オックスフォード大学が運営するWebサイト「Our world in Data(データで見る私たちの世界)」による10月11日の発表によると、現在のコロナワクチン接種率1位は「スペイン」78.87%、2位は「中国」72.56%、3位は「カナダ」72.06%、4位は「イタリア」69.06%、5位は「フランス」66.50%。日本は世界8位の64.63%で、接種を完了した人数は8,146万人。かつて、死亡者がダントツに多かった米国(55.67%)の接種率をも上回っています。
ところで、ウイルス感染やワクチン投与により、感染を防ぐ「中和抗体」が体内にできることが知られていますが、その真逆にADE抗体が出来てしまった場合は、むしろサイトカインストームなどの感染増強で重症化するリスクがあるそうです。いの一番でワクチン接種率の高い国となって、2回のワクチン接種を済ませ、むしろ死者数が増加傾向に転じている(重症化率が高い)イスラエルなどで死者が増えているので、当初からいわれていたように、ADE抗体と関係があるのではないかという懸念が払しょくしきれていません。つまり、ブレイクスルー感染がおこったときADEが起きている可能性もあるのではないかと危惧もされています。
因みに、本年8月12日のイスラエルの死者数は16人、日本は9人です。イスラエルの人口は934万人、日本の人口1億2557万人ですから、同じ人口当たりにすると24倍の死者が出ていることになるのです。
抗体依存性感染増強(ADE)とは、ウイルスの感染やワクチンの接種によって、稀ではありますが、体内にできた抗体が感染しやすくするので、重症化につながる現象「ADE」(抗体依存性免疫増強)が起こるのです。これには、免疫に関与する細胞のうち、Th2とよばれる細胞が優位にはたらくことや、ウイルスへの結合能を有するものの中和活性の低い抗体が、ウイルスの細胞内侵入を助長したり、複合体を形成して気道の炎症を引き起こしたりする等の機序が考えられています。ワクチンを接種した人でADEを含めた疾患増強が生じるかを観察する必要はありますが、デルタ株以降にも新たな変異型が出現した場合において、現時点ではAEDのようなリスクの懸念はないと考えられます。
厚生労働省のHPでは、「これまで新型コロナワクチンを接種した方で、ADEが起こり重症化してしまったという報告は、臨床試験でも実用化後でも、現時点において確認されていません。・・・・現在、日本で接種が進められている新型コロナワクチンにおいても、開発段階で様々な実験動物を使用して、中和抗体の誘導やTh1とTh2のバランス等が確認されており、ヒトにおける疾患増強リスクについても、引き続き実用化後も情報収集していくことが薬事承認審査の過程で求められました。」としています。
5月24日、大阪大の荒瀬尚教授(免疫学)らの研究チームが新型コロナウイルス感染症の重症化を促す可能性がある「感染増強抗体」を発見したことを、米国の専門誌「セル」に報告すると発表していました。
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