英政府の新型ウイルス対策を策定している非常時科学諮問委員会(SAGE)の委員、アンドリュー・ヘイワード教授は、15万人という死者数は「ひどい悲劇だ」とBBCラジオに話した。新型コロナウイルスによる死者が15万人を超える国は、アメリカ、ブラジル、インド、ロシア、メキシコ、ペルーに次いでイギリスが7番目となった。遺族団体「正義を求めるCOVID-19遺族」の共同創設者、ジョー・グッドマンさんは、「なぜこの国が世界でも特に高い死者数に見舞われてしまったのか、私たちは答えが必要だ」と呼びかけた。グッドマンさんはさらに、「オミクロン株による死者数の急増が続くのに、見るからにほとんど何の対応もとられていない現状では、その必要性は緊急性を増している。公開調査は一刻でも始めなくてはならない」と強調した。
「我々はもっと上手に対応できたはずだ。感染の第1波や第2波の時点でもっと素早く対応していれば、多くの死が防げたはずだ。それだけにいっそう悲劇的だ」
ジョンソン首相は昨年5月、政府の新型コロナウイルス対策について独立調査委員会を2022年春にも立ち上げると発表している。首相は、現在の感染拡大で国民保健サービス(NHS)の医療機関は「一時的に逼迫」するかもしれないが、イングランドで規制をこれ以上強化しなくても、現在の感染の波を「乗り切れる」よう期待すると方針を示している。
イングランドは現在いわゆる「プランB」の感染対策が実施されている。屋内の公共施設の大半でマスクの着用が義務付けられるほか、一部の大規模会場への入場にはワクチン接種証明などの提示が必要となっている。また可能な限り、在宅勤務が推奨されている。
イギリス政府の諮問機関「ワクチン・予防接種合同委員会(JCVI)」は7日、まだほとんどの人は4回目の接種は不要だと提言した。これまでのデータでは、追加接種から3カ月後でも、65歳以上の人の約90%が入院を要するほどの重症化を免れるようだという。このためJCVIは、4回目の接種よりもまず、国内で1回目、2回目、3回目の接種を広く徹底することが先決だと促している。
出典:BBCニュース(1/9)