6日の全国の新規感染者数が8233人とは8月2日以来、およそ1カ月ぶりに1万人を下回り、東京の新規感染者数も968人で7月19日以来、およそ1カ月半ぶりに1000人を下回ったと報じた。日本医科大学特任教授・北村義浩氏は「ワクチンだけでこれだけ急速に下がっているとは考えにくい。これはピークアウトしたといっていいと思う」と断言した。
北村氏は「ずいぶん減少傾向が続いていますので、これはピークアウトしたといっていいと思う。昨日に限って言うと、全国で最も人数が多かったのは愛知県。愛知県だけが1000人を超えていて。首都圏、あるいは関西圏の減少傾向は顕著だが、一部の地域にはまだ減少傾向ではあるものの鈍いという場所もある。ですから全国一律に下がっているわけではない」と現状を語った。
ワクチンの効果で感染者数が下がってきたのかと聞かれることが多いというが、ワクチンだけではないと説明。「東京の感染者の内訳を見ると、20代、30代、40代、50代といった、まだワクチンがそれほど進んでいないところも減少傾向が非常に顕著。下がりが悪いのは65歳以上の高齢者、それから10歳未満のかなり若い世代、この2つの両極端の世代がなかなか減らず、増えている傾向がある。だからワクチンの効果ももちろんないわけではないが、それだけでこれだけ急速に下がっているとは考えにくい」と解説した。
医療ガバナンス研究所理事長の上昌広氏はこう言う。
「都内の感染状況はピークアウトに向かっているとみています。外来の現場からは先週あたりから発熱を訴える患者が減ってきた、と聞いている。昨夏の感染拡大のピークは8月10日でした。今夏は感染力の強いデルタ株の影響で後ろ倒しになっていますが、8月末、あるいは9月頭にはピークに達するでしょう」
一方、地方の感染状況は依然として深刻だ。24日の新規感染者数は8府県で過去最多を更新。直近1週間の人口10万人当たりの感染者数がステージ4の目安となる25人以上なのは44都道府県に広がり、国民の99.27%が感染爆発下におかれている。
「第5波が東京から地方へ伝播したと考えれば、ピークアウトへ向かうプロセスにもタイムラグが生じるでしょう。もっとも、新規感染者数の増減で一喜一憂するのは危険です。感染者が発生し続ける限り、一定数は中等症や重症になる。新型コロナは夏と冬に感染拡大期を迎えるため、冬場にはさらに大きな感染爆発が懸念されます。重症化を防ぐためのワクチン普及はもちろんですが、中等症以上を隔離する病床の確保が急務です。欧米はそうした医療資源が充実しているから、行動制限の緩和に舵を切れた。医療提供体制を拡充しなければ、日本はいつまでたっても自粛議論から逃れられません」(上昌広氏)
出典:日刊ゲンダイ(8/25)つづき