グアムはワシントン特別区のような政治の中心でもなければ、ニューヨークやロサンゼルスのような経済の拠点でもない。米国本土からの距離約1万キロ、西海岸からはハワイの倍ほど遠く、人口もわずか約16万6000人にすぎない。住民の多くは、準州のグアムは後回しにされるものだと考えていた。どうも、最重要軍事施設を抱える島内で、医療崩壊があってはという配慮がされたからだろうかと、憶測されるだけで本当のところはハッキリされていない。
グアム警察に確認してみると、「1−a」と「1−b」のワクチン接種がスムーズに行えたため、「1−c」も当初はチケットを配布していなかった。ところが、初日の1月7日に接種希望者が殺到、道路の大渋滞が発生したため、8日からチケット配布式に切り替え、州兵も動員した交通規制を実施したということだった。

ワクチンを注射してくれた看護師から「ワクチン接種証明書」を受け取るまで、接種チケット待ちの車列に並んでから約8時間もたっていた。では、接種後はどのような流れだったか、書いておくと、まず ワクチン接種後の体調変化に備え、カフェテリアの隣の体育館に移るように指示される。ここでは、アナフィラキシー反応に関する説明を受けた後、15分ほど待機し、担当の看護師に体調について問診を受けて、ようやく家路に就くことができた。
ワクチンを接種されてから2日ほど接種部位の筋肉に痛みが残ったが、それほど気にならなかった。周囲でワクチン接種をした人も同じだった。ただ、筆者の場合、それとは別に接種後2日目からその翌日にかけて、みぞおちを押されているような圧迫感を感じた。これまで、花粉やハウスダウト、急激な温度変化でアレルギー反応を起こしたことがあり、ワクチン接種の副反応ではないかと心配になってグアム公共衛生保健局に問い合わせた。様子を見るように指示を受けたが、その後に収まり、今は何ともない。
近所に住む内科医のドクター・アレックスに話を聞いたところ、代表的な副反応の一つである「接種部位の痛みや腫れ」は1回目の接種で約83%の人に出るが、2回目の接種は78%と少なくなる傾向にあるということだった。また、「発熱」は1回目の接種では4%の人にしか出ないものの、2回目は16%に増えるというデータも出ているそうだ。
以上が筆者のワクチン接種体験だ。
新型コロナウイルスのワクチンは2回接種する必要がある。後述のように1回目から2回目を打つまでの期間は、ワクチンの種類によって異なる。筆者が接種後に渡された「接種証明書」には、1回目にどのワクチンを接種したかが記載されており、2回目の接種には必ず証明書を持参して、ワクチンの種類を間違えないようにする仕組みになっている。
筆者が接種を受けたのはモデルナ製のワクチンなので、第1回から28日目に第2回の接種を受ける必要がある。ファイザー製とモデルナ製のどちらのワクチンを接種されるかは自動的に振り分けられ、接種される側が選択することはできない。
なお、米本土では接種対象者に通知書類が届いたり、クリニックから電話がかかってきて予約をしたりするシステムになっている州もあるそうだが、グアムは今のところ先着順方式を取っている。
グアムでは20年8月14日に出されたロックダウン令の警告レベルが4段階中2段階まで緩和されたものの、まだ全面解除されたわけではない。そのため引き続きソーシャルディスタンス、手指消毒、マスクの着用に加え、商業施設などへの入店時には検温が、そしてレストランなどの事業者には50%以下の入店者数制限、1テーブルにつき最大6人までの店内飲食(テラス席など屋外飲食は15人まで)の規定を義務付けている。
Source:https://www.jiji.com/jc/v4?id=202101gstr0001
2021年1月27日 陣内真佐子(グアム在住、作家)