海外では、コロナ感染の問題に対するさまざまな研究が行われ、市民生活の緩和が行われている。本当にコロナウイルスが怖い病気だったのかという検証のため、ポルトガルでは、コロナで死んだとされた人の真の死因調査の研究が行われている。イギリスやシンガポールのようにほとんどの規制を緩和した国もある。そして、イスラエルのように3回目のワクチン接種に踏み切った国もある。だが、日本の「専門家」が「1類」扱いをしているのは、それだけ人命が大切だと考えているからだとされてきたが、それにしては、ワクチン接種後の死亡に対して、きちんと原因究明を行っているように思えないのだ。7月30日現在、ワクチン接種後の死亡は900人を超えた(7月26日から30日の5日間だけで84人が亡くなっている。これは同じ時期のコロナ死者数より多い)が、一例としてワクチン接種との因果関係が否定できないという評価をしておらず(海外で問題になっている血小板減少がらみの出血死のケースですらそういう評価になっていない)、3例で因果関係が否定されているが、それ以外のすべてのケースが「情報不足等によりワクチンと死亡との因果関係が評価できないもの」とされている。
ワクチン分科会副反応検討部会が開かれるたびにこの数が増えている。「情報不足」ならもっと情報を集めるべきなのに、それをした形跡がないままに「因果関係が評価できない」死亡例が積みあがっている。本当に人の命が大切なら、当然“ワクチン死”に対しても真剣に向き合い原因の究明をすべきだが、ろくに検討もせずに「因果関係が評価できない」で放置されているのは看過できない。
新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長は、20世紀末に西太平洋地域でのポリオの根絶を達成するなど華々しい実績を持っている。それによってWHOの西太平洋地域の事務局長などに選ばれているが、それは20年以上の前の1998年の話だ。その後も論文を検索してみても総説のようなものは別として研究論文の発表は21世紀になってからは見かけない。コロナのように新しい病原体に対応するのに、そうした人材が適切なのかどうか。もし、誤った人材が会長の地位に配置されているのであれば、その存在を頼りとする日本は、結果的に他国の進んだ知見を持つ研究者のサル真似をするしかないのではないか。
ベッドが空きにくい理由のひとつは、感染症法上でのコロナの扱いだ。現状はSARS(重症急性呼吸器症候群)並の「2類」相当とされているが、さまざまな規制内容をみる限り、致死率が極めて高いエボラ出血熱並の「1類」相当の扱いといってよい。最大級の警戒だ。
重症化率・致死率が高い高齢者へのワクチン接種がおおむね終わり、致死率も季節性インフルエンザ並になった。また受けいれ側の医療従事者もほとんどワクチン接種が終わっているので感染しても重症化する危険が以前と比べてはるかに低くなっているのは事実だろう。こうした事実や数字を、政府も国民も今一度冷静に見つめるべきではないか。
そもそも感染症法上の分類は、医療従事者や入院患者への感染とそれによる死亡などに対して対応するものとされる。季節性インフルエンザにしても「5類」相当でも年間3000〜6000人が、それが直接死因で亡くなっており、コロナ同様に人工呼吸器を使うこともある。
こうした事情を鑑みれば、コロナも季節性インフルエンザ並の「5類」相当に引き下げれば、少なくとも病床不足その他の問題は解決する可能性が高い、と私は考えている。
なぜ解決するのか。それは、保健所の負担が大幅に減り、患者を一般の開業医で引き受けられ、また通常の病棟への入院もできるようになるからだ。インフルエンザなどでも(義務ではないが)、なるべく別の病気で入院している人と同室にしないなどの対応をしてきたので、それと同様にすればいい。また、同じフロアに入院している患者のワクチン接種が済んでいれば大きな問題も生じない。
出典 PRESIDENT Online(2021/8/18)