七草のこの日、年の始まりの時期、一年の計を立てるにも良い機会なので、退職後の生活も見据えてどう資産形成を進めるかも、家族で話し合ってみるのも一理ありです。
厚生労働省『令和2年度厚生年金保険・国民年金事業の概況』によると、厚生年金の平均年金受給額は月額14万6,145 円、国民年金で月額5万6,358 円で、この年金額で足りるか足りないかは人それぞれですが、一応の目安になります。現在、年金の受給は65歳を基本とし、60〜70歳まで選択することができます。年金受給を遅らせた場合、年金額は増加し、70歳を選択した場合、65歳と比較して最大42%ほど増加します。
受給開始年齢はライフスタイルに合わせて検討することが重要です。実際に手にする年金額はそれぞれですし、それで足りるか足りないかも人それぞれ。余裕を感じる水準もまた異なります。
例えば、ロスジェネ世代と言われる70年生まれ世代は、非正規雇用も増えて「年越し派遣村」に行列を作ったりする人も少なくありませんでした。地方自治体がこの世代を対象に職員募集をするも倍率は600倍だった、ハシゴを外された感のつよい世代もあって、「75歳まで働け!」では、男性の健康寿命が72歳台の今、年金を受給スタートもずらす選択も、ありかなしか、考えどころです。
一般に、会社員夫婦が定年後に手にする年金額が計28万円ほどだとすると、調査結果「高齢者夫婦の必要最低限の生活費」を参考にする際は年金だけで十分だということになります。さらに「余裕ある暮らし」を目指すなら、月に8万円ほど足りず、貯蓄を取り崩す必要があるということになります。月に8万円ということは、1年で96万円。仮に共に65歳の夫婦だとすると、前述の平均余命からすると、備えるべきは男性は20年あまり、女性は25年あまり。夫婦で2,000万円程度の貯蓄があれば、ゆとりある老後が担保できそうです。
癌も克服できるなど、医療の進化等で日本人の寿命も延び続け、令和2年9月時点で、100歳以上のご長寿は全国で8万450人と8万人以上とのこと。平成27年の調査では、6万1568人で、5年で2万人近く増えました。100歳が珍しくなくなってきた時代、健康で豊かに暮らす人生設計をたてよう。
パート主婦は目先の収支にとらわれて「106万円の壁」にこだわりすぎると、トータルでは損をしてしまう可能性がある。90歳まで生きた場合に50歳から60歳まで10年間110万円を稼いで社会保険に加入した場合と、年収を106万円以下に収入を抑えて社会保険に加入しなかった場合の収支を比較してみると、社会保険に加入したほうが、金銭的には得になる。
基本的には「働けるのであれば働いて社会保険に加入しておいたほうが、老後の生活にメリットがある」と理解しておきたい。
夫の扶養で老後生活する際の大きなリスクの一つが、夫の死亡後の生活費だ。厚生労働省が2022年に発表している厚生年金のモデル年金額は、月額219,593円となっている。この金額は、妻が夫の扶養となっている場合の夫婦2人分の給付水準だ。
もしも夫が先に死亡した場合、妻には遺族年金が支給されるが、その金額は夫分の年金額の4分の3に減額される。
つまり、残された妻は月額165,000円程度の遺族年金しか受け取ることができない。
パート主婦が夫の扶養に入った場合、夫の死亡後に収入が大きく減少するリスクがあることを考えておきたい。夫が死亡した後も生活に困らぬよう、主婦も社会保険に加入しておくなどの備えが必要だ。