カリブ海の島国バルバドスが30日、エリザベス英女王(95)を元首とする「英連邦王国」を離れ、立憲君主制から共和制に移行する。それは、先月、サンドラ・メーソン総督を初代大統領に選出したことによる。メーソン氏は今月30日に大統領に就任、これによりエリザベス女王の元首としての役割は終わる。ただバルバドスは英連邦にはとどまる方向だ。
人口約29万人のバルバドスは1966年に英国から独立。その後も元英植民地など54カ国で構成する英連邦に引き続き加盟し、このうち女王を元首に頂く「王国」にも残った。しかし昨年9月、「植民地の過去から脱却する」として共和制への移行を発表したのだった。
「英連邦王国」のメンバーは16カ国から15に減少。「王国」の一員が共和制を選んだのは1992年のモーリシャス以来。君主制廃止は、大英帝国の植民地支配を受けてきた国々が、そうした歴史の象徴である英王室との結び付きを絶つことで過去を克服しようとする試みと言える。君主制廃止に関心を示す国は他にも複数あるとされ、カリブのジャマイカやセントビンセント・グレナディーンでも共和制移行の是非が議論に上っているという。君主制は形式的なものだが、同様の動きが広がれば、英国の国際的プレゼンスに影響が及ぶのは必至だ。
ロイター通信によると、キングス・カレッジ・ロンドンのリチャード・ドレイトン教授(帝国・世界史)は、バルバドスの決断は「特にカリブの英語圏諸国に重大な意味を持つ」と影響が波及する可能性を指摘。さらに、女王は70年近い在位期間を通じて「英連邦に深く関与し、加盟国と個人的な関係を築いてきた」とし、女王亡き後には「王国」に属するカナダやオーストラリアなどでも君主制廃止が「喫緊の課題」に浮上すると予測した。
これと対するのが、フランスの植民地の事情だ。連邦という表向きの体制はないが、アフリカでイギリスの植民地とフランスの植民地を比べると、植民地統治方法には違いがあり、イギリスは現地の政府(国王など)を残しながら監督官を置く『間接統治』であり、フランスはその国を完全に自国と同じものとして扱う『直接統治』です。特に西アフリカはいまだにフランスの植民地だと言える。その最大の理由は、西アフリカの共通通貨セーファーフラン(CFA)がフランスで発行され、フランス政府がレートを管理しているからだ。
CFAの為替レートは1ユーロ=655CFAの固定相場だ。レートを決めるのはフランス政府。この不条理なルールの根拠は、「西アフリカ諸国の独立」を条件として1960年に交わされた条約に定めているからだ。しかし、西アフリカで暮らすほとんどの人はフランスがCFAを管理しているという事実を最近まで知らなかった。CFAの実情を西アフリカの人たちに知らしめたのは、フランスとベナンの両国籍をもつ汎アフリカ主義者の活動家ステリオ・カポ・チチ(通称:ケミ・セバ)氏だ。同氏は「CFAの廃止」を求め、同じ西アフリカのセネガル国内で、CFAの札を燃やす運動を2017年に展開した。現状においても実態は、フランスの植民地状態であったことを若い世代が知るようになったのは、ほんの数年前なのだ。アフリカの貧困の原因は先進国の搾取によって、今も引き続いていたと世界も気づき始めたばかりだ。
参照HP:https://www.ganas.or.jp/20180318cfa/