《人は優れているほど多くの間違いをおかす。優れているほど新しいことを試みる。》(ドラッカー)
ドラッカーはいう。 挑戦をやめ、無難な目標を掲げ、平穏な日々を送ろうとするが、それでは組織として成果があがらない。
組織の健全さは、高い基準の要求にある。高い基準を求めれば、当然失敗だって考えられる。しかし、ドラッカーは「それでよい」といっている。百発百中は曲芸であり、現実にはあり得ない。
もし「間違いや失敗をしたことがな い」という人間がいたとすれば、それは見せかけか、無難なことやくだらないことにしか手をつけない人間であろう。必要なのは、新しい挑戦をしない者は叱るが、努力し、挑戦したが失敗した者は叱らない姿勢である。挑戦を批判するのではなく、助けるという姿勢だ。そうした姿勢が徹底されて初めて「失敗を恐れるな」という言葉が真実味を帯びることになる。
この世に失敗しない人間など一人もいない。失敗しないということは、すべてにおいてパーフェクトであり、完全であるということだからだ。
日本の神々でさえ、数々の失敗している。それなのに多くの人は、失敗を恐れ、挑戦しようとしない。
「諸君は必ず失敗する、ずいぶん失敗する。成功があるかもしれませぬけれど、成功より失敗が多い。
失敗に落胆しなさるな。失敗にうち勝たなければならぬ。たびたび失敗すると、そこで大切な経験を得る。
この経験によって、もって成功を期さなければならぬのである。」(大隈重信)
とにかく、失敗を恐れず、新しいことにチャレンジすることだ。新しいことに興味がなくなった時点で、「過去の人」となる。
人は優れているほど多くの新しいことに挑戦する。だから、失敗もする。
「人は優れているほど多くの間違いをおかす。優れているほど新しいことを試みる。」という言葉を胸に刻みたい。
西村克己『1分間ドラッカー』(SB Creative)