東京五輪は新型コロナウイルスの影響を色濃く受け、各国の選手が置かれる環境の格差が目立つ大会となる。通常の大会なら過熱する「メダル獲得競争」になりがちだったが、様相が違いそうだ。
日本オリンピック委員会(JOC)内では、通常以上に「地の利」がある大会で、東京五輪の目標として掲げた金メダル30個をクリアできるとの見方も強まってきた。慣れ親しんだ味の素ナショナルトレーニングセンター(NTC)の練習施設も利用できる日本には有利で、ある競技団体の強化担当者は「コンディショニングでは私たちに分がある」と言い切る。日本選手団もレスリングや卓球など多数の選手が、個室利用の可能なNTCの宿泊施設や村外ホテルに滞在。「リスクを考えれば選手村は怖い」と話す関係者もいる。日本選手団の尾県貢総監督は「スポーツは平等の下でやるべきだと思うが、コロナ禍で世界の状況が全く違う。いかんともし難いと感じる」と複雑な心境を口にする。
五輪出場権を得る過程では、世界各地の予選が中止になって不公平感を指摘する声が上がった。日本で各国・地域の選手団が予定していた大会前合宿が、自治体の都合で中止になった例は多数。本番を迎えても感染は収束しておらず、最近の陽性判明で出場不可となった有力選手もいる。濃厚接触者に認定され、サッカー南アフリカ代表のように直前調整に影響を受けた例も出た。米体操女子チームは選手村を避け、村外のホテル滞在を決めたと伝えられた。
そうした地方での大会前合宿を断念し、東京・晴海の選手村に直接入ることを選んでも、村内では感染者が毎日のように報告されている。生活にストレスが生じかねない状況であった。
23日、東京五輪の東京都新宿区を走った最終ランナーは『いだてん』の金栗四三を演じた歌舞伎役者で俳優の中村勘九郎で、感動のSNSがされた。この日、開会式を走る聖火ランナーには、テニスの大坂なおみ(23)が選ばれたことが、組織委関係者への取材で分かった。午後8時から東京・国立競技場で開かれる開会式でトーチを持ち、聖火を運ぶが、多様性と男女平等などの具現できる大坂が最終点火者となる可能性が言われている。
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