中国が5カ月前に台湾産パイナップルの輸入を突然禁止したのは、台湾の蔡英文総統の政治的地盤を弱体化させる試みだと広く見なされてきた。
パイナップルは台湾の中部と南部の農家にとって重要な収入源で、蔡総統の与党・民主進歩党(民進党)は南部が有力な地盤だ。台湾で収穫されるパイナップルの約11%が輸出され、中国の禁輸措置まではほぼ全てが同国向けだった。
だが、貿易データは中国側が意図していたのとは逆の結果を示している。 台湾行政院農業委員会が集計した1−6月の統計によれば、中国による3月1日の輸入停止後、台湾に親近感を抱く日本人消費者による購入もありパイナップル輸出は好調。3−6月の対日出荷は前年同期比で8倍余りの1万6556トンに急増。台湾内での消費を促す呼び掛けも寄与した。