2月には関東軍は満洲全域を占領、3月1日には満洲国の建国が宣言されています。兵力差などを考えれば、実はこの作戦遂行の速さはまさに電撃的でした。日本とすれば、ここまではうまくいきすぎと言えるくらい順調に進んでいたと思います。しかし、そこから後は選択を大いに誤り、まさに今ロシアが陥りつつあるような「泥沼」の時代に突入していきます。
31年に満洲事変が起き、33年には日本と中国との間で「塘沽(たんくー)停戦協定」が結ばれます。満洲事変から第二次世界大戦の終戦までの日本の戦争を「十五年戦争」と呼ぶこともありますが、実はその間の塘沽停戦協定が機能していたおよそ4年間は、日本は国際法的な意味では厳密には戦争をしていませんでした。中国がストレートに「満洲国設立」に納得はしなかったでしょうが、国際社会では一定の納得感をもって受け入れられた可能性が高いのです。この停戦協定は37年の盧溝橋事件によって破られます。もしも、関東軍が盧溝橋事件を起こさず、満洲国を建国したところで軍事行動を止めていたら、日本の行く末は大きく変わったと思います。
実際、満洲事変の勃発後、中国が国際連盟に提訴したことで、イギリスの政治家リットンを団長とする調査団が日本や満洲、中国に入りました。リットン調査団が出した結論は、見方によってはかなり日本に宥和的なものでした。日本側の事情にいろいろ理解している面も多く、仮にあの時点で日本が軍事侵攻をストップさせていたら、その後の国際的な立ち位置もそう悪いものにはならなかった可能性があります。
ですから、同じように、もしも現在のウクライナ戦争において、ロシアがウクライナ東部地域の独立だけに事をとどめておけば、軍事侵攻に対する制裁などはあったとしても、その後の国際社会において圧倒的な悪役になることはないと思います。
今や国際的な世論の中でかき消されつつありますが、ウクライナ東部地域では、ロシア側が主張していたロシア系住民へのウクライナ側の残虐行為も一部確認されています。それによって、まだしもプーチン大統領にとっても、妥協出来る範囲での停戦にもっていくことが可能だと思うのです。逆に戦争が長引けば長引くほど、ウクライナ側の被害も大きくなりますし、ロシア側が被るマイナス面も増えていきます。良いことは何もありません。かつての日本もそうでした。
満洲事変後の停戦期間を経て、盧溝橋事件をきっかけに中国と日本は全面戦争に突入したのでしたが、その後、ゲリラ化した中国軍との戦いを強いられ、戦況は泥沼化でした。そもそも日本の兵力で、広大な中国全体を、国民感情的にも、軍事的にも占領するというのは非常に難しいことでした。さらに、この戦争がある意味で引き金となり、日本は欧米との全面戦争に突入、最終的には取り返しのつかない大敗北を喫することになってしまうのです。
現在のロシア軍は強大と言われていますが、全体の兵力はおよそ90万人で、うち陸上兵力が33万人と言われています(もっと少ないという説も有力)。今回の侵攻前には、その約半分の15万人強をウクライナ国境付近に集結させていました。それだけの軍隊で人口4400万人のウクライナを制圧できるかというと、やはり簡単ではないと思います。
■かつての日本の失敗が現在のロシアの教訓に
私は先月、このウクライナ侵攻が起きる直前に、JBpressで〈ロシアのウクライナ戦略、「柔道家・プーチン」の視点で分析する〉と題した論考を書きました。https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/68951
少年時代から柔道に打ち込んできたプーチンはこういう発想が染みついているのではないかとして、以下のように述べました。
〈柔道で、大きな相手の力を利用する方法の一つが「崩し」です。畳の上で両足を踏ん張り相手と組み合いますが、重心のバランスがどちらか一方にかかりすぎたときには大きな隙ができます。そこを上手くつけば小柄な選手でも体格で勝る選手を投げることができる――いわゆる「崩しの理(ことわり)」ですが、この発想もプーチンの体に刻み込まれたものになっているはずです〉
論考発表時には、「ロシアは国境付近に兵力を集中させているが、実際にウクライナ侵攻をすることはないのではないか」と指摘する識者も多かったのですが、私は、アメリカが太平洋における中国の動きに意識が集中しているときに、手薄になっているヨーロッパ側を攻めるという発想があってもおかしくないと述べました。そして、この当たってほしくない予想は現実になってしまいました。
ただし、プーチンは「崩しの理」の発想で、アメリカとNATOの体勢を崩しはしたけれど、そこまででした。そこで倒しきれず、体勢を整えた巨大な相手にがっぷり組んでこられては、力で劣るロシアは勝てる見込みが薄くなります。結局かつての日本も、満洲事変や真珠湾攻撃という奇襲で巨大な相手にひと泡吹かせることはできましたが、その後正面からぶつかり合う戦争になると、どんどん戦況が悪くなっていきました。この経験は、現在のロシアにとって大きな示唆を与えるものになると思うのです。
■戦端を開いた歴史の結末
二つ目の日本の経験で、ロシアに生かせるものがあります。日本は最終的に欧米と戦争をするわけですが、口火となったのは日本軍による真珠湾攻撃です。真珠湾攻撃とは、日本がハワイにあるアメリカ海軍の基地に奇襲攻撃を仕掛けたものという理解が広くなされているとおもいますが、当時の日本人からすると、それ以前に日本はアメリカから最後通牒に等しい「ハル・ノート」を突き付けられたりして、欧米に追い詰められた、という思いもありました。そういう中で、「この現状を打破するにはこれしかない」ということで大勝負に打って出たのが真珠湾の奇襲だったと言えなくもないのです。今回、ウクライナに侵攻したロシア側の心情にも、同じような側面があったはずです。
ベルリンの壁が崩壊し、東西ドイツの統一が現実味を帯びてきていた1990年2月、ベーカー米国務長官がソ連のゴルバチョフ書記長と会談した際にNATOについて「1インチたりとも範囲を東方に拡大しない」と述べたとされています。これは会談の中で出た言葉の一つであって、それが条約などに明記されたものではありません。
ただソ連側は、こうしたアメリカ側の態度から「NATOを東側に拡大させることはしない」とアメリカが約束した、と受け止めていたようです。また、ソ連を中心とするワルシャワ条約機構が解体されれば、それへの対抗機構であるNATOも当然解体され、ゴルバチョフが以前から唱えていた「欧州共通の家」構想のように、ヨーロッパの分断が解消されて大きな共同体が形成されて行くと想定していたとも考えられます。
ところが、現実にはその後、民主化を果たした東ヨーロッパの国々を中心にNATO加盟国は増加し続けました。そればかりか、巨大化したNATO諸国からは、取り残されたロシアだけが悪者のように扱われるようになりました。「俺たちロシアはアメリカに裏切られた」――そんな感情を抱いているはずです。そういう経緯を踏まえれば、現在のロシアは、真珠湾攻撃に追い込まれたかつての日本に似ています。
であれば、そのロシアの心情を一番理解しえるのは日本です。同時に、「気持ちは理解できるけれど、だからと言って軍事攻撃を仕掛けてしまうと最後には大変なしっぺ返しを食らうことになるよ」ということも、われわれ日本人は経験からよく知っています。それをロシアに伝えられるからこそ、日本は仲裁に動くべきだと思うのです。同時に、戦争で殴り合った相手とだって、戦争終結後には友好的な関係になれることも日本は経験を通じて伝えられます。
■日本の立ち位置
第二次大戦時に日本は日独伊三国同盟を結び、アメリカやイギリスなど連合国と戦い、そして敗れました。そして現在は、その敗れた相手であるアメリカと軍事同盟を組み、西側諸国とも共同歩調をとっています。現在のロシアだって、同じことが出来るはずです。日本は国土を焼け野が原にされ占領されましたが、今回の停戦に、そのような段階が必要なわけでもありません。プーチンが現在の立場を追われることもおそらく避けられるでしょう。
そのような形で収まるように、日本がロシアとウクライナ、そして最終的には欧米も説得すべきではないでしょうか。そして、ヨーロッパの安保体制についても、「NATO対ロシア」の構図を引きずるのではなく、それこそ「欧州共通の家」のような体制づくりをリードしていけると思うのです。そしてこの仲介ですが、日本単独だとなかなか難しいので、中国と連携して行うことが鍵になると考えます。今の中国はウクライナ戦争に対して微妙な立場に置かれています。
今年2月の北京オリンピック開会式に出席するため中国を訪問したプーチン大統領は習近平主席と会談し、そこでふたりはNATO拡大に反対する共同声明を発表しています。真偽は不明ですが、この会談の際に両首脳の間で密約があったとも言われています。この時すでにロシアはウクライナ侵攻の腹を固めており、それを中国に伝えた。中国は「北京オリンピックの最中の侵攻は避けてほしい」と応じた――という説です。
現実には、ロシアのウクライナ侵攻は北京オリンピックが終わってすぐ、パラリンピックが始まる直前のことでした。もしもプーチン・習近平の密約があったのだとしたら、そこで「ウクライナの制圧はパラリンピック開始前に素早く済ませる」と確認し合っていたと考えるのが自然です。東部地域だけだったらそうなった可能性がありますが、なし崩し的に「ウクライナ全面侵攻」になった可能性もあります。もちろんNATO拡大反対の共同声明を出したロシアを、中国としてはあからさまに批判するわけにはいきません。
一方で国際世論ばかりか、SNSを中心とした中国の国内世論でも「ウクライナは可哀そうだ」「ロシアはひどい」という声が大きくなっています。国際社会の中で中国だけがロシアを支持するという立場をとるのはだんだん難しくなってくるはずです。
中国共産党は今年の秋に、5年に一度の党大会が開かれます。そこで習近平主席の、党総書記として三期目続投が確実視されています。総書記の三期続投というのはこれまでなかったことです。ですから習近平主席は、この党大会前に足を引っ張られる要素をできるだけ作りたくありません。国際的孤立を招くようになると、党大会で執行部批判や習近平批判が飛び出さないとも限りません。つまり、習近平も本音では「ウクライナ戦争は泥沼化させずにさっさと終わってほしい」と考えているはずです。
もうひとつ言えば、今回のウクライナ侵攻によって「中国が台湾に侵攻することもありえる」という危惧が国際的に高まっていますが、実は逆に「中国は台湾進攻をしづらくなった」という見方もあります。というのも、ロシアが侵攻の大義名分に使ったのは、「ウクライナ東部のロシア系住民の保護」です。そして一種の分離独立を仕掛けたわけです。
一方、中国にもウイグルや台湾といった分離独立を求める民族や地域がありますが、中国はこれらに絶対に分離独立されたくない立場です。 要するに今回、ロシアが侵攻のために使った理屈というのは、中国としては絶対に認められない理屈です。実際、中国はロシアと連携しているように見えて、クリミア併合も、南オセチア(ジョージア)も、未だに国家として承認していません。
そのロシアの支持に回っておきながら、台湾や少数民族の独立を阻止するというのは理屈の筋が通りにくい。そういうこともあって、中国としてもロシアの侵攻は一刻も早く収束してほしいと考えているフシがあります。そうであれば、中国は日本とともに、ロシアとウクライナの仲裁に乗り出してくれる可能性がないわけではないはずです。何かとぎくしゃくしている日中の協力ダマにもなります。日中で仲裁に向けての協力体制が作れれば、あとの問題は落としどころです。
ここまで戦闘が激化してからだと難しい面がありますが、「ウクライナ東部地域に高度な自治権を約束する」とか「ドネツク、ルガンスク両国の独立」とか、「ウクライナは当面NATOに加盟しない」というあたりを軸にして交渉することができるのではないでしょうか。日中によるロシアへのエネルギー協力や半導体などの先端産業協力も「飴玉」になります。
もちろん、停戦後にロシアが孤立しないような安保体制を構築していくことも大切です。ウクライナ侵攻、どう転んでもロシアにとって得にならない結果になるのでロシアとしても、本音ではこのまま戦争を続けたくないはずです。もしこのまま戦争が続けば、考えられるシナリオは3つ。ひとつはロシアがウクライナを完全に制圧するというシナリオ。もうひとつが、戦争の終結が全く見えず、泥沼化していくというシナリオ。三つ目はその中間的なシナリオで、いくつかの都市をロシアが制圧するが、ウクライナ側の抵抗がゲリラ戦状態で続き、ウクライナがずっと不安定な状態になる、というものです。
ロシアが完全に制圧したとしても、ウクライナ国民は「ロシア、ありがとう!」とはなりません。一部都市の制圧にしても、「ロシア憎し」でテロが頻発するでしょう。戦闘が泥沼になるのならなおさらです。結局どう転んでも、誰も幸せにならないのが今回のウクライナ侵攻です。
さらにヨーロッパ諸国も見てみれば、ロシアの軍事侵攻を見て、周辺国のモルドバやジョージアがEU加盟を申請しました。中立の立場を貫いていたフィンランドやスウェーデンでもNATO加盟を望む世論が過半数を超えるようになりました。結局ロシアは、自分たちの勢力圏を増やそうとして、かえって周辺国の離反を招くことになっているわけです。
しかもロシアがもっとも敵視しているアメリカは、ロシアのウクライナ侵攻で一番得をしています。ウクライナに武器供与はしても、軍隊は出していませんから、国民に死傷者が出ることはない。またロシアへの経済制裁で、ロシア産の石油・天然ガスの購入を止める動きが世界に広がっていますから、世界最大の産油国であるアメリカのエネルギー関連企業の業績や株価は爆上がりです。世界中が武器を買うようになると、やはり儲かるのは巨大な軍事産業を抱えているアメリカです。
岸田総理にはぜひここで強いリーダーシップ(始動力)を発揮してもらい、一見無理なこと、難しいことを後からみて当たり前だ、という状態に持って行く努力をしてもらいたいのです。それこそが、ゼレンスキー大統領の、いや、世界の日本に対する本当の期待だと思います。
ロシアのウクライナ侵攻の一件で各国が軍事力の増強に動き出しています。ドイツはこれまでGDPの1.5%以内にとどめていた国防費を2%以上まで増やすと宣言しましたが、この議論は日本をはじめ各国に波及するでしょう。そうなると、ロシアのしかけた戦争は現在、プーチンの立場からすれば「いったい何のための戦争なのか」という状態になっていくのです。日本が世界大戦に向かった歴史の上に、冷静に説得すれば、ロシアが折り合えるところが見えてくるはずです。日本にはプーチン大統領と個人的に信頼関係を持つ安倍晋三、森喜朗の両元総理、全柔連とJOC柔道の山下泰裕会長といった人的ルートがあります。いまこそ、日本が出来る手を打たないないでいつするというのでしょうか。山下氏はかつてソ連のアフガニスタン侵攻で日本がモスクワ五輪(1980年)をボイコットして出場できなかった時の記憶がある方であり、「精力善用」「自他共栄」の精神を、柔道発祥地の日本から発信すれば一言に重みがある。JOCは盛んに「スポーツの力」を強調しています。それなら、今こそ「スポーツの力」を国際舞台でも示すべき時です。「スポーツに政治が介入するな」と言ってきたはずですが、沈黙して「介入しない」でいることこそが逆に、政治の介入そのものではないのか。
北京五輪の五輪休戦協定の期間にもかかわらずウクライナに侵攻しましたが、これで3度目の協定違反です。2008年の北京夏季五輪開会式の日にグルジア(ジョージア)へ侵攻していますし、開催国だった2014年のソチ冬季パラリンピックでは、開催直前にクリミア半島へ軍事介入した。「平和の祭典」であるはずの五輪もプーチン大統領の前では全く無力だったどころか、ロシアによる度重なる協定違反で五輪の存在意義が問われる事態に陥っているのです。山下会長は以前、井上康生さん(シドニー五輪100キロ級金メダル 東京五輪男子柔道代表監督)と共に、イスラエルとパレスチナの選手を一緒に練習させて国際社会に発信し、世界に平和を訴えていました。戦争をしたいのはプーチン大統領で、専門書まで書くほど柔道に精通している柔道家なのですから、そこに訴えない手はないでしょう。
プーチン政権化で日本を非友好国に指定しましたが、北方領土を除けば友好関係にあったのです。ここで日本が外交力を発揮できれば、国際的プレゼンスはがぜん大きくなります。なにより、仮に失敗しても失うものは何もありません。ウクライナのためにもロシアのためにも、そして日本の将来のためにも、やらない理由が見当たりません。ゼレンスキー大統領は冒頭に引用した日本の国会向け演説の中で、日本のリーダーシップに言及しました。リーダーシップとは、日本語だと指導力と訳されることが多いです。私はハーバード大学でリーダーシップについて学んだこともあり、理解する英語の語感でリーダーシップとは、本来の意味は音は同じでも「始動力」が適訳です。つまり、事態打開のために変革に向けてアクションを取るイメージです。部下などを指導する力のことではなく、事態を打開する意思力と言うべきです。
日本には、今のロシアから見て役に立つ二度の歴気に禍根を残す経験があると言えます。ひとつは、満洲事変です。
旧日本軍が起こした満洲事変と今回、ロシアが最初にウクライナ東部を侵攻したケースは、極めて似た側面があります。ロシアによる侵攻の前の段階で、ウクライナ政府から見れば「勝手に独立宣言していた」親ロシア派住民が多い「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」を、ロシアが一方的に国家として承認しました。そしてすかさず、そこに住む「ロシア系住民の保護」を理由にウクライナ東部に軍隊を派遣しました。これがロシアが主張するウクライナ侵攻の理屈です。
では満洲事変とはどういう出来事だったのでしょうか。日本がかつて中国の中に傀儡政権を打ち立てた中国東北部は、もともと女真族(満洲族)が支配していた土地でした。女真族による清王朝が滅び、漢民族による中華民国が成立して以降、この東北部もそのまま中華民国の領土となっていました。そのため女真族や日本からみれば「東北部はもとをただせば漢民族の土地じゃない、女真族の土地じゃないか」という見方ができました。関東軍は日本政府が経営権を握る南満洲鉄道を中国軍が爆破したという口実のもと、満洲を軍事制圧。さらに関東軍がお膳立てして清朝最後の皇帝・愛新覚羅溥儀を擁立して「満洲国」という国を建てたのです。さらにその民族政策として、和(日本)・韓・満・蒙・漢による「五族協和」の理念を謳いました。満洲国は日本の傀儡国家とも言われますが、日本人の中には本気で「五族協和」の理念に共鳴して、ここで他民族と一緒に新しい国家を作っていこうと大陸に渡った人々も多くいたのもまた事実なのです。
ウクライナの中でロシア系住民が多い東部地域と中国の中で女真族(満洲族)が多い満洲。それぞれの地域の独立を支援することを目的に軍事行動に出たロシアと日本。理屈と立場は非常に似ていると言えるのです。
満洲事変は1931年9月、関東軍の自作自演であった柳条湖事件で始まり、32年2月には関東軍は満洲全域を占領、3月1日には満洲国の建国が宣言されています。兵力差などを考えれば、実はこの作戦遂行の速さはまさに電撃的でした。日本とすれば、ここまではうまくいきすぎと言えるくらい順調に進んでいたと思います。しかし、そこから後は選択を大いに誤り、まさに今ロシアが陥りつつあるような「泥沼」の時代に突入していきます。
31年に満洲事変が起き、33年には日本と中国との間で「塘沽(たんくー)停戦協定」が結ばれます。満洲事変から第二次世界大戦の終戦までの日本の戦争を「十五年戦争」と呼ぶこともありますが、実はその間の塘沽停戦協定が機能していたおよそ4年間は、日本は国際法的な意味では厳密には戦争をしていませんでした。中国がストレートに「満洲国設立」に納得はしなかったでしょうが、国際社会では一定の納得感をもって受け入れられた可能性が高いのです。この停戦協定は37年の盧溝橋事件によって破られます。もしも、関東軍が盧溝橋事件を起こさず、満洲国を建国したところで軍事行動を止めていたら、日本の行く末は大きく変わったと思います。
実際、満洲事変の勃発後、中国が国際連盟に提訴したことで、イギリスの政治家リットンを団長とする調査団が日本や満洲、中国に入りました。リットン調査団が出した結論は、見方によってはかなり日本に宥和的なものでした。日本側の事情にいろいろ理解している面も多く、仮にあの時点で日本が軍事侵攻をストップさせていたら、その後の国際的な立ち位置もそう悪いものにはならなかった可能性があります。
ですから、同じように、もしも現在のウクライナ戦争において、ロシアがウクライナ東部地域の独立だけに事をとどめておけば、軍事侵攻に対する制裁などはあったとしても、その後の国際社会において圧倒的な悪役になることはないと思います。
今や国際的な世論の中でかき消されつつありますが、ウクライナ東部地域では、ロシア側が主張していたロシア系住民へのウクライナ側の残虐行為も一部確認されています。それによって、まだしもプーチン大統領にとっても、妥協出来る範囲での停戦にもっていくことが可能だと思うのです。逆に戦争が長引けば長引くほど、ウクライナ側の被害も大きくなりますし、ロシア側が被るマイナス面も増えていきます。良いことは何もありません。かつての日本もそうでした。
満洲事変後の停戦期間を経て、盧溝橋事件をきっかけに中国と日本は全面戦争に突入したのでしたが、その後、ゲリラ化した中国軍との戦いを強いられ、戦況は泥沼化でした。そもそも日本の兵力で、広大な中国全体を、国民感情的にも、軍事的にも占領するというのは非常に難しいことでした。さらに、この戦争がある意味で引き金となり、日本は欧米との全面戦争に突入、最終的には取り返しのつかない大敗北を喫することになってしまうのです。
現在のロシア軍は強大と言われていますが、全体の兵力はおよそ90万人で、うち陸上兵力が33万人と言われています(もっと少ないという説も有力)。今回の侵攻前には、その約半分の15万人強をウクライナ国境付近に集結させていました。それだけの軍隊で人口4400万人のウクライナを制圧できるかというと、やはり簡単ではないと思います。
■かつての日本の失敗が現在のロシアの教訓に
私は先月、このウクライナ侵攻が起きる直前に、JBpressで〈ロシアのウクライナ戦略、「柔道家・プーチン」の視点で分析する〉と題した論考を書きました。https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/68951
少年時代から柔道に打ち込んできたプーチンはこういう発想が染みついているのではないかとして、以下のように述べました。
〈柔道で、大きな相手の力を利用する方法の一つが「崩し」です。畳の上で両足を踏ん張り相手と組み合いますが、重心のバランスがどちらか一方にかかりすぎたときには大きな隙ができます。そこを上手くつけば小柄な選手でも体格で勝る選手を投げることができる――いわゆる「崩しの理(ことわり)」ですが、この発想もプーチンの体に刻み込まれたものになっているはずです〉
論考発表時には、「ロシアは国境付近に兵力を集中させているが、実際にウクライナ侵攻をすることはないのではないか」と指摘する識者も多かったのですが、私は、アメリカが太平洋における中国の動きに意識が集中しているときに、手薄になっているヨーロッパ側を攻めるという発想があってもおかしくないと述べました。そして、この当たってほしくない予想は現実になってしまいました。
ただし、プーチンは「崩しの理」の発想で、アメリカとNATOの体勢を崩しはしたけれど、そこまででした。そこで倒しきれず、体勢を整えた巨大な相手にがっぷり組んでこられては、力で劣るロシアは勝てる見込みが薄くなります。結局かつての日本も、満洲事変や真珠湾攻撃という奇襲で巨大な相手にひと泡吹かせることはできましたが、その後正面からぶつかり合う戦争になると、どんどん戦況が悪くなっていきました。この経験は、現在のロシアにとって大きな示唆を与えるものになると思うのです。
■戦端を開いた歴史の結末
二つ目の日本の経験で、ロシアに生かせるものがあります。日本は最終的に欧米と戦争をするわけですが、口火となったのは日本軍による真珠湾攻撃です。真珠湾攻撃とは、日本がハワイにあるアメリカ海軍の基地に奇襲攻撃を仕掛けたものという理解が広くなされているとおもいますが、当時の日本人からすると、それ以前に日本はアメリカから最後通牒に等しい「ハル・ノート」を突き付けられたりして、欧米に追い詰められた、という思いもありました。そういう中で、「この現状を打破するにはこれしかない」ということで大勝負に打って出たのが真珠湾の奇襲だったと言えなくもないのです。今回、ウクライナに侵攻したロシア側の心情にも、同じような側面があったはずです。
ベルリンの壁が崩壊し、東西ドイツの統一が現実味を帯びてきていた1990年2月、ベーカー米国務長官がソ連のゴルバチョフ書記長と会談した際にNATOについて「1インチたりとも範囲を東方に拡大しない」と述べたとされています。これは会談の中で出た言葉の一つであって、それが条約などに明記されたものではありません。
ただソ連側は、こうしたアメリカ側の態度から「NATOを東側に拡大させることはしない」とアメリカが約束した、と受け止めていたようです。また、ソ連を中心とするワルシャワ条約機構が解体されれば、それへの対抗機構であるNATOも当然解体され、ゴルバチョフが以前から唱えていた「欧州共通の家」構想のように、ヨーロッパの分断が解消されて大きな共同体が形成されて行くと想定していたとも考えられます。
ところが、現実にはその後、民主化を果たした東ヨーロッパの国々を中心にNATO加盟国は増加し続けました。そればかりか、巨大化したNATO諸国からは、取り残されたロシアだけが悪者のように扱われるようになりました。「俺たちロシアはアメリカに裏切られた」――そんな感情を抱いているはずです。そういう経緯を踏まえれば、現在のロシアは、真珠湾攻撃に追い込まれたかつての日本に似ています。
であれば、そのロシアの心情を一番理解しえるのは日本です。同時に、「気持ちは理解できるけれど、だからと言って軍事攻撃を仕掛けてしまうと最後には大変なしっぺ返しを食らうことになるよ」ということも、われわれ日本人は経験からよく知っています。それをロシアに伝えられるからこそ、日本は仲裁に動くべきだと思うのです。同時に、戦争で殴り合った相手とだって、戦争終結後には友好的な関係になれることも日本は経験を通じて伝えられます。
■日本の立ち位置
第二次大戦時に日本は日独伊三国同盟を結び、アメリカやイギリスなど連合国と戦い、そして敗れました。そして現在は、その敗れた相手であるアメリカと軍事同盟を組み、西側諸国とも共同歩調をとっています。現在のロシアだって、同じことが出来るはずです。日本は国土を焼け野が原にされ占領されましたが、今回の停戦に、そのような段階が必要なわけでもありません。プーチンが現在の立場を追われることもおそらく避けられるでしょう。
そのような形で収まるように、日本がロシアとウクライナ、そして最終的には欧米も説得すべきではないでしょうか。そして、ヨーロッパの安保体制についても、「NATO対ロシア」の構図を引きずるのではなく、それこそ「欧州共通の家」のような体制づくりをリードしていけると思うのです。そしてこの仲介ですが、日本単独だとなかなか難しいので、中国と連携して行うことが鍵になると考えます。今の中国はウクライナ戦争に対して微妙な立場に置かれています。
今年2月の北京オリンピック開会式に出席するため中国を訪問したプーチン大統領は習近平主席と会談し、そこでふたりはNATO拡大に反対する共同声明を発表しています。真偽は不明ですが、この会談の際に両首脳の間で密約があったとも言われています。この時すでにロシアはウクライナ侵攻の腹を固めており、それを中国に伝えた。中国は「北京オリンピックの最中の侵攻は避けてほしい」と応じた――という説です。
現実には、ロシアのウクライナ侵攻は北京オリンピックが終わってすぐ、パラリンピックが始まる直前のことでした。もしもプーチン・習近平の密約があったのだとしたら、そこで「ウクライナの制圧はパラリンピック開始前に素早く済ませる」と確認し合っていたと考えるのが自然です。東部地域だけだったらそうなった可能性がありますが、なし崩し的に「ウクライナ全面侵攻」になった可能性もあります。もちろんNATO拡大反対の共同声明を出したロシアを、中国としてはあからさまに批判するわけにはいきません。
一方で国際世論ばかりか、SNSを中心とした中国の国内世論でも「ウクライナは可哀そうだ」「ロシアはひどい」という声が大きくなっています。国際社会の中で中国だけがロシアを支持するという立場をとるのはだんだん難しくなってくるはずです。
中国共産党は今年の秋に、5年に一度の党大会が開かれます。そこで習近平主席の、党総書記として三期目続投が確実視されています。総書記の三期続投というのはこれまでなかったことです。ですから習近平主席は、この党大会前に足を引っ張られる要素をできるだけ作りたくありません。国際的孤立を招くようになると、党大会で執行部批判や習近平批判が飛び出さないとも限りません。つまり、習近平も本音では「ウクライナ戦争は泥沼化させずにさっさと終わってほしい」と考えているはずです。
もうひとつ言えば、今回のウクライナ侵攻によって「中国が台湾に侵攻することもありえる」という危惧が国際的に高まっていますが、実は逆に「中国は台湾進攻をしづらくなった」という見方もあります。というのも、ロシアが侵攻の大義名分に使ったのは、「ウクライナ東部のロシア系住民の保護」です。そして一種の分離独立を仕掛けたわけです。
一方、中国にもウイグルや台湾といった分離独立を求める民族や地域がありますが、中国はこれらに絶対に分離独立されたくない立場です。 要するに今回、ロシアが侵攻のために使った理屈というのは、中国としては絶対に認められない理屈です。実際、中国はロシアと連携しているように見えて、クリミア併合も、南オセチア(ジョージア)も、未だに国家として承認していません。
そのロシアの支持に回っておきながら、台湾や少数民族の独立を阻止するというのは理屈の筋が通りにくい。そういうこともあって、中国としてもロシアの侵攻は一刻も早く収束してほしいと考えているフシがあります。そうであれば、中国は日本とともに、ロシアとウクライナの仲裁に乗り出してくれる可能性がないわけではないはずです。何かとぎくしゃくしている日中の協力ダマにもなります。日中で仲裁に向けての協力体制が作れれば、あとの問題は落としどころです。
ここまで戦闘が激化してからだと難しい面がありますが、「ウクライナ東部地域に高度な自治権を約束する」とか「ドネツク、ルガンスク両国の独立」とか、「ウクライナは当面NATOに加盟しない」というあたりを軸にして交渉することができるのではないでしょうか。日中によるロシアへのエネルギー協力や半導体などの先端産業協力も「飴玉」になります。
もちろん、停戦後にロシアが孤立しないような安保体制を構築していくことも大切です。ウクライナ侵攻、どう転んでもロシアにとって得にならない結果になるのでロシアとしても、本音ではこのまま戦争を続けたくないはずです。もしこのまま戦争が続けば、考えられるシナリオは3つ。ひとつはロシアがウクライナを完全に制圧するというシナリオ。もうひとつが、戦争の終結が全く見えず、泥沼化していくというシナリオ。三つ目はその中間的なシナリオで、いくつかの都市をロシアが制圧するが、ウクライナ側の抵抗がゲリラ戦状態で続き、ウクライナがずっと不安定な状態になる、というものです。
ロシアが完全に制圧したとしても、ウクライナ国民は「ロシア、ありがとう!」とはなりません。一部都市の制圧にしても、「ロシア憎し」でテロが頻発するでしょう。戦闘が泥沼になるのならなおさらです。結局どう転んでも、誰も幸せにならないのが今回のウクライナ侵攻です。
さらにヨーロッパ諸国も見てみれば、ロシアの軍事侵攻を見て、周辺国のモルドバやジョージアがEU加盟を申請しました。中立の立場を貫いていたフィンランドやスウェーデンでもNATO加盟を望む世論が過半数を超えるようになりました。結局ロシアは、自分たちの勢力圏を増やそうとして、かえって周辺国の離反を招くことになっているわけです。
しかもロシアがもっとも敵視しているアメリカは、ロシアのウクライナ侵攻で一番得をしています。ウクライナに武器供与はしても、軍隊は出していませんから、国民に死傷者が出ることはない。またロシアへの経済制裁で、ロシア産の石油・天然ガスの購入を止める動きが世界に広がっていますから、世界最大の産油国であるアメリカのエネルギー関連企業の業績や株価は爆上がりです。世界中が武器を買うようになると、やはり儲かるのは巨大な軍事産業を抱えているアメリカです。
岸田総理にはぜひここで強いリーダーシップ(始動力)を発揮してもらい、一見無理なこと、難しいことを後からみて当たり前だ、という状態に持って行く努力をしてもらいたいのです。それこそが、ゼレンスキー大統領の、いや、世界の日本に対する本当の期待だと思います。